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10代の少年少女には圧倒的に睡眠が足りていない

by AndrewExtra

6時間睡眠を続けている人は自分で気づかないうちに徹夜した人並みに認識能力が落ちていることが研究で示されるように、睡眠不足は健康に甚大な被害をおよぼします。特に脳が発達段階にある子どもの睡眠不足が世界規模で深刻であり、ブリティッシュ・コロンビア大学看護学校の教授であるWendy Hall氏がその重要性を説いています。

How much sleep do teenagers really need?
https://theconversation.com/how-much-sleep-do-teenagers-really-need-111797

まず最初に理解すべきなのは、十代の少年少女は成長過程にあり脳も発達段階にあるため、大人よりも多くの睡眠を必要とすること。また眠りと起床のリズムが大人と異なり、メラトニンの放出も遅いので、夜眠くなるまでに時間がかかり、就寝が遅れ、朝起きるのにも時間がかかります。さらに、SNSやオンラインチャット、ブラウジングといったものが、勉強の圧力とともに学生たちに影響を及ぼします。一方で、子どもの就寝時間について親はあまりコントロールしない傾向にあるとのこと。

子どもの睡眠時間と健康について調べた864の研究結果を専門家が再評価した結果、13歳~18歳の子どもが最大限に健康になるためには24時間ベースで8~10時間の睡眠を必要とすることが示されています。しかし、これまでの研究で、学校がある日の子どもの53%が8時間未満の睡眠しか取れていないことが判明しています。また範囲をアメリカに限定すると、推奨されているだけの睡眠を取り、運動を行い、スクリーン時間を制限できている子どもはほんの5%ほど。年齢が上がるほど、この推奨時間を守れない傾向にあることもわかっています。

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10代の少年少女の脳は発達段階にあるので、子どもたちの考えや感情、行動、人間関係は大きく変化します、脳接続は考える力の発達や、脳信号の変化に関わります。そして、脳システムのバランスの変化は子どもたちを危険にさらすこともあれば、報酬系を発達させることも。一方で子どもたちのストレス反応系は成熟しており、多くのストレスに反応します。2016年の研究では8時間未満の睡眠が自殺や過体重、自傷リスク、注意力散漫、成績悪化といったリスクを上昇させると述べられています。他方、9時間以上の睡眠は、10代の子どもにとって生活満足度の高さや、健康上の問題の少なさ、家族関係のよさと関係することが示されているとHall氏は指摘しています。

by Engin_Akyurt

また、学校のある日および休日に6時間以下の睡眠しかとらない子どもは、6時間以上眠る子どもに比べてアルコールや薬物を摂取するリスクが大きく、運転した際に事故を起こす危険性も高いことが示されています。身体的にみても睡眠時間が長く眠りの質がいい子どもは高血圧や高コレステロールのリスクが小さく、インスリン抵抗性やウエストのサイズといった点でも、睡眠時間が短く睡眠の質が悪い子どもに比べてよい結果を示したとのこと。この傾向は体脂肪率や運動量、食生活の質、テレビ視聴時間などを考慮してもなおみられたそうです。

テレビやスマートフォンなどの画面から放たれる光が睡眠の質を悪くすることはかねてからいわれており、2019年4月にはムービーを見ながらの「寝落ち」は睡眠障害になる可能性があるとも指摘されています。

ムービーを見ながら眠ると睡眠障害になる可能性がある - GIGAZINE


子どもの睡眠を促進するには寝る前にデバイスのスクリーンを見ることを避けること、そして運動の両方が推奨されています。両親は子どものベッドから充電パッドや充電ケーブルを離すといった工夫が必要であり、夕方以降は家族でリラックスできる運動などを行い、子どもの睡眠を促すことが重要だとHall氏は指摘しました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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