手足を失った人が「幻肢」を利用して手術なしで動かせるロボットアームが開発される
四肢を切断した人の75%が、なくなった手足の存在を感じ、それを動かすような感覚を得ているといいます。そこで、フランス国立科学研究センター(CNRS)とエクス=マルセイユ大学の研究者たちは臨床医と協力し、幻肢の動きを検知して稼働するロボットアームを開発しました。
Frontiers | Phantom-Mobility-Based Prosthesis Control in Transhumeral Amputees Without Surgical Reinnervation: A Preliminary Study | Bioengineering and Biotechnology
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fbioe.2018.00164/full
A prosthetic arm that decodes phantom limb movements | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-11/c-apa112618.php
「指でつまむ」「拳を作る」「手首を回す」といった幻肢の動きは、体に残った特定の筋肉の収縮と関係しています。研究者はこのような幻肢による筋肉の動きを検知するアルゴリズムを作成し、その上で、検知した動きをロボットアームによって再現できるようにしました。このロボットアームは装着に手術を必要とせず、かつ直感的にコントロールできるとのこと。
実験は被験者がロボットアームを装着するのではなく、切断された腕の近くにアームが置かれる形で行われました。2人の被験者はわずか数分の練習ののちに、ロボットアームをコントロールし、タスクを実行可能になったとのこと。
実際の実験の様子は以下のページにあるムービーから見ることができます。
VIDÉO D'EXPÉRIENCE - UNE PROTHÈSE DE BRAS QUI DÉCODE LES MOUVEMENTS DU MEMBRE FANTÔME
被験者の上腕、切断を免れた部分とロボットアームが接続されています。ゆっくりとロボットアームが当たっていき……
筒のようなものに手を添え、人差し指からゆっくりと握っていきます。
がっちりホールド。
そして筒を支えとなる棒から外し……
ポトンとケースの中に落としました。
研究者は、今後ロボットアームを装着してのテストを実施するための研究に取り掛かっています。一方で、幻肢のメカニズムはまだ解明されておらず、基本的には「よくないこと」と見なされる現在の評価を再考していく必要もあると研究者は示しました。
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