ヨーロッパを1日かけて電車移動できる距離が西と東で全然違うことが明らかに
By Oliver Mallich
ヨーロッパを観光する人々は移動手段として飛行機や車を使わずに電車を利用する人が多いもの。これは電車の運賃が安価であるということと目的地に着くまでの時間が計算できることが理由であると言われています。実際にロンドンを出発して、パリに到着するまでは4時間もかからないそうですが、東ヨーロッパでは同じ距離を移動するだけでも22時間以上かかり、西ヨーロッパと東ヨーロッパの鉄道網に大きな差があることが明らかになっています。
Map: The remarkable distances you can travel on a European train in less than a day - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2015/06/05/map-the-remarkable-distances-you-can-travel-on-a-european-train-in-less-than-a-day/
このデータを発表したのはハーバード大学の研究員であるピーター・カルペジェブ氏で28のヨーロッパの都市から、1日以内でどの地域まで移動できるかを調査しています。この28都市の中でも最速の鉄道網を築いているのは、ロンドン・パリ・ブリュッセルを結ぶ高速鉄道網であり、カルペジェブ氏は「パリをスタートする場合、ロンドン、地中海沿岸まで向かうのに4時間もかかりません」と語っています。
実際にパリを出発点としたときの地図は以下になっています。濃い赤色の部分が2時間以内で移動可能な距離を示し、到着する時間が6時間、10時間、14時間、18時間、22時間となるにつれて薄くなり、22時間を超える場合はグレーで示されています。フランスのパリをスタートすると、北はロンドン、南は地中海沿岸まで最短なら6時間以内で到達できることがわかります。カルペジェブ氏によると、実際にパリ~ロンドン間、パリ~地中海沿岸間の移動時間は4時間とのこと。また、東ヨーロッパのブルガリアの首都であるソフィアを出発点とすると、パリ~ロンドン間とほぼ変わらない距離に位置するボスニア・ヘルツェゴビナの首都「サラエボ」に到着するまでに18時間以上かかることがわかります。このため、パリとソフィアで鉄道網に大きな格差があることがわかります。
次に、西ヨーロッパの主要都市を出発点としたものを見てみます。以下は、イギリスのロンドン、パリ、イタリアのローマ、スペインのマドリードを出発したときの移動距離を示しています。ロンドンを出発した場合、1日以内でグレートブリテン島全域、イタリア半島の南端まで移動することができ、ローマを出発点とした場合は、イタリア半島全域~グレートブリテン島の南半分まで移動可能です。また、マドリードを出発点とした場合はポルトガル全域はもちろん、北はグレートブリテン島のスコットランドをカバーしない範囲、南はイタリア半島全域に1日で移動できることがわかります。パリ以外にも、西ヨーロッパの各都市を出発点にした場合であっても、1日で長距離を移動できることから、西ヨーロッパの鉄道網が発展していることがわかります。
以下の画像は、東ヨーロッパの8都市を出発点としたときの移動距離を示しており、ベラルーシのミンスク、ハンガリーのブダペスト、クロアチアのザグレブ、セルビアのベオグラード、リトアニアのヴィリニュス、ラトビアのリガ、エストニアのタリン、モンテネグロのポドゴリツァを出発点に設定したものがまとめられています。この画像を見ると、上段のミンスク、ブダペスト、ザグレブ、ベオグラードを出発すると1日以内で移動できる距離が長めですが、西ヨーロッパと比較すると6時間以内で移動できる範囲が小さいことがわかります。また、下段の4都市については移動できる距離がかなり限られていて鉄道網が発展していないことが明白になっています。
以上を踏まえて、カルペジェブ氏は「ヨーロッパを電車で旅行するときは高速鉄道のあるロンドン、ブリュッセル、パリを出発点にすると、スイスのジュネーブでTGVに乗り換えることもでき、より長距離を旅行できるのでオススメです」と述べています。
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