レビュー

アクマを封印するためにお互いの気持ちを「察し合って」カードを置く協力型カードゲーム「THE GAME オバケやしきのすうじのアクマ」プレイレビュー


THE GAME オバケやしきのすうじのアクマ」は2から98までの数字カードを「大富豪(大貧民)」のように場に置き合い、あふれ出たアクマを再度封印するというゲームです。このゲームは対戦ゲームではなく、全員で協力し合ってチームの勝利を目指す「協力型ゲーム」となっており、「駆け引き」より仲間の気持ちを「察し合う」ことが重要なゲームになっているとのこと。お互いに察し合って見事アクマを封印することが可能か、実際にプレイしてみました。

THE GAME オバケやしきのすうじのアクマ オバケ屋敷にはアクマがいっぱい!みんなで協力して封印しよう♪……でも、数字だけは口にするな!!
http://www.arclight.co.jp/ag/index.php?page=products&code=LG-0345

これが「THE GAME オバケやしきのすうじのアクマ」のパッケージです。


THE GAME オバケやしきのすうじのアクマは「The Game」というドイツのカードゲームを、かわいいイラストつきでリニューアルしたものです。音楽グループ「19」でジャケットデザインや作詞を担当していた326(ミツル)氏がイラストを描いており、フランケンシュタインやマミー、ドラキュラなどのアクマたちがコミカルに描かれています。


プレイ人数は1~6人、プレイ時間は15~30分、対象年齢は8歳以上となっています。


箱の中にはカード一式・魔法陣シート・説明書が入っていました。


THE GAME オバケやしきのすうじのアクマは、ルールに従って2から99までの数字が書かれた「数字カード」を置き合い、すべての数字カードを置き切ったら全員が勝利、カードが余ると全員が敗北となる協力型のカードゲームです。


数字カードには「次の人はカードを2枚引く」という「ドロー2」や、「場に見えていると会話禁止」という「サイレント」など、特殊な効果を持つものもあります。


「死の宣告」カードは「次の人が終わるまでに隠さないと全員敗北」という凶悪な効果です。勝利のためにはすべてのカードを場に置く必要があるので、「死の宣告」であっても避けては通れません。


ルール説明や進行の補助をしてくれる「ルールカード」もあり、ここにはゲームのルールが簡単かつわかりやすくまとめられており、プレイヤーは手元でサクッとルールを確認できるようになっています。


「手番順カード」は、時計回り/反時計回りのどちらでゲームが進行するかを示してくれるものです。「オープニングカード」「エンディングカード」はこのゲームの世界観をわかりやすく説明してくれます。


それでは実際にプレイしてみます。オープニングカードいわく、「今日の探検の舞台は、街はずれのオバケ屋敷。ところが呪いの本の封印を解いてしまった!モクモク煙があがり、アクマたちが現れる。だがアクマたちの目覚めは完全ではない。まだ間に合う、もう一度封印しよう!」とのこと。呪いの本から出てきたアクマたちに世界が乗っ取られないように、アクマを本に再度封印することがゲームの目的です。


封印の方法は数字カードをすべて魔方陣シートの四隅にある「置き場」に置ききるというもの。プレイヤーはルールに従って自分の手札を「置き場」に置き、山札から手元のカードが規定枚数になるように引いて、山札を減らしてゆきます。山札がすべてなくなった後、さらに手札もすべてなくなったらプレイヤーの完全勝利。アクマは再度封印されて世界は平和に戻ります。


置き方のルールは、既に置かれているカードよりも「大きい数字」か「小さい数字」の手札を上に置くというものです。「UP」と書かれた置き場には「大きい数字」の数字カードを置くことが可能です。


実際にやってみるとこんな感じ。初期配置の「1」の上に「4」、「4」の上に「24」と、数字が大きくなる順番ならばどんな順番で手札を置いてもOK。


「DOWN」と書かれた青色の側は、「数字が小さくなる順」に数字カードを置いていけます。


各プレイヤーに規定の枚数の手札を配ってゲームスタート、初期手札の枚数はプレイヤーの人数によって異なります。今回は4人でプレイするので、初期手札の枚数は6枚です。


プレイヤーは毎ターン最低2枚の手札を場に置く必要があります。置き方は同じ置き場に2枚置いてもOKで、別々の場所に1枚ずつ置いてもOKです。


数字カードを置いた後は、手札が初期枚数になるように山札から数字カードを引いて、ターンエンド。


重要な特殊ルールとして、「10戻し」があります。「10戻し」は場札と手札の差がちょうど「10」のときだけ、数字の大小の法則に逆らってカードを置くことができるというもの。例えば、「DOWN」の置き場に「72」の数字カードが置かれている場合、本来は「72より小さい」カードしか上に置けませんが、「10戻し」によって82のカードは置いてOKとなります。


また、THE GAME オバケやしきのすうじのアクマは協力して勝利を目指すゲームなので、「コミュニケーション」が重要になります。「どうしても出したいカードがあるから、この置き場にはカードを置いてほしくない……」と他のプレイヤーに伝えたり、「この置き場にカードを置いても大丈夫?」など、他のプレイヤーと協力することが可能。しかし、自分の持っているカードの数字を言うなどの行為はNGです。


