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2018年までに世界がどのくらい改善されたかを示す15のグラフ

by NASA

クリスマスも過ぎ、あと数日で2018年が終わります。世間を騒がすさまざまなニュースが報じられた2018年ですが、地球上で暮らす人間にとっては多くの良い出来事が起きた年でもあるそうで、一体地球上でどのような良い出来事が起きたのかを、Quartzが15個のグラフを使って示しています。

Ways the world improved in 2018, in charts — Quartz
https://qz.com/1506764/ways-the-world-improved-in-2018-in-charts/

◆環境面
2018年10月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公開した報告書では、2018年は前年よりも炭素排出量が増加していると推測されました。人類に甚大な被害を及ぼすような気候変動を回避するため、各国は温室効果ガスの排出量を急激に減少させる必要に迫られています。

「国連の機関が発表した気候変動に関するレポートは楽観的すぎる」という議論 - GIGAZINE


しかし、2016年に初めて世界のエネルギーシェアの10%を超えた再生可能エネルギーは、2017年には全体の約25%を占めるに至るまで成長したと国際エネルギー機関が発表しています。なお、再生可能エネルギーは2023年までにエネルギー全体の約30%をまかなうようになると国際エネルギー機関は予測しています。

以下のグラフは2000年から2016年までの世界で使用されているエネルギーにおける再生可能エネルギーが占める割合を示したもの。2016年に初めて10%を超え、2017年には一気に23.9%にまで上昇しています。


環境面における「地球にとって良いニュース」は再生可能エネルギーの利用拡大だけではありません。2016年から2017年にかけて、世界で合計約670万平方kmもの面積の海が環境保護の対象に加わりました。大部分が特定の国の領海であることから、多くの国で海洋保全プロジェクトが進められている証であると言えます。

以下のグラフは環境保護の対象となっている陸地(ピンク)および海(その他)の割合を示したもの。「Land(陸)」は全体の約15%ほどが環境保護の対象となっており、これは2016年から2017年になっても大きく変化はありません。しかし、環境保護の対象となっている「Marine, territorial waters(領海)」は1年でかなり増加していることが右上のグラフを見ると明らかです。なお、左下は環境保護の対象となっている「Marine, high seas(公海)」の割合、右下は環境保護の対象となっている「Ocean, overall(領海+公海)」の割合を示しています。


以下のグラフはこれまで人間の保護活動により絶滅危惧種のリストから外された動物の数を示したグラフ。2000年頃までは10数種しかリストから外すことができていませんでしたが、2015年以降、急激に絶滅危惧種のリストから外れる種の数が増えています。人間による絶滅危惧種の保存活動にはさまざまな要素が絡んでくるため、過去と現在の数だけを見て比較しても大きな意味は持ちません。しかし、「これだけ多くの種をリストから除外できるようになったという事実は有望なものである」とQuartzは記しています。


◆貧困・所得
貧困層は富裕層よりも10年近く早死にすることが明らかになっているように、貧困は人類が解決しなくてはならない大きな問題のひとつです。世界の貧困率を正確にはじき出すのは非常に難しいところです。しかし、世界銀行が定める貧困ライン、1日当たり1.90ドル(約210円)未満で生活する人を貧困層として、平均的な人が1日当たり稼ぐ金額との差分を比べることで、「貧困」がどの程度存在しているかをうかがい知ることはできます。

以下のグラフは、世界銀行が設定した貧困ラインである1.90ドルから平均的な人が1日当たり稼ぐ金額を引き、不足分の金額を示したもの。平均的な人が1日当たり稼ぐ金額は1980年代では1日当たり0.25~0.35ドル(約28~39円)、年間で91.25~127.75ドル(約1万~1万4000円)ほど貧困ラインから不足していたのですが、現代では1日当たり約0.05ドル(約6円)、年間で18.25ドル(約2000円)程度しか不足しなくなっています。これは、世界的に見れば明らかに貧困が減少していることを示しています。


そして貧困について考える際に考慮すべきもうひとつのポイントが、生活の質です。電気は健康・教育・満足に欠かせないものですが、2018年に発表された新しいデータによると、2017年に電気を利用することができた人の割合はなんと87%でした。


