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ユーザーの考えがそのまま物語の展開に直結する「インタラクティブなストーリー展開」をみせる作品の歴史

by Nong Vang

Netflixで独占配信されている映画の「ブラック・ミラー: バンダースナッチ」は、視聴者が物語の展開を決めることができる、視聴者と映画が相互に作用するインタラクティブ映画です。ユーザーは主人公・ステファンの行動を、朝食時に何をするかから、仕事の締め切りへの対処方法まで細かく指定することができます。基本的に決められたシナリオ通りに物語が進む映画とは異なり、視聴者が物語の行く末を決められるインタラクティブ映画ということで話題となった「ブラック・ミラー: バンダースナッチ」ですが、同じようにインタラクティブに物語の展開が変化する作品について、VRV Blogがまとめています。

Going off the Rails: A Brief History of Interactive Storytelling – VRV Blog
https://blog.vrv.co/kdennison/5225/going-off-the-rails-a-brief-history-of-interactive-storytelling/

きみならどうする?


バンタム・ブックスから発行され、記事作成時点ではヴァーモント州ウォーレンのChooseCoから出版されている子ども向けのゲームブックシリーズが「きみならどうする?(Choose Your Own Adventure)」です。1979年から1998年までの間に184冊ものタイトルをリリースした人気シリーズで、各パラグラフで状況を説明する文章の後に、物語をどう進めるかについての選択肢が提示され、読者は選択肢ごとに指定されたページへと飛びながら物語を読み進めます。読者がインタラクティブに遊べるゲームブックということで絶大な人気を誇り、本編だけでなくスピンオフ作品も多数登場しました。

◆アドベンチャーゲーム


銀河ヒッチハイク・ガイドコロッサル・ケーブ・アドベンチャーゾークといった初期のアドベンチャーゲームは、当時の「グラフィック制作のコストや技術的な制限」が存在するゲーム開発環境を回避するために作られたテキストベースのゲームでした。これらのゲームは最新のゲームのような洗練されたメタテキスト的要素は持ち合わせていませんが、現代ゲームの基礎となるフレームワークを築くきっかけとなったものであることは明らかです。

しかし、これらのゲームの弱点は1度プレイしたことがある人には明らかでした。当時のコンピューターの処理能力は限られていたため、「ゲームで使用される語彙が限られていた」というのが明らかな弱点だったそうです。そのため、当時のゲームでは意味が合っていても指定された正しい言葉でなければ認識されないなどの欠点がありました。


この当時のゲームは完全に選択ベースのもので、1つの目的につながる一連の正しい答えを選ぶか、潜在的な間違った答えに巻き込まれるかを選択するだけのものでしたが、より進化したインタラクティブなストーリーが楽しめる作品が後々登場することとなります。

◆産業安全について学ぶムービー


インタラクティブなストーリー展開は、本やゲームなどの娯楽目的にだけ取り入れられたわけではありません。重機の操縦など、産業安全に関わる分野でもインタラクティブなストーリー展開が採用されてきました。トレーニングプログラムの世界で、間違った選択や怠惰な選択が悲惨な結果をもたらすことをはっきりと示すことができるためです。しかし、産業安全について学ぶムービーの中で起きる「最悪のシナリオ」に興味を持つようになった人々が、わざと誤った選択を取りそれを楽しむようになってしまったそうです。

◆視聴者参加型のインタラクティブなTV番組


生放送のテレビ番組で視聴者投票で進行を決める双方向番組がありますが、このひな型となったのは1988年に放送されたシルヴェスター・マッコイ氏が司会を務めたBBCの子ども向け番組「What’s Your Story?」です。「What’s Your Story?」はユーザーの声を取り入れて進行を決めるという方法を初めて採用したテレビ番組で、番組内で流れたシーンに対して視聴者に「次に何が起こるか?」を電話で直接尋ね、その結果から次のエピソードを作成するという手法が取られました。

「What’s Your Story?」が採用したインタラクティブな展開は洗練されたものではなかったものの、前例のない革新的なものであったとのこと。

◆ビジュアルノベル


ゲーマーやアニメファンが分岐型のストーリーについて考えるとき、最初に頭に浮かび上がるのは、多くの場合ビジュアルノベルのはずです。ビジュアルノベルはアニメなどのアイデアは持っているものの、それを形作るだけの資金や体力を持ち合わせていない、という人々にとって費用対効果の高い選択肢になり得るものです。ビジュアルノベルはSFから恋愛シミュレーション、エロに至るまでさまざまな種類の物語を表現可能です。

