乗り物

鉄道のエネルギー効率は自動車や飛行機を圧倒的に上回る

by Trevor Dobson

これまで数十年にわたりホンダ・シビックに乗り、年間10万マイル(16万km)を飛行機で移動していて「自動車と飛行機に対して敵意はない」という科学者のヴァーツラフ・スミル氏が、高速鉄道のエネルギー効率の良さを説いています。

Fast Trains Are Energy Efficient (And Fast) - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/transportation/mass-transit/fast-trains-are-energy-efficient-and-fast


スミル氏が愛用するシビックの場合、街乗りで1人の乗員が移動するのに必要なエネルギーは1kmあたり2メガジュール(MJ)。2人で乗るなら、1人あたりの必要エネルギーは半分の1MJに減ります。車に比べると飛行機は驚くほど効率的で、1人・1kmあたりの必要エネルギーは1.5MJ未満に抑えられています。

しかし、それよりもさらに効率的なのが鉄道です。乗客が多い地下鉄という想定下での1人・1kmあたりの必要エネルギーはわずかに0.1MJ未満です。都市間移動に使われる高速鉄道でも効率性は悪くなく、新幹線の場合で0.35MJ、より設計が新しいフランスのTGVやドイツのICEで0.2MJといずれも飛行機よりも圧倒的に低く、効率がいいことを示しています。

また、場所によっては飛行機よりも素早く移動することが可能です。たとえば、280kmあるリヨンとマルセイユの間をTGVは100分で結んでいます。同じぐらいの距離があるニューヨークのラ・ガーディア空港とボストンのローガン空港の間(300km)はフライト時間こそ70分ですが、鉄道駅が都市の中心部にあるのに対して、いずれの空港も中心部からは離れているためそこまでの移動時間、さらにチェックイン時間が加算されるため、トータルの移動時間は175分ほどかかります。

by JESHOOTS

実際に、ヨーロッパでは高速鉄道網が形成されています。ところが、本来なら高速鉄道で結ぶのがよさそうな都市のペアがいくつもあるアメリカとカナダはこの面では遅れており、アムトラックが運行している特急列車「アセラ・エクスプレス」ですら平均速度は時速110kmで、高速鉄道には遠く至りません。ただ、1934年にシカゴ・バーリントン&クインシー鉄道に投入されたディーゼル車「パイオニア・ゼファー」がデンバーとシカゴの間の1633kmを平均時速124kmで走破したという記録があるので、アメリカも本腰を入れれば高速鉄道網を作り出すことはできるはず。スミル氏は「2034年に、平均時速300kmの高速鉄道がボストンとワシントンD.C.、サンフランシスコとロサンゼルス、トロントとモントリオールを結んでいるのを見られるでしょうか?」と締めくくっています。

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in 乗り物, Posted by logc_nt

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