メモ

フライトシミュレーター開発会社の社員が戦闘機のフライトマニュアルを密輸した疑いで逮捕される

by Airwolfhound

DCS:A-10C ウォートホッグ」「DCS World」といったフライトシミュレーターを開発したEagle Dynamicsの社員が、陰謀・密輸などの容疑で起訴されました。アメリカ政府は、社員がアメリカの軍事文書をロシアに密輸しようとしていたと主張。Eagle Dynamicsは、ゲームの開発業務と密輸は無関係であると主張しています。

All for game realism? Russian jailed in US for ‘buying F-16 manuals to help make flight simulator’ — RT World News
https://www.rt.com/news/459334-russian-f16-manuals-simulator-arrest/


Russian jailed in Weber County, charged with smuggling F-16 fighter jet manuals to Moscow | Military | standard.net
https://www.standard.net/news/military/russian-jailed-in-weber-county-charged-with-smuggling-f-/article_b7055cb8-d770-5b23-bf66-785104ff5152.html


DCS Worldは基本無料で遊べる戦闘機シミュレーションゲームですが、「戦闘機の離陸・着陸を覚えるまでに1週間もかかることがある」といわれるほど高度に作り込まれていて、フランス空軍ではミラージュ2000のパイロットを訓練するためにDCS Worldをシミュレーターとして採用したと報じられています

DCS Worldで実際にミラージュ2000Cを飛ばす様子が以下のムービー。

DCS World: Desert Warrior | M2000c - YouTube


Eagle Dynamicsの社員でロシア国籍のOleg Mikhaylovich Tishchenko氏は、2016年にDCSシリーズについてのオンラインフォーラムで、オークションサイトのeBayで販売されていたF-16 A/B防空戦闘機(ADF)のマニュアルをロシアから購入する方法について尋ねたとのこと。このマニュアルは、(PDFファイル)武器輸出管理法(AECA)と国際武器取引規制(ITAR)によって厳しく制限されていて、アメリカ国外に持ち出すことは固く禁じられています。マニュアルの出品者はこの法規制を知っていたため、ロシアへは出荷できないと回答。しかし、Tishchenko氏は諦めきれなかったのか、オンラインフォーラムで入手する方法を尋ねてしまったというわけです。そして、オンラインフォーラムの参加者だったテキサス州出身のKenneth Edward Sullivan氏が協力し、、「Sullivan氏が落札したマニュアルをいったん受け取った後、モスクワに送る」という方法でTishchenko氏はマニュアルをゲットしました。

by DVIDSHUB

Tishchenko氏は2016年に訴追され、2019年にグルジアからアメリカに渡った際に「アメリカに対する共謀、武器輸出管理法の密輸および違反」の容疑で逮捕されました。また、捜査当局によると、Tishchenko氏が2012年から2015年9月にかけて、キプロス・日本・オランダ・オーストラリア・ドイツ・台湾のバイヤーにF-16の飛行マニュアルを競売したこともeBayの記録から判明したとのこと。アメリカ国籍を持たないTishchenko氏は逃亡の恐れがあるとして、記事作成時点ではユタ州の刑務所に収容されているとのこと。有罪が確定すれば、懲役10年以上の判決が下るだろうとみられています。一方、協力したSullivan氏については18カ月の起訴延期が認められ、5月15日にはすべての起訴が棄却されたそうです。

実は、Eagle DynamicsはDCS World向けにF-16C ブロック50の追加MODを2019年に配信する予定だったのですがキャンセルされたため、ファンからはこの騒動がきっかけで配信が中止になるのではないかと心配する声もあがりました。Eagle DynamicsのシニアプロデューサーであるMatt Wagner氏は「当社は従業員の行為について内部調査を開始しましたが、当社の記録には彼について起訴事実に関連するものはありませんでした。この調査では会社のリソースが使用されておらず、輸出制限文書は会社のシステム内で取得・保存されてはいないことが確認されました。また、当該する従業員がF-16 MODの開発作業や研究に関わっていなかったことも確認済みです」というコメントをオンラインフォーラムで発表しました。


ワシントンD.C.にあるロシア大使館は、Tishchenko氏がアメリカ当局にはめられた可能性を示唆し、Tishchenko氏の法的権利を保護するために必要な領事支援を行うと明らかにしました。

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in メモ,   乗り物,   動画,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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