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最大144年まで古い録音の著作権保護期間を延長する法案がアメリカ連邦議会で議論中


アメリカの連邦議会で、1972年以前に作成されたレコード音楽への保護を目的とした新法案「CLASSICS Act」が検討されています。仮にこの法案が承認された場合、1923年から1972年の録音は2067年まで保護期間が延長されることとなるため、一部からは法案への反対の声も挙がっています。

S.2393 - 115th Congress (2017-2018): CLASSICS Act | Congress.gov | Library of Congress
https://www.congress.gov/bill/115th-congress/senate-bill/2393/


US Congress mulls extending copyright yet again – to 144 years • The Register
https://www.theregister.co.uk/2018/05/18/us_congress_copyright_extension/


PandoraApple MusicSpotifyなどの音楽ストリーミングサービスが勢いを増す一方で、アメリカの各著作権管理団体は楽曲のストリーミング配信に対応できていないのが現状で、ストリーミングサービス側と権利者側で多額の使用料を巡って訴訟が起こることも。Music Modernization Act(MMA:音楽近代化法)は、音楽のデジタルストリーミングが主流となった現代に対応するための法律で、具体的には「ネット上の楽曲利用に対して使用料を徴収し、権利者へ分配する第三者的な組織を創設する」というものです。


ただし、アメリカの連邦著作権法は1972年2月15日より前に録音された音源には適用されず、今までは各州の法律が適用される状態となっていました。そこで、MMAと組み合わせられるCLASSICS Actは、1923年から1972年2月15日の音源については2067年まで著作権保護期間を延長し、連邦著作権法を適用できる状態にします。

本来であれば、アメリカでは著作者が死亡してから70年経過すれば著作権は消滅します。また、1998年に制定された著作権延長法により、法人著作権も95年で消滅します。例えば、1923年に発表された楽曲は最大でも2018年には著作権が消滅してパブリックドメインとなるはずなのですが、「CLASSICS Act」の適用によって、最大144年まで著作権保護期間が延長されることとなります。

しかし、1972年以前に発表された楽曲には、もはや権利者が誰かも分からない「孤立した作品」と呼ばれる状態のものも多く、そのような作品の権利を誰が保有しているのかをすべて調べてライセンス料について合意を得るのはかなり難しいものがあります。しかし、「孤立した作品」の問題を解決しないまま、CLASSICS Actsを制定してしまうと、悪意ある第三者に利用されてしまい、巨額の賠償金を求める訴訟が起こされる可能性もあります。


また、ライセンスはPandoraやSpotifyなどの大企業の資本がなければ取得できないため、ストリーミング配信で1972年以前の録音を聞こうとした場合、必然的にPandoraやSpotifyと契約しなければならず、この法案は特定の企業に競争力を与えてしまうことになります。

電子フロンティア財団は、連邦議会議員を説得するために働きかけていて、CLASSICS Actsによって文化的な録音が奪い合いになってしまわないように注意喚起を行っているとのことです。また、知的財産権の政策議論に関わるアメリカの非営利団体「パブリック・ナレッジ」は「CLASSICS Actsは非営利のユーザーやアーカイブスを守ることがないまま、古い録音を取り巻く状況をより複雑なものにしている」と、40名を超える法学教授の連名で反対意見を表明しています。

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in ネットサービス,   メモ, Posted by log1i_yk