iPhoneの広告費をAppleが通信キャリアに負担させたとして韓国当局と紛争、Appleは異例の非難コメント
by Bagus Hernawan
韓国の公正取引委員会(FTC)は2019年1月Appleに対し、「会社の優位性を利用して通信キャリアに広告費を負担させた」として訴訟を起こしました。AppleはFTCの主張に真っ向から反対していたものの、訴訟ではなく歩み寄りの姿勢を見せたことがわかりました。一方でAppleは本件に関して「韓国のFTCのアプローチに深く失望した」とする異例の非難コメントを発表しています。
Apple to take voluntary action to correct unfair practices in Korea
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20190704000573
Apple seeks consent decree over its alleged violation of competition law
http://www.theinvestor.co.kr/view.php?ud=20190704000447
Apple wants to settle antitrust standoff with South Korean regulators | Cult of Mac
https://www.cultofmac.com/636310/apple-wants-to-settle-antitrust-standoff-with-south-korean-regulators/
Appleと韓国の公正取引委員会(FTC)の間でもめ事が発生するのはこれが始めてではなく、2016年に韓国の公正取引員会はAppleが地元の携帯電話キャリアと不公正な契約をしたかどうかを調べるために調査を行っています。2018年にはiPhone Xの発売前に韓国当局がAppleオフィスを強制捜査する事態にも発展したほか、2019年1月には「Appleが優位な立場を利用して現地の通信キャリアから広告費などを徴収している」という問題が指摘されていました。The Korea Heraldが報じた内容によると、Appleは地元のキャリアに対してiPhoneのテレビ広告費用・イベント費用・修理費用などを負担させたとのこと。韓国の公正取引員会は「Appleの宣伝活動は『ブランド戦略』として正当化されるべきものではない」としてAppleに対して訴訟を起こしました。
Apple exploits mobile carriers: FTC
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20190121000607
これに対し、Apple側を擁護する経済学者は「Appleが強い力を持っている」ということを否定。テレビCMはAppleと通信キャリアの双方に利益をもたらすものであり、「Appleが行った広告活動はAppleのブランド評判を保つものとして正当化される」という主張がなされました。一方で韓国の公正取引員会側はAppleの力は地元キャリアのそれをしのぐものであり、広告費を通信キャリアに負担させることで不当に利益を搾取したと述べました。
Appleが有罪判決を受けた場合、関連する売上の最大2%が罰金として科される可能性がありましたが、2019年7月4日の報道で、Appleが同意審決を求めたことが判明。これは、Appleが独占禁止法違反の事実を認め、審判をおりて、勧告を受け入れたことを意味します。
Appleの行動を受けて韓国の公正取引員会のソン・サンミン氏は「Appleは法廷紛争を続けるか韓国の公正取引員会と歩み寄るかというところで、より経済的な選択肢を選んだようだ」とコメント。一方、この発表から数時間後にAppleは「私たちは韓国の公正取引員会のアプローチに深く失望しており、Appleに非がないにも関わらずこのような行動が取られたことには同意できません」と韓国の公正取引員会を非難する異例のコメントを発表しています。
by Neil Soni
今後の流れとしては、独占禁止局が審査報告を提出し、14日以内に内容が審議されることとなります。その後、利害関係者、関連組織、検事総長による協議のあと、決定が韓国の公正取引員会の委員長に伝達されます。Appleが提出した同意審決が承認されなければ、引き続きAppleは罰金を科される可能性があるとのこと。
Appleと韓国当局の紛争に対し、コンサル企業のEndpoint Technologiesの代表であるRoger Kay氏は「韓国の公正取引員会は海外企業に対して根拠のうすい罰金を科すことで知られている」とコメントしています。一方で、Appleが通信キャリアと広告費でもめたのはこれが始めてではなく、同様の問題から2013年には台湾で約7300万円、2016年にはフランスで約64億円の罰金を支払っています。
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