電極つき帽子をかぶって思い通りにロボットアームを3次元的に動かすことに成功
頭で考えたとおりに機械を操縦する「Brain Machine Interface(BMI)」の研究が進んでいます。アメリカの研究者は、頭に特殊な手術を施すことなく電極付きの帽子をかぶるだけで、考えるとおりにロボットアームを操縦することに成功しています。
Noninvasive Electroencephalogram Based Control of a Robotic Arm for Reach and Grasp Tasks : Scientific Reports
http://www.nature.com/articles/srep38565
Robot Arm Can Be Controlled With Thoughts | Digital Trends
http://www.digitaltrends.com/cool-tech/robot-arm-brain-interface/
脊髄損傷や脳卒中によって肢体に障害を持つ人にとって、念じるだけで操作できるBMIは画期的な装置で、実用化が待たれています。従来の研究では脳に電極部を埋め込むインプラント手術によって脳波を検出して機械に信号を伝えるという方式のBMIが開発されていましたが、手術コストの負担もさることながら身体への侵襲を伴うことから利用するのにハードルが高いことは否めませんでした。
ミネソタ大学の研究者たちは、身体に非侵襲なBMIを開発中で、電極が内蔵された帽子をかぶって訓練するだけで、被験者がロボットアームを3次元的に正確に操縦できるようになった様子をムービーで発表しています。
Noninvasive EEG-based control of a robotic arm for reach and grasp tasks - YouTube
被験者に課せられたタスクは「棚にモノを置くこと」。画像の右下に写っているのは被験者のイメージを映像化したもので、頭の中で中央のピンクのカーソルをクリーム色のブロックに移動させることで、ロボットアームに指示を与えます。
まず、ピンクのカーソルを左手前の正方形のブロックに移動させると、ロボットアームは高さを維持したまま、水平方向左手前に移動しました。ブロックがクリーム色から黄色に変化したら、ロボットアームに目的の動作を完了させることができたということ。
次に鉛直方向の操作。カーソルを下方向に動かすと……
ロボットアームが下方向に動いて青色の物体をつかむ準備が整いました。
ひょいっと物体をつかんだロボットアームは……
指示通りに棚の右方向を狙います。
左右の調整が完了したので、最後は奥方向への移動。
つかんだ物体を棚の中に正確に収納することに成功しました。
8人の被験者が2カ月間の訓練を終えると、70%から80%の確率で物体を棚に収納することに成功したそうです。
ミネソタ大学のBMIは64個の電極を使って脳波を検出してマシンに伝えるというもの。3次元での立体的な移動を、1次元+2次元のカーソル操作を通じて実現しています。研究を主導したビン・ヒー教授は、非侵襲的なBMIマシンを必要とする患者の元に届けるために、今後も改良テストを続ける予定だと述べています。
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