◆教育
幸福の主要な構成要素であり、経済発展やクオリティ・オブ・ライフの指標としても用いられる「教育」が、どの程度の水準に達しているのかを算出するために使われる要素のひとつが識字率です。以下のグラフは15歳以上の識字率を調べたもの。世界の15歳以上の人口は約55億人で、2015年から2016年にかけての識字率の増加は0.23%でした。これは、2015年から2016年にかけて、文字を読める15歳以上の人口が約1200万人増加したということを示します。


◆公衆衛生
世界中で起きている改善の中でも一際目に付きづらいのが、公衆衛生に関するものです。乳児死亡率や妊産婦死亡率、小児期発達障害、十代での妊娠率といったものは、世界全体の公衆衛生の水準を調べる上で重要な指標となります。なぜなら、これらの数値はすべて生きた人がヘルスケアの専門家や施設、医学にアクセスすることではじき出される数字だからです。

以下のグラフは新生児が1000人生まれると、何人の乳幼児が死亡するかを示したもの。1990年から死亡率は下がり続け、2017年には30人を切るまでに至っています。


以下のグラフは10万人の新生児が生まれた場合の妊産婦死亡数を示したもの。1990年から1998年にかけては一定のペースで緩やかに妊産婦死亡率が低下していましたが、それ以降は大きくペースアップし、2015年には10万人の新生児が生まれても死亡する妊産婦の数が220人以下となっています。


以下のグラフは小児期(5歳以下)に発達障害と診断される子どもの割合を示したもの。1990年の約40%という数字からほぼ同じペースで発症率が低下していき、2017年には23%以下にまで低下しています。


15~19歳(10代)の少女が妊娠する割合を調べたのが以下のグラフ。1000人の10代の少女のうち、妊娠経験のある少女の数を縦軸で示しています。1965年時点では1000人中80人以上の少女が妊娠経験があると回答していましたが、2015年にはその数が45人程度にまで減少しています。


公衆衛生における指標として使えるデータのひとつが、結核やマラリアといった治療可能な感染症の感染率に関するデータです。結核やマラリアといった感染症は貧しい地域では依然として問題となっていますが、それでも感染率は減少し続けています。

以下のグラフは結核の感染率を示したもの。縦軸が10万人中何人が結核に感染したかを示しており、その数は2000年から2002年にかけては横ばいだったのに対し、2016年までに30人以上数を減らしています。


以下のグラフはマラリアの感染率を示したもの。縦軸が1000人中何人がマラリアに感染するリスクがあるかを示しており、着実にそのリスクが減少していることがわかります。


◆男女平等とLGBTQの権利
特に裕福な国々では、教育における男女格差が如実に縮小し続けています。2018年に発表された新しいデータによると、2016年には小中学校の男女在籍率はほぼ同等になっています。なお、1986年時点では小中学校に通う男の子100人に対して、同じく学校に通っていた女の子の数は85.1人でした。これらの指標は毎年少しずつ数字を改善しているように見えますが、世界人口規模で考えるととても大きな変化であると感じられます。

以下のグラフは小中学校に在籍する男の子が100人いるとした際、女の子はどれくらい在籍していたかを示したもの。男子100人に対する女子の数は1986年が85.1人だったのに対して、2016年には99.7人にまで改善。男子と女子がほぼ同じ比率で小中学校に通うようになったことがよくわかります。


2018年のアメリカ選挙により、2019年からは少なくとも121人の女性が議員として働くこととなります。これは全議席の23%を占める数字に相当するのですが、世界全体の傾向でみると議席における女性の割合は2016年には既に23%を超えています。


男女平等だけでなく、LGBTQに対しての権利を求める運動も近年では盛んになっています。これを後押しするように世界各国で同性婚の合法化が進んでおり、2018年にはコスタリカの最高裁判所が同性婚を禁止する法律は違憲であると判決を下し、約30人の同性婚を認めました。

以下のグラフは同性婚を法律で認めている国の数を示したもの。2002年まではゼロだったのが、2018年には27カ国にまで増加しています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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