すべてのビジュアルノベルがプレイヤーによる選択を含むわけではなく、テキスト付きの絵本や音声付きの絵本のようなものも存在します。そんなビジュアルノベルの中でも、VRV Blogが特に優れた例として挙げているのが、ゲームシナリオライターの奈須きのこ氏によるFateシリーズ。同シリーズの「プレイヤーにゲーム全体に影響を与える選択を行う機会を提供する」という特徴は、「自分が心を決めたクラスメートを選ぶくらい簡単かもしれないが、世界を破滅させる存在と同調するかどうかを選ぶくらい難しいことかもしれない」とVRV Blogは記しています。

また、VRV Blogは「ビジュアルノベルは『きみならどうする?』のアイデアを支持しており、ひとつの正しいエンディングが存在する形式になっている」とも記しています。

◆インタラクティブ劇


ビジュアルノベルの次に登場したインタラクティブなストーリー展開が楽しめる娯楽が、インタラクティブ劇です。「エドウィン・ドルードの謎」や「1月16日の夜に」のような劇曲は、複数のエンディングが用意されており、観客の投票により劇の結末が変化します。2007年に公開されたChris Econnの「The Boomerang Kid」も同じくインタラクティブな劇となっていますが、この劇では観客に手持ちの投票デバイスを配り、演目中に50箇所以上で自分なりの決断を下してもらい、それを基に最終的な結末が決められるというものに進化していました。

さらに、ホテルの中で役者がそれぞれ劇を演じ、観覧者はそれぞれ自由に好きなキャラクターや役者を追いながらストーリーをたどっていくという新しいタイプの劇「Sleep No More」も存在します。こういった新しいタイプのインタラクティブ劇は、観覧者が特定のキャラクターやシーンをどう判断するかだけでなく、どのキャラクターのどのシーンを観ているかによってもストーリーや劇全体に対する認識が大きく変わってくるという特徴があります。

◆最新のゲームにとってインタラクティブなストーリー展開は当然のものになりつつある


近年のゲームではビジュアルノベルのようにストーリーを分岐させるというアイデアが一般的になりつつあります。忠誠心や道徳観を問われるようなストーリー展開は最新のゲームではよくあることで、逆に「ゲームの結末や全体的な経験を変えるような選択肢を欠くことは、特徴がないというよりも侮辱的ですらある」とまでVRV Blogは記しています。

そんな最新のゲームの中で、インタラクティブなストーリー展開が楽しめるものとしてVRV Blogが挙げたのが「Detroit: Become Human」です。過去にGIGAZINEでもレビュー済みで、まるで「プレイする映画」という表現がピッタリなプレイヤーの選択により物語が大きく変化していくインタラクティブなゲームとなっているので、気になる人は以下の記事をチェックしてみてください。

まるで「プレイする映画」な独特の没入感と緊迫感を味わえるゲーム「Detroit: Become Human」レビュー - GIGAZINE


◆インディーズゲームの逆襲


選択ベースのゲームはさまざまなエンディングのすべてを集めることを目的とするケースがありますが、最新のゲームの中には選択の概念が進化した作品も複数存在するとのこと。VRV Blogが例として挙げたのは「Undertale」および「Doki Doki Literature Club!」。分岐型のストーリーという点ではまったく新しいものではありませんが、それをどのように活用するか、そして分岐したエンディングがプレイヤーにどのような衝撃を与えるかにおいて、これらの作品は素晴らしいものとなっているとのこと。

◆おまけ
また、VRV Blogはインタラクティブな物語を作成するために使えるツールも同時に紹介しています。

オープンソースのインタラクティブな物語を作成するためのツール「Twine」は、個人もしくは商業用のインタラクティブなテキストを気軽に作成可能。

Twine / An open-source tool for telling interactive, nonlinear stories


ビジュアルノベル作成用のフリーウェア「Ren'py」は、誰でも手軽に分岐型のストーリーを作成できるようになります。

The Ren'Py Visual Novel Engine

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in ゲーム, Posted by logu_ii

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