マカダミアナッツの遺伝的多様性は非常に乏しく商業栽培種の70％が単一の起源を持つ

by sunnysun0804

マカダミアの種子はマカダミアナッツと呼ばれ、食用としてチョコレートやクッキーなどに広く使われています。そんなマカダミアは遺伝的多様性に乏しく、世界中の果樹園で育つマカダミアのうち70％が単一の起源を持つことが、遺伝子研究から明らかになりました。

Frontiers | Wild Origins of Macadamia Domestication Identified Through Intraspecific Chloroplast Genome Sequencing | Plant Science
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpls.2019.00334/full#h1

Nut of note: 70% of world's macadamia can be traced back to single Australian tree | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2019/jun/01/nut-of-note-70-of-worlds-macadamia-come-from-single-australian-tree

'Shocking' DNA discovery traces most of the world's macadamias back to one Australian tree - ABC Rural - ABC News
https://www.abc.net.au/news/rural/2019-05-30/macadamia-research-nuts/11160786

マカダミアの原産地はオーストラリアですが、現代ではアメリカや南アフリカなどでも栽培されており、中でもハワイはマカダミアの主要な栽培地として知られています。クイーンズランド大学の園芸科学研究者であるCraig Hardner氏とサザンクロス大学のCatherine Nock氏は、ハワイの商業用マカダミア園で栽培されているマカダミアからDNAを集め、その起源を追跡する研究を行いました。

遺伝子マーカーを用いて祖先をたどっていった結果、ハワイで栽培される全ての商業用マカダミアは、クイーンズランド州の州都ブリスベンの北160km、ムールーのマカダミアを起源に持つことが判明しました。ハワイのマカダミアはいずれもムールーのマカダミアと共通の独特な遺伝子マーカーを持っており、1896年にムールーのマカダミアがハワイのホノルルへ持ち込まれたことが記録として残っています。

マカダミア栽培は30億ドル(約3300億円)規模の産業ですが、今回の研究結果は商業栽培されているマカダミアの70％が同一の遺伝子を持っていることを示しており、遺伝的多様性が非常に乏しいことがわかります。Nock氏は、「多くの園芸用作物と同様にマカダミアも接ぎ木によって増やされているため、膨大な数の木が同一の遺伝子を持っています」と述べています。

by Wow_Pho

オーストラリアにあるマカダミアの本来の生息地は、開発によって以前よりも減少しています。それでもなお、原産地であるクイーンズランド州南部とニューサウスウェールズ州北部には、商業栽培されているマカダミアと比較して豊富な遺伝的多様性が残っています。

Hardner氏は、遺伝的多様性は作物の生産性を向上させ、病気への抵抗性を高め、より広い場所で栽培することを可能にすると指摘。森林や人家の裏庭などから、品種改良に役立つ可能性のある新たなマカダミアの遺伝子を採取することができるとのこと。

「商業栽培されているマカダミアは野生の状態からわずか数世代しかたっておらず、古くから栽培されてきたリンゴのように多くの遺伝子の選択サイクルを経験していません。これは、マカダミアの遺伝子がより改良される機会が多く残っていることを意味します」とHardner氏は述べ、野生のマカダミアの遺伝子マーカーを特定し、保護する取り組みが重要だと主張しました。

by revistaadelasa