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【訃報】プログラミング言語「Erlang」を生んだジョー・アームストロング氏死去

by Måns Sandström

関数型プログラミング言語「Erlang」の生みの親として知られるコンピューター科学者・プログラマーのジョー・アームストロング(ジョセフ・レスリー・アームストロング)氏が2019年4月20日(土)に亡くなったことがわかりました。68歳でした。


Joe the office mate · Issue #32 · lukego/blog · GitHub
https://github.com/lukego/blog/issues/32

RIP Joe Armstrong, the author of Erlang
https://freethoughtblogs.com/kriswager/2019/04/20/rip-joe-armstrong-the-author-of-erlang/

アームストロング氏は1950年生まれで、イングランド南部にあるドーセットの町・ボーンマス出身です。

プログラミングとの出会いは17歳のころ、学校に導入されていたIBMのものであろうメインフレームでFORTRANを学んだこと。この経験を生かし、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン時代には物理学を専攻しつつ、ビールと引き換えに同級生のプログラムのデバッグを行っていたそうです。

アームストロング氏は、エリクソンコンピューターサイエンス研究所在籍中の1986年、ロバート・ヴァーディング氏やマイク・ウィリアムズ氏とともにプログラミング言語「Erlang」を開発しました。「Erlang」開発の目的は、電話通信アプリケーションの開発の改善だったとのこと。


1995年、エリクソンとスウェーデンの通信会社・Televerketによる新交換機開発の共同プロジェクト「AX-N」が頓挫。新たな交換機として「AXD」のプロジェクトが立ち上がり、ハードウェア部分はAX-Nを引き継ぎ、開発言語として「Erlang」が採用されました。Erlangによるコードが100万行以上含まれる「AXD 301」は1998年にリリースされました。

Ericsson AXD 301 - Carritech Telecommunications - YouTube


しかしこの年、エリクソンは「非独占的言語を優先する」という理由で、Erlangを以後の新製品には使わないという方針を決定。アームストロング氏は会社を去り、1998年末にErlangはオープンソース化されました。

アームストロング氏は2003年、「ソフトウェア・エラーが存在する中での信頼性の高い分散システムの作り方」という論文でストックホルム王立工科大学・コンピューター科学の博士号を取得。2004年にエリクソンに復帰し、2014年からは王立工科大学の教授を務めていました。

なお、アームストロング氏は「なぜオブジェクト指向はクソなのか」という名文を残しています。

Why OO Sucks
http://www.cs.otago.ac.nz/staffpriv/ok/Joe-Hates-OO.htm

訳文がいくつか存在するので参考にしてください。

連続体仮説: なぜオブジェクト指向はクソなのか by Joe Armstrong - 勝手に翻訳
http://chypot.blogspot.com/2012/08/by-joe-armstrong.html

オブジェクト指向はクソか? - tokoma1's blog
http://tokoma1.hatenablog.com/entry/2015/06/07/083347

Why OO Sucks by Joe Armstrong · GitHub
https://gist.github.com/posaunehm/4087971

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in メモ, Posted by logc_nt

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