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ウェブの父ティム・バーナーズ=リーが「今こそ我々全員がウェブのために立ち上がる時だ」と語る

by Jarle Naustvik

World Wide Webを考案し、「ウェブの父」とも呼ばれるティム・バーナーズ=リー氏が、自由で開かれたウェブのために考えるべき3つの問題を示しました。

Tim Berners-Lee's annual letter on the World Web's 30th anniversary — Quartz
https://qz.com/1568798/tim-berners-lees-annual-letter-on-the-world-webs-30th-anniversary/

ティム・バーナーズ=リー氏がWebの基本的な仕組みを発明してから30年が経過した今、世界の半分がウェブに接続されるようになり、ウェブが人々の生活をどんどん豊かにしています。一方で、ウェブには憎悪を拡散させ、ウェブ上の犯罪を助長する側面もあります。個人の力でインターネットを変えることはほとんど不可能なことのように思えますが、バーナーズ=リー氏は、過去30年にウェブがどれほどの変化を遂げてきたかを考えれば、30年後のウェブを変えることも決して不可能ではないと指摘しています。

by geralt

今日のウェブが直面している問題について、バーナーズ=リー氏は次の3つを提議しています。

◆1.国家によって支援されたハッキングや犯罪行為、オンラインでの嫌がらせなどの悪意ある攻撃
「この問題を完全に根絶することは不可能ですが、昔からそうしてきたように法律と規則で犯罪の発生を最小限に抑えることは可能です」とバーナーズ=リー氏は語っています。世界人権宣言国際海洋法宇宙条約により世界中の人々が基本的人権と利益を共有する仕組みが作られたように、ワールド・ワイド・ウェブ財団を通じて世界中の政府や企業らと協力して新たな協定を作ろうとしているとのこと。協定では各国の政府機関を、ウェブ上での経済活動がイノベーションと活気にあふれ開放的な場であり続けるよう保つ義務がある存在だと位置づけており、各国の政府に対してデジタル時代のための法律と規制を策定するよう求める条項が設けられています。また、政府機関の内部組織として、ウェブの公益が侵害されないよう目を光らせ、開かれたウェブを守る「open web champions(オープンウェブ・チャンピオン)」を選任するよう求めています。

by master1305

◆2.わざと扇情的な見出しやサムネイル画像を付けてクリックするよう仕向ける「clickbait(クリックベイト)」を仕掛けることで利潤が得られてしまうような仕組み
バーナーズ=リー氏は、「企業には、短期的な利益の追求が人権や民主主義、学問、人々の安全を脅かすことがないように、一層の努力をすることが求められています」と述べており、クリックベイトが利益を生み出すようなシステムを再考しなければならないとの考えを示しています。また、2019年には多くのハイテク企業の労働者が実務的な取り組みのために立ち上がってくれたとのことで、ワールド・ワイド・ウェブ財団はその取り組みを支援していくと話しています。

◆3.憎悪や偏りによってゆがめられたウェブ上の言論がもたらす悪影響
「もし私たちが自由で開かれたウェブを守る政治家を選ばず、また私たち自身が健全で建設的な言論の場としてのウェブを守る役割を果たさなければ、いつしか私たち自身が軽んじられことになるでしょう」とバーナーズ=リー氏は強調しています。その上で、ウェブにつながり、その利益を享受する者全員が自由で開かれたウェブを尊重し、また、政府や企業に対して説明責任を全うするよう働きかけることが最も重要だとのことです。

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in メモ,   ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1l_ks

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