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AmazonがApple未認定の再販業者をマーケットプレイス上から締め出す、業者にとっては「最悪のシナリオ」か


1度使用された端末を改修したものをリファービッシュ製品と呼びます。新品ではないため安価で購入可能な上、中古と異なりメーカーが改修を行っているため故障などの心配も少ないということで人気を集めるリファービッシュ製品ですが、AmazonがAmazonマーケットプレイスに出品されていたApple未認定のリファービッシュ製品を取り扱う業者をすべて締め出す方針であることが判明しました。

Amazon Is Kicking All Unauthorized Apple Refurbishers Off Amazon Marketplace - Motherboard
https://motherboard.vice.com/en_us/article/bjexb5/amazon-is-kicking-all-unauthorized-apple-refurbishers-off-the-site

コンピューター改修業者のJohn Bumsteadさんは、MacBookなどの電子機器をリサイクル業者から大量に仕入れ、これらを修理したのちにAmazonマーケットプレイスで販売したり、別の販売業者に卸売したりしてきたそうです。そんなBumsteadさんは、2018年11月9日(金)にAmazonからメールを受信します。メールには「AppleとAmazonの間で新たな合意があったこと」および「Appleから認定された再販業者だけがApple製品を販売できるようになること」が書かれていたそうです。


Bumsteadさんがメールを受け取った当日、AmazonはApple製品の取り扱いを拡大する契約を結んだことを発表していました。AmazonはApple製品の取り扱いを拡大する代わりに、Apple未認定の修理業者をマーケットプレイスから締め出すことを約束したというわけです。

なお、Amazonからのメールには「AppleまたはBeats製品を現在販売している、もしくは以前に販売していたユーザーにこのメッセージが送信されています。これらの製品への既存の注文は、すぐにアメリカのAmazon上から削除されます。認定販売代理店になるには、Appleにお申し込みください」と書かれており、認定販売代理店にならない限りリファービッシュ製品などの販売は不可能となることが示されていたそうです。


海外メディアのMotherboardは以前にBumsteadさんにインタビューを行っており、その中でBumsteadさんは自身のビジネスや同じような独立系のコンピューター改修業者にとっての最悪のシナリオは、「Amazonから追い出されること」と答えていました。

Amazonマーケットプレイスの代替案としてはeBayやCraigslistが挙げられるそうですが、Amazonの膨大な顧客や集中型の配送サービスにより、再販業者は大きな恩恵を受けることができていたとのこと。Bumsteadさんは、「これはAmazon上のすべての売り手が恐れていることで、修理や改修を行う数千の小規模な企業は大きな打撃を受けることとなるだろう」と語っています。MotherboardはAppleにもコメントを求めたそうですが、返答は得られていないとのことで、どうすればApple認定の販売代理店になれるのかは不明です。

Appleは正規サービスプロバイダにのみ製品の修理を許可していますが、そこには多くの制限が設けられていると報じられています。報道によると、正規サービスプロバイダは特定のデバイスのみ修理が許可されており、プログラムに参加するにはAppleに金銭の支払いを行う必要があるとのことです。

ケース・ウェスタン・リザーブ大学の法学部で教授を務めるAaron Perzanowski氏は、「この決定は所有権に対する危険な侵害である」とMotherboardに語っています。さらに、「オンライン小売市場でのAmazonの優位性を考えると、再販業者の販売権を無視するような決定は、消費者の選択肢を著しく制限することにつながります。この動きがAppleによって要求されたという事実は、これをさらに問題とします。我々は、世界で最も価値のある2社が、消費者向けのデバイスにおける合法的な再販に対して、調整された攻撃を仕掛けているところを目の当たりにしているわけです」と語っています。

by Medhat Dawoud

アメリカには「ファーストセール・ドクトリン」と呼ばれる法則があり、これによると「著作権者はその著作物の複製物を売却その他譲渡する排他的な権利を持つが、ひとたびそれを売却するとその権利を失い、買主は制約なくそれを処分できる」とされています。Perzanowski氏は「ファーストセール・ドクトリンは、所有者がその財産を売却する許可を得る必要は決してありませんでした。しかし、Amazonは自社が運営するマーケットプレイの強みを活かし、Appleが法廷や議会からは決して得られないような巨大な力を与えたのです」と言及しています。

スマートフォンの修理・解体でおなじみのiFixitのCEOであるKyle Wiens氏によると、Appleは商標権の侵害を理由にiPhoneの修理交換用部品を定期的にAmazonのマーケットプレイスから削除しているとのことです。Wiens氏は「世界で最も収益性の高い企業(Apple)と取引を行い、独立系の再販業者を締め出すことができれば、より先のビジネスに集中することができます」とAmazonの利点について説明しており、加えて、「ブランドが中古製品の販売を制限することができるようになるというのはちょっと心配です。これはまさに、Appleが市場で発揮したいと考えているコントロールそのものです」とも述べました。

なお、AppleはiPhoneをはじめとする自社製品の修理は「正規の修理サービスに依頼するべき」としており、BumsteadさんのようなAppleから認定を受けていない修理業者を「Appleの商標を侵害している」と訴えたこともあるのですが、その際は敗訴しています。

Appleが無認可のApple製品修理業者を訴えたものの敗訴してしまう - GIGAZINE


AmazonはAppleとの新たな契約に影響を受けない「Amazon Renewed」と呼ばれる独自の認定改修プログラムも持っていますが、このプログラムの中でApple製品を販売するには「90日以内の少なくとも250万ドル(約2億8000万円)以上のApple製品を購入したことを示す請求書」が必要で、さらに請求書は「アメリカのモバイルキャリアもしくは50億ドル(約5700億円)以上の年間売上を持つ小売業者からのもの」である必要があるそうです。そのため、Apple未認定の中小企業は、今後Amazon上で製品の再販を行うことができなくなるものと思われます。

Bumsteadさんが通知を受けたのは新しい再販関連のプログラムであり、Amazon Renewedとは異なるもので、その詳細は記事作成時点では公表されていません。Amazonは「2019年1月4日までApple製品を引き続き販売することができる」と通達しており、それ以降はApple未認定の再販業者がマーケットプレイスから締め出されることとなる見込みです。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

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