自滅を試みた1億円超えの絵画のいきさつが完全版のディレクターズカットで公開中
ロンドンのオークションハウスで1億円越えで落札された覆面アーティスト「バンクシー」の作品が、落札後すぐに額縁に仕込まれていたシュレッダーで「自滅」したのは2018年10月5日のこと。この自滅に関して「シュレッダーにかけられたのはフェイクなのでは?」という声が上がっていましたが、バンクシー本人がその疑惑に反論すべく、ディレクターズカットの完全版ムービーを公開しています。
Banksy video shows plan to shred entire Girl With Balloon artwork | Art and design | The Guardian
https://www.theguardian.com/artanddesign/2018/oct/18/banksy-video-girl-with-balloon-shred-entire-artwork
絵画がシュレッダーにかけられ場が騒然とする様子は、そのすぐ後に、バンクシー本人がYouTubeで公開しました。10月7日に公開されたムービーは以下の記事から見ることができます。
1.5億円でオークション落札された絵画がシュレッダーで切り刻まれる - GIGAZINE
このとき公開されたムービーでは仕込みの様子なども映されていたのですが、シュレッダーの埋め込みの設計を見た人から「実は額縁の中には絵が2枚仕込まれていて、そのうちの1枚、既に裁断された状態のものが出て来ただけで、本物はきれいな状態のまま保存されているのではないか?」という疑惑の声が上がっていました。
これについて、バンクシーはInstagram上で「本当は絵がシュレッダーにかけれらていない、と考える人がいるけど、実際にかけられたんです。オークションハウスぐるみで行ったことだと考える人もいるけど、そうではありません」と発言。
さらに、バンクシーは10月17日付で新たに「The Director’s half cut(ディレクターズ半分カット)」というムービーを公開しています。
Shredding the Girl and Balloon - The Director’s half cut - YouTube
「Shred the Love the Director's cut」
ムービーの冒頭では、これまで公開されていたよりもさらに細かく額縁の仕組みを公開しています。
「額縁の中の絵と出てきた絵でズレがある」ことを理由に2枚の絵が仕込まれているとする主張もありましたが、画像を見ると、額縁の表側にある絵がいったん後ろに送られてから切り刻まれる設計であることがわかります。
実際に絵を使ってのテストも行われた様子。
配線も行い……
板をのせていきます。
固定。
これで完成です。
ロンドン、サザビーズのオークションハウスが映し出されます。
オークションハウスではシャンパングラスが並び……
絵画を囲んでの談笑。
バンクシーの「the Girl and Balloon」(少女と風船)も飾られ、スタッフによって絵の価値も説明されます。
絵画には20~30万ポンド(約3000~4300万円)という値がつけられています。
料理もふるまわれ、いかにも裕福層の世界という感じ。
そしてオークション開始。
競売人が値を言いはじめ……
絵画の価格はどんどん上昇。
電話でオークションに参加している人も。
あっという間に60万ポンド(約8700万円)に。
さらに、75万ポンド(約1億900万円)となり……
「86万ポンド(約1億2500万円)!」と声が掛けられます。なお、報道によると、最終的に104万ポンド(約1億5000万円)の値がついたようです。
しかし、その瞬間、何者かが腰に巻き付けたボタンを押し、会場に「ピー、ピー」という音が響きます。
何が起こったかがわからず表情を変える競売人。
一人の女性を除き、多くの人の視線は絵画ではなく競売人に向けられています。
人知れず自滅していく絵画。
かなり切り刻まれたところで……
ようやく人々が事態に気づきました。
競売人もこの表情。
オークションに参加していた人も驚きを隠せず。
絵画は取り外され……
会場を後にします。
その様子をあんぐりと口を開けて見つめる女性も。
なお、ムービーの最後ではリハーサルの様子も映し出されていました。
本番と同様にシュレッダーにかけられていく絵画。
しかし、リハーサルでは途中で止まることなく、最後まで絵画は切り刻まれていき、周囲からは笑い声が響きます。どうやら、本番だけ何か予想外のことが起こり途中でシュレッダーが停止してしまったようです。
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