サイエンス

透明で自己充電可能なバッテリーがグラフェンを活用して開発される


韓国の大邱慶北科学技術院(DGIST)は、「グラフェンベースで発電と蓄電を同時に行えるような、透明フィルムタイプの多機能エネルギーデバイスを開発した」と発表しました。透明になることで従来のバッテリーでは困難だったものにも広く適用できる可能性があり、皮膚に取付け可能なデバイスなどへの応用が期待されています。

Single-Layer Graphene-Based Transparent and Flexible Multifunctional Electronics for Self-Charging Power and Touch-Sensing Systems - ACS Applied Materials & Interfaces (ACS Publications)
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.8b20143


에너지의 발전과 저장을 한번에, '신개념 투명 배터리' 개발
https://www.dgist.ac.kr/kr/html/sub06/060102.html?mode=V&no=a413621f7a92694834425e836d4ce191

グラフェンは、炭素原子が結合して六角形格子構造をとったシート状の物質です。単層の厚さはおよそ335pm(ピコメートル)と非常に薄く、電子移動度が非常に高く導電性に優れているのがグラフェンの大きな特徴。バッテリーの容量を倍にしたり、コンクリートの強度を倍にしたり、海水を淡水化したりと、グラフェンはさまざまな分野での利用が期待されている「夢の素材」です。

上級研究員のChangsoon Choi氏率いる研究チームは、透明なデバイスを開発するために、電極として単層のグラフェンフィルムを使用しました。グラフェンはその電気的特性から不透明度が高いのですが、研究チームは半固体電解質を含む高分子ナノマットを使用することによって、最大77.4%まで透明度を高め、風景や文字が透けて見えるようなグラフェン電極の作成に成功しました。

さらに研究チームは、エネルギー貯蔵パネルを上層に、エネルギー変換パネルを下層の内側に挿入することで自己充電できるようなバッテリーの開発に成功したとのこと。また、上層のエネルギー貯蔵パネルの直下にタッチセンサーを追加することで、タッチセンシングシステムを備えることもできたそうです。


以下の中央のグラフは、バッテリーにタッチすると、静電容量(縦軸)が変化していることを示したもの。また、右のグラフはバッテリーに圧力をかけることで最大135Vの電圧(縦軸)が発生していることを示しています。


技術の進歩によって、皮膚に直接電子回路を印刷したり、極めて薄いフィルムに印刷した電子回路を貼り付けたりということが可能になりました。今回開発された透明なバッテリーをこうした技術と組み合わせることで、さらなる応用が期待できます。

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Choi氏は「我々研究チームは、映画に登場するような透明なスマートフォンに感銘を受け、この研究をスタートしました。製造コストがまだ高く、商用化するにはまだまだ長い道のりがあります。今回の発見はこれまで明確な研究実績がなかった透明エネルギー貯蔵媒体という分野で成功を収めるものであり、私たちはこの技術を継続して発展させるためにベストを尽くします」と語りました。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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