コモドオオトカゲの密輸を防ぐため生息地のコモド島が観光客立ち入り禁止になる事態に

by Adhi Rachdian

インドネシアの小スンダ列島にあるコモド島は、人口約2000人の自然豊かな島です。コモド島はダイビングスポットとして人気があるほか、最大で全長3m以上にもなるコモドオオトカゲが生息していることでも有名であり、多くの観光客を集めています。そんなコモド島が、コモドオオトカゲの密輸を防ぐために観光客の立ち入りを禁止すると発表しました。

Komodo Island Off Limits for Tourism in 2020, Says Gov't - engteco_life_style Tempo.co
https://en.tempo.co/read/1190397/komodo-island-off-limits-for-tourism-in-2020-says-govt

Komodo Island Is Closing to Tourists Because People Are Stealing Dragons | Travel + Leisure
https://www.travelandleisure.com/travel-news/indonesia-closing-island-protecting-endangered-komodo-dragons

コモドオオトカゲはインドネシアのコモド島をはじめとするいくつかの島々に生息する巨大なトカゲであり、最大で全長3m13cm、体重は166kgにもなります。イノシシやシカといった大型哺乳類や鳥類、ハ虫類などを食料としており、かみついた獲物の血液凝固を阻害する毒を持っていることでも知られています。コモド国立公園によると1974年以降で30人ほどの人間がコモドオオトカゲにかまれ、5人が死亡しているとのこと。

農地開発や森林伐採、エサとなる動物の減少や密猟によってコモドオオトカゲの生息数は減少しており、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)によって1975年から保護されています。動物の保護活動を行うWorld Animal Foundationによると、すでに野生のコモドオオトカゲの個体数は6000頭程度まで減少しており、その全てがインドネシアのコモド国立公園に集中しているそうです。

コモド国立公園はいくつかの島々で構成されており、コモド島にはおよそ1800頭近くのコモドオオトカゲが生息しているとみられています。2019年3月29日、コモド島を有する東ヌサ・トゥンガラ州当局の広報担当者Marius Jelamu氏は、「2020年1月からコモド島を一時的に閉鎖し、観光客の立ち入りを禁止する予定です」と発表しました。

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今回のコモド島を閉鎖するという決定は、大規模なコモドオオトカゲの密輸事件が発覚したことを受けての措置とされています。2019年3月、東ジャワ警察はコモドオオトカゲを海外に輸出しようと計画した大規模な密輸グループを摘発し、グループの拠点から子どものコモドオオトカゲを救出したと発表しました。

犯罪グループはシンガポールを経由し、東南アジア諸国に向けてコモドオオトカゲを密輸する計画だったとのことで、コモドオオトカゲ1頭の価格はおよそ3万5000ドル(約390万円)だったそうです。過去にもコモドオオトカゲが密輸された事例は多く、違法な密輸業者はコモドオオトカゲの生息地である島々からこっそりとコモドオオトカゲを運び出し、闇市場を通じて世界中に販売しているとのこと。

そこで東ヌサ・ドゥンガラ州当局は2020年1月からコモド島を閉鎖することを、環境林業省との会合を経た後で正式に表明しました。Jelamu氏は今回の閉鎖措置があくまでもコモド島に限ったものであり、ほかの島々では観光客の立ち入りを禁止しないことを強調しています。

今回の閉鎖がいつ解除されるのかについては判明していませんが、閉鎖期間中は政府の自然保護担当者がコモド島の固有植物を植えるなどして環境を保護し、コモドオオトカゲの生息環境を整える時間を与えるだろうとみられています。Jelamu氏は今回の立ち入り禁止措置により、コモドオオトカゲの生息数が増加することが期待できると述べました。

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