第一次世界大戦の映像を最新技術でカラー化したドキュメンタリー映画「They Shall Not Grow Old」予告編が公開中

「ロード・オブ・ザ・リング」三部作で知られるニュージーランド出身の映画監督・プロデューサーのピーター・ジャクソン監督が、第一次世界大戦の記録映像をカラー化して再構成したドキュメンタリー「They Shall Not Grow Old」の予告編がYouTubeで公開されています。もとはモノクロ映像だったとは思えないほど鮮明にカラー化された映像は、モノクロのままでは「遠い昔の出来事」と捉えられがちな第一次世界大戦の様子をまざまざと伝えてくれます。

They Shall Not Grow Old – New Trailer – In Theaters December 17 & 27 Only

モノクロフィルムの中で行進する兵隊。

1914年7月28日に始まった第一次世界大戦は、大方の予想を超えて1918年11月11日まで続く長期戦となりました。

多くの国々を巻き込み、歴史の流れを変える戦いとなった第一次世界大戦の終結から、2018年で100年が経過。

数千万人もの人々が戦争に従事し……

多くの血が流されました。

現在に残る映像はモノクロであり、時には音声がないこともあります。

しかし、当時の人々は決してモノクロの世界で戦っていたわけではなく、ましてや音のない世界に暮らしていたわけでもありません。ジャクソン監督は第一次世界大戦に興味を持ち、最先端技術を駆使して100年ほど前の記録映像をカラー化したとのこと。映像はBBCと帝国戦争博物館から提供を受けたもので、通常であればアクセスできない映像やオーディオファイルも入手できる許可をジャクソン監督は得たそうです。

第一次世界大戦には行き詰まった戦線を打開するために戦車が開発されるなど、新たな技術が次々と戦線に投入されました。

破壊し尽くされた町を背景に行進する兵隊に……

列車で輸送される多くの兵士たち。カメラに気づいて笑顔を向ける人もいます。

馬による砲の輸送。

第一次世界大戦を象徴するのが塹壕(ざんごう)戦であり、戦場に掘られた狭い溝の中に多くの兵が身を潜めています。

「当時の私は16歳で、父は戦争に行くことを許してくれました」と語る男性の声。

「私は17歳」「私は16歳」という声が続き……

「兵士になった時、私は15歳だった」という従軍兵の発言も聞こえてきます。現在の日本であれば高校生である年齢の少年たちも、数多く戦争に赴きました。

疲れた表情でカメラを見つめる兵士たち。

打って変わって笑顔でカメラを見つめる兵士らは、戦場の中でも時には心安まる時間があったことを思わせます。

隣に立つ仲間のヘルメットをコツコツとたたいて笑う人もいました。

当然ながら悲惨なシーンも収められており、中には目を負傷した兵士が前を歩く兵士の方につかまり、どうにか行進する様子もあります。目に包帯を巻いて妙な方向を向いた兵士が連なる様子は思わず目を覆いたくなります。

塹壕戦は悲惨なものであり……

塹壕戦に伴う戦線の行き詰まりによって数多くの兵士が犠牲になりました。

タバコを吸いながらカメラを振り返る兵士。

負傷した兵は両脇から支えられながら歩きます。

犬を大事そうに撫でる兵士の傍らには、立て掛けられた銃剣。

水しぶきをあげて堀に突っ込む戦車に……

塹壕から飛び出していく兵士たち。

カラーで見る爆弾の威力は信じられないほどです。

行進する兵が、前を歩く仲間のヘルメットをパイプのようなものでコンコンとたたいて笑います。

当時の人々は確かに私たちが生きているのと同じ世界で戦争に従事し、戦っていたのです。

食事は心が安まる数少ない時間だったようで、細長いテーブルについた兵士たちは笑顔で談笑していました。

どこかから連れられてきた子どもを抱えて笑う兵士。その後ろには何かの楽器を吹いている兵士もいます。

当然ながら戦争には犠牲があり、戦場に埋葬される人々も少なくありません。

カラー映像で当時の様子を見ることで、今までよりも第一次世界大戦を身近なものとして感じられるようになるはず。

「They Shall Not Grow Old」は2018年に開催されたロンドン映画祭で上映され、2018年12月17日と12月27日にイギリスのいくつかの映画館で上映されるとのこと。なお、記事作成時点では日本での公開予定は不明となっています。