「2の5乗!」や、「ゲルマニウムの原子番号!」など、直接的ではない言い方で数字を伝えることや、手札を見せ合うこともNG。そのため、「ここに置きたいんだけど、結構離れた数字でもいい?」「どれくらい数字が飛ぶの?」「……えーっと、結構!」などという会話が頻発します。プレイヤー同士で「結構」「少し」「ほーんのちょっと」など、置きたい数字カードの意思疎通を試みますが、思いが伝わらなくてヤキモキすることが多々あります。むしろ、このもどかしさが醍醐味といえるのかも。


「次の人が終わるまでに隠さないと全員敗北」という凶悪な効果の「死の宣告」カードも……


事前に「ここに『死の宣告』カードを置くけど、大丈夫だよね?」とコミュニケーションをとると対処しやすくなります。


ドロー2などの「特殊カード」は、背景が黄色になっており、場に出すと強制的にターンが終了します。「ドロー2」は「UNO」などでは相手プレイヤーを不利にするカードですが、THE GAME オバケやしきのすうじのアクマでは手札が増えるほど出せるカードの選択肢が増えるため、むしろプラスの効果のカードになっています。


「『25』と『35』」など、自分の手札だけで「10戻し」ができるときは積極的に出してチームに貢献するチャンス。とにかく「10戻し」を積極的に行わないとどんどん苦しくなるので、「『10戻し』ができるか」を考えることが大事なようです。


3人以上のプレイだと手札は常に6枚ですが、ゲームが進行するにつれて意外なほど「6枚は少ない」と思えるようになります。この場合では、「97」を「UP」の置き場に出してしまうと、その置き場には「98」「99」しか出せなくなってしまうため、出すのをためらうカードです。同様の理由で、手元にある「15」「19」「92」のカードも勝利のためには出しにくいカードです。このようにゲームが進むにつれて「チームの勝利を考えると出しにくいカード」が増えていくので、「自分のターンに2枚カードを出さなければならない」というルールが重くのしかかります。


そうこうしているうちに、別のプレイヤーが「もうここにしか出せない!」と主張し、置き場に「98」が置かれてしまいます。手元の「97」を置くには一歩遅い状態に。


絶望的な気持ちになっていると、また別のプレイヤーが「2回も『10戻し』できるぞ!」と一気に「20戻し」を行いました。「これで一気に勝利が近づいたぞ!」と一同喜びますが……


「見えている間は会話禁止」の「サイレント」のカード効果によって、その盛り上がりを言葉で表現することは禁じられてしまいます。仕方がないのでお互いに万歳してたたえ合ったり、ジェスチャーで「そこに置かないで!」などと伝え合いながらゲームを進行します。


ちょうど「サイレント」効果が解けた頃、山札がなくなりました。山札がなくなるとゲームは第二段階になり、これまでは1ターンに2枚のカードを出さなければならなかったところが、「1ターン1枚」でOKになります。プレイヤー全員の手札が0枚になったら「完全勝利」、人類はアクマに打ち勝てます。


しかし終盤になるとゲームはぐっと苦しくなります。「DOWN」の場には「46」「14」と、「46」以下のカードはまだまだ出せる余裕がありますが、「UP」の場は「99」「89」と、「89」以上のカードしか場に出せません。「10戻し」を駆使できなければ、「46以上89以下」のカードは場に出せない状態です。


結局、プレイヤーAの手札に「76」、Bの手札に「92」「60」が残ってゲーム終了。残念ながら「完全勝利」はできませんでしたが、「封印成功」のエンディングカードはお祝い感のあるイラストが描かれていました。


実際にプレイしてみると、「お互いにワイワイコミュニケーションをとりながら一丸となって苦難を耐え忍ぶ」という、「苦境に対するプレイヤー同士の一体感」を味わえるカードゲームになっていました。終盤は出せるカードがなくなってゆき、状況は悪くなるばかりですが、苦難になればなるほど「こっち、置いていい?」「いや、頼むから、置くならこっちで。そしたら次でなんとかできる!」など、会話が盛り上がります。難易度も絶妙で、山札がなくなった一応の勝利である「封印成功」までは慣れるとなんとかなる印象ですが、「完全勝利」はかなりの難易度となっており、複数人で何度もプレイできるやり応えも感じました。

また、THE GAME オバケやしきのすうじのアクマは1人プレイも可能です。実際にプレイしてみると、1人では数ターンで手札に「詰み」な数字カードが出てしまうなど、超難易度といった印象でした。人数が多ければ多いほど難易度は下がるようなので、友達とワイワイプレイするのに向いているかもしれません。


「THE GAME オバケやしきのすうじのアクマ」は税込2160円で購入可能です。記事掲載時点ではAmazon.co.jpから12%オフの税込1904円で購入可能でした。

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in レビュー,   ゲーム, Posted by darkhorse_log

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