生き物

カモメに食べ物を盗まれないようにする方法を科学者が発見

by Benny Mazur

海に行くとよく見るカモメは、人間が持っている食べ物を驚くほどの大胆さと器用さで奪い去っていくことで知られています。そんなカモメから食べ物を盗まれないようにする方法を、科学者らが実験によって明らかにしました。

Herring gulls respond to human gaze direction | Biology Letters
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2019.0405

How to stop a gull from stealing your food | Science | AAAS
https://www.sciencemag.org/news/2019/08/how-stop-gull-stealing-your-food

Study Finds a Scientific Method For Keeping Gulls Away From Your Fries
https://www.sciencealert.com/you-can-keep-food-thievin-seagulls-at-bay-by-staring-them-down


カモメと人間の対立は長年にわたって繰り広げられており、中にはカモメの個体数を減少させて人間の食べ物を守ろうとする人々もいます。しかし、野生動物の個体数を管理するばかりでなく、人間側の努力によって対立を避ける方法もあるのではないかと考えたイギリス・エクセター大学のマドレーヌ・グーマス氏らの研究チームは、「カモメに食べ物を取られないためには人間がカモメを見張っていればいいのではないか」という仮説のもと、実験を行いました。

研究チームが実験対象としたのは、ユーラシア大陸の北部から中部に生息し、アメリカやイギリスだけでなく日本でも多く見られるセグロカモメ。イギリスにおけるセグロカモメの生息数は、1969年から2015年の間に60%も減少しており、その原因は人為的なものだと考えられています。

イギリス南西部のコーンウォール付近の港街で、研究チームはカモメにあえてフライドポテトを見せびらかし、カモメがフライドポテトを盗もうと試みるまでの時間を、「カモメを見張り続けた場合」と「カモメから目を離した場合」それぞれで計測する実験を行いました。フライドポテトは透明なパックに入れられており、実際にカモメがフライドポテトを盗むことはできないようになっていたとのこと。


実験の様子を撮影したムービーがこれ。

Snippet: How to stop a gull from stealing your food - YouTube


研究チームの女性が、パック入りのフライドポテトを置きました。


早速1羽のカモメが興味を示し、近寄ってきます。


しかし女性はカモメから目を離しません。じっとカモメを見張り続けているためか、カモメもフライドポテトに手を出そうかどうか迷っている様子。


両者の静かな攻防が続き……


結局カモメは手を出しませんでした。今回の実験ではカモメがフライドポテトの入ったパックに触れるまでの時間を計測しましたが、対象のカモメがパックの近くから離れないまま300秒が経過した場合、「カモメはフライドポテトを食べようとしなかった」と判断されてフライドポテトは隠されてしまいました。


また、次の実験では再び女性がフライドポテトを地面に置きましたが……


女性はカモメから視線を外しています。


カモメがじりじりと近寄りますが、女性はやはりカモメに目を向けません。


ゆっくりとフライドポテトに近づいて行ったカモメが、ついにクチバシでフライドポテトを食べようとしました。


残念ながら、パックに入ったフライドポテトを食べることはできませんでした。


研究チームはフライドポテトに接近してきた合計74羽のカモメに対して実験を試みたとしており、「カモメを見張り続けた場合」と「カモメから目を離した場合」の2パターンを共に実行できたのは合計で19羽でした。カモメを見張り続けた場合には、実験開始からカモメがフライドポテトを食べようとするまで平均で25秒ほどかかり、19羽のうち6羽は300秒が経過してもフライドポテトを食べようとしなかったとのこと。一方、カモメから目を離した場合には全てのカモメがフライドポテトを食べようとしたそうで、クチバシでつつくまでの平均時間は13秒でした。

今回の研究結果から、カモメが人間の視線を嫌がっており、人間の食べ物を盗もうとする際にも人間の視線を気にしていることが示唆されます。なぜカモメが人間の視線にこれほど注意を払うのかはわかりませんが、少なくとも食べ物を盗まれたくない人間は、しっかりと周囲のカモメを監視することで食べ物を守ることが可能です。

人間の食べ物には普段カモメが食べないような量の油が含まれており、食べ過ぎは健康状態の悪化につながりかねません。そのため、カモメを見張り続けるという行動は、人間だけでなくカモメにとってもいい影響を与えると研究者は主張しました。

by Yalçin Erkol

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in サイエンス,   生き物,   動画, Posted by log1h_ik

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