【訃報】PNGフォーマットの生みの親のグレン・ランダース=パターソン氏死去
主流な画像形式として知られる「PNGフォーマット」を開発したメンバーの一人、グレン・ランダース=パーソン氏が病気のため亡くなっていたことが公表されました。享年77歳でした。
PNG and MNG/JNG image formats: home site / [png-mng-announce] Farewell, Glenn Rander-Pehrson
https://sourceforge.net/p/png-mng/mailman/message/36447670/
PNGフォーマットは、JPEGフォーマットやGIFフォーマットと並んでメジャーな画像形式です。1980年代後半に登場したGIFフォーマットは、ファイルの軽さや扱いやすさで一気に普及しましたが、1994年にデータ圧縮アルゴリズムのライセンスを巡って権利問題が発生。GIFフォーマットをサポートする画像編集ソフトの制作者や一般のユーザーが自由にGIFフォーマットを使うことができなくなりました。そこで、専門家によって結成された団体「Portable Network Graphics」によって、GIFフォーマットに取って代わるライセンスフリーの画像形式を目指して開発されたのがPNGフォーマットでした。
ランダース=パーソン氏は、このPortable Network Graphics Groupの設立者の一人でした。なお、「PNG」の命名者であるOliver Fromme氏は、「PNG」は団体名の略称ではなく「Ping is Not GIF(PINGはGIFじゃない)」という意味を込めていると冗談めいて語っています。
ランダース=パーソン氏は、そんなPNGフォーマットの開発・デザインに関わった1人。さらに、PNG Version 1.0の論文著者であり、PNG Version 1.1とVersion 1.2を経て、現在の国際標準規格としてのPNGフォーマットを形成した立役者です。また、世界で初めてPNG形式の画像をインターネット上に投稿したのもランダース=パーソン氏とのこと。以下の4つの画像が、インターネット史上初めてアップロードされたPNG形式の画像です。
また、ランダース=パーソン氏はPNG形式の国際標準規格のリファレンスライブラリであるlibpngのサポートを20年にわたって行っていて、2017年1月6日には、libpngのVersion 1.26のアップデート作業を行う自身の姿をFacebookで公開していました。しかし長い闘病生活の末、2018年10月中旬に惜しくも亡くなったとのことです。
ランダース=パーソン氏と同じくlibpngの開発に携わり、メインサポートを引き継ぐこととなったコズミン・トゥルータ氏は「ランダース=パーソン氏はPNGフォーマットの創造、開発、そしてウェブテクノロジーの礎を築くなど、多大な貢献を果たしました。これらはこれからも私たちが引き継いでいきます。私たちはランダース=パーソン氏にあまりにも大きな借りがあるのです。さよなら、グレン!」とコメントしています。
・関連記事
GNUプロジェクト提唱者のリチャード・ストールマンによる「心あるコミュニケーションのガイドライン」が発表される - GIGAZINE
世界的人気を誇った音楽プレーヤー「Winamp」がクラウド再生やストリーミング対応して2019年に復活予定 - GIGAZINE
24年の時を経てバージョンアップした「AmigaOS 3.1.4」が正式リリース - GIGAZINE
Linuxディストリビューション「Ubuntu 18.10」は6年の時を超えてどれだけ進化したのか、「Ubuntu 12.10」との性能比較レポートが公開中 - GIGAZINE
プログラミング言語「LOGO」のApple II向けソースコードが公開される - GIGAZINE
「ウェブの父」ティム・バーナーズ=リーが新プラットフォーム「Solid」を発表 - GIGAZINE
・関連コンテンツ