国内のバス路線を無料にする施策がエストニアで開始予定、世界初の「公共交通機関無料の国」へ前進
by Lauri Rantala
公共交通機関の運賃を無料にする試みは複数の都市で行われていますが、エストニアでは国を挙げてこの施策を進めており、2018年7月から、国内の都市を結ぶバスを無料にする計画を立てています。
EU GREEN WEEK - Estonia To Become The World’s First Free Public Transport Nation
https://popupcity.net/estonia-to-become-the-worlds-first-free-public-transport-nation/
County bus routes in Estonia free for riders beginning next July | News | ERR
https://news.err.ee/632659/county-bus-routes-in-estonia-free-for-riders-beginning-next-july
エストニアの首都・タリンでは、5年前からタリン市民が無料で公共交通機関を利用できる施策を進めています。
by Dumbo711
この施策は、補助金によって運賃分をカバーすることで実現しているものなのですが、「公共交通機関を無料で利用するためにタリンで住民登録を行う」という動機付けになったことから、補助金支出の倍の収入が得られているとのこと。
公共交通機関を無料にすることで得をするのはそれほど所得が多くない人たちが中心ですが、高所得者層もレストランやバー、映画を見に出かけるときに利用していて、しかも外出先でお金を使うので、地域ビジネスとしての効果も出ているそうです。
タリンでは公共交通機関利用推進、および市街地の交通量抑制を狙って、駐車料金をかなり値上げしました。一方で、駅や停留所近くにある駐車場に車を止めて、都心部へは公共交通機関を利用するというパークアンドライドを利用すれば、駐車した当日ならタリン市民以外でも公共交通機関が無料になり、駐車料金も無料になるという仕組みを取り入れました。これは大変好評で、高額になった駐車料金に文句を言う人は誰もいないとのこと。
すでにタリン以外の都市でも同じ仕組みの導入が始まっており、次はエストニア全土を結ぶバスでも同じように無料の仕組みが取り入れられることになるとのこと。無料化は2018年7月から開始予定です。
Citylabでは、この施策が「富の再分配」であり、地方の公共交通機関の利便性を高めることで、地方からの人口流出を食い止める一手であると指摘しています。
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