皮膚より薄く超柔軟な基板&LEDを搭載して肌にシールっぽく貼れる電子人工皮膚(E-skin)が開発される
薄さはわずか3マイクロメートルと人間の皮膚よりも薄く、柔軟で人間の肌に貼れる有機LEDを、東京大学大学院工学系研究科 染谷隆夫教授・横田知之講師らの研究グループが発表しました。
Ultraflexible organic photonic skin | Science Advances
http://advances.sciencemag.org/content/2/4/e1501856
Super-thin electronic skin lights up a digital display on your hand | The Verge
http://www.theverge.com/2016/4/15/11437664/university-of-tokyo-flexible-electronic-skin-digital-display
Cover your body in light with “organic photonic skin” | Ars Technica
http://arstechnica.com/information-technology/2016/04/cover-your-body-in-light-with-organic-photonic-skin/
今回発表されたE-skinがどんなものなのかは以下のムービーを見るとよくわかります。
Electronic skin - YouTube
ムービーにはシールのようなものが貼られた手の甲が登場。
これがチカチカと点灯し始め……
皮膚がディスプレイ化してしまったように、2・8・6といった数字が次々に表示されていきます。
染谷研究室が発表したのは、非常に薄く柔軟性のある電子人工皮膚(E-skin)。基板やLEDが搭載されたプラスチックシートは皮膚にぴったりと貼り付けることが可能で、LEDは太陽光で自動的に充電され、暗い場所で色んな図柄の赤・青・緑などのLEDライトとして点灯させることができます。
LEDライトが搭載されたシートはくしゃくしゃっと丸めても機能に問題はなく、宝石のように輝きます。
さらに、シートは血中酸素濃度や心拍を測定することも可能で、計測した数値に連動させる形でLEDを点滅させることも可能。
構造はこんな感じで、封止膜・カソード・発光層・中間層・正孔注入層・透明電極・基板が重なっています。
染谷教授は2013年にも超薄型有機LEDを開発していましたが、これまでは窒素環境下での研究結果で、輝度や外部量子効率が十分でなかったとのこと。一方、今回開発したE-skinは酸素の透過率が低い保護膜を高分子基板上に形成することによって、高い柔軟性を保ったまま、大気中で安定して動作させることに成功したそうです。熱の放出や電力消費が少ないのも特徴とのこと。
これまでのE-skinは空気中において長くても数時間しかLEDを点灯させることができないという問題点を抱えていましたが、今回開発されたものは水分や酸素を透過させないため、数日間にわたってLEDの点灯を維持できるとのこと。このE-skinはウェアラブル端末のようにユーザーの体の状態を測定するだけでなく、タトゥーといったファッションアイテムとしてなど、さまざまな使用用途が想定されています。
なお、染谷研究室は過去に世界最薄の柔らかい電子回路や有機太陽電池などを発表しており、研究結果は以下のウェブサイトから見ることが可能です。
染谷研究室 有機トランジスタ・ラボ Someya Group Organic Transistor lab
http://www.ntech.t.u-tokyo.ac.jp/
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