メモ

Amazonが警察に監視用の顔認識ソフトを売ることについてAmazon従業員はどう感じているのか?


Amazonは顔認識ソフト「Rekognition」を開発し、警察に対し衆人監視用に提供していることが明らかになりました。Rekognitionに対してはAmazon株主だけでなく、Amazon従業員からも反対する声が挙がっている中、匿名のAmazon従業員はAmazonの反Rekognition活動への対応やAmazon従業員の偽らざる感じ方について質問に答えています。

‘Shock, Anger, Disappointment’: An Amazon Employee Speaks Out
https://medium.com/s/oversight/88d927792950

Amazonが開発する顔認識ソフト「Rekognition」問題については、以下の記事を見ればよくわかります。

Amazonが顔認識ソフトを警察に販売していることが判明、国民の監視に乱用される可能性アリとして警鐘が鳴らされる - GIGAZINE


Amazon株主がベゾスCEOに「政府への顔認識技術の供与をやめるべき」との要望書を提出 - GIGAZINE


Amazonの顔認識技術が28人の議員を「犯罪者」と誤認 - GIGAZINE


Rekognitionの存在が明らかになると、100人を超えるAmazon従業員から反対する旨の書簡がジェフ・ベゾスCEOに届けられ、この書簡に賛同し署名する人はすでに450人を超えているそうです。従業員からRekognitionに対する明確な「NO」の声を突き付けられたAmazonがどのような対応をしているのかについて、匿名希望のAmazon従業員がMediumに対していくつかの質問に回答しています。

Q:
従業員によるRekognition反対の書簡提出から数カ月たった今、Amazonの反応はどのようなものでしたか?

Amazon従業員:
これまでのところ「無線封止」です。Amazonによる公式の反応はなく、Rekognitioonへの取り組みには目立った変化はありません。もしかすると彼らは問題が過ぎ去るのを願っているのかもしれません。「Amazonが敗北を認めなければ、もしかすると従業員はやる気をそがれ今後は声を挙げなくなるかも……」というように。

Q:
Rekognitionが初めて紹介されたとき、どれくらいのAmazon社員がサービスを知っていたと思いますか?それを知った時の同僚の反応はどうでしたか?

Amazon従業員:
AWSで働く人の多くはRekonitionサービスについて知っていました。残りの従業員はAWSスタッフのことを知らないことも多いのです。ほとんどの人がRekognitionが警察に売られていたことを知っていたわけではないと思います。最初に技術を知らされたとき、用途が限定されない、あらゆる分野の画像認識に使えるとてもクールなものだと私は思いました。それが監視用途で売られると知ったとき、嫌な気分になりました。話をした多くの同僚も同じような反応です。「ショック」「怒り」「失望」です。


Q:
ACLUのテストで「Rekognitionが28人の議員を『犯罪者』と誤認した」という話が出たとき、「ターニングポイント」だと感じましたか?

Amazon従業員:
それは本当に大きな話題で、Amazon公式ブログでも取り上げられたほどでした。社内でも話題にはなりましたが、ターニングポイントとまでは言えません。

Q:
他の顔認識技術開発企業は、自社の技術は警察当局へ提供できるだけの準備ができておらず、不正確な結果を出したり悪用されたりする危険性への懸念を表明しています。AmazonでRekognitionプロジェクトに取り組んでいる人も同じように感じているのでしょうか?Amazon公式のコメントには躊躇が感じられないように思えます。

Amazon従業員:
もちろん公式コメントは揺ぎなくポジティブなものです。特に、従業員レベルではない高い地位の人であればなおさらです。しかし、相対的に地位の低い従業員レベルでみたときに、Rekognitionは士気を高める心地よいものだとは思えません。

Amazonの「リーダーシップ原則」の中には、「同意せず、誓約せよ」というものがあります。これは、率直な批判と議論を奨励するものです。しかし、倫理的な懸念に対しては、この原則は"原則的に"妨げられます。「同意せず、制約せよ」という裏の意味は、「たとえどんなに同意していなくとも、一旦決定されたことには従わねばならない」ということです。

Q:
バーニー・サンダース議員の批判によって、Amazonが従業員の最低賃金を15ドル(約1700円)に引き上げたことに、何か命題をみましたか?

Amazon従業員:
たしかにサンダース議員はAmazonの給与問題を数カ月で最前線に押し出したかもしれませんが、この最低時給15ドルの議論は多くの従業員や元従業員、増え続ける工場の労働者組織によってもたらされたものです。この勝利は労働者主導で起こったものであり、会社の何かを変えたければ、このような労働者側からの働きかけが必要だと思います。

Q:
声を挙げた人に対して報復はありましたか?もしくは報復への心配のようなものはありますか?

Amazon従業員:
私は今のところ報復については聞いていませんが、たしかに恐れはあります。ただ書簡へ署名をしただけの人の中にも恐れはあります。中には失うものが他の人以上に大きい人がいます。もしクビになれば、移住者の地位を失ってしまうのではないかと心配する声を耳にしたことがあります。恐れは漠然としたものですが、深刻に受け止められるべきです。そのため、私たちは結束することができます。互いに助け合うのです。

by Scott Lewis

Q:
Amazonは次に何をすると思いますか?

Amazon従業員:
答えるのが難しいことです。私たちはただ働き続け、この問題を気に掛ける人たちのネットワークを築き、闘い続けなければいけません。短期的には書簡の要求は認められないかもしれませんが、私たちが一緒に働き続けるならば、力を維持できるでしょう。

Q:
他のハイテク企業の従業員の間で最近起こった抗議活動についてどう思いますか?ハイテク産業の中で起こる大きな動きを感じますか?

Amazon従業員:
確かにそうです。個人的には、Google、Microsoft、Salesforceの従業員の様々な活動に影響を受けています。私たちの多くがインスピレーションをシェアしています。それは、「何を作り上げるか」「誰のために作り上げるか」を多くの従業員でコントロールするための動きの始まりだと思います。最初は勝てない闘いが数多くあるかもしれませんが、すでにいくつかの素晴らしい成功例もあります。例えばGoogleの「Project Maven」はその代表です。ただ、長期的に築き上げていくことが必要です。

Q:
なぜあなたは匿名希望なのですか?

Amazon従業員:
1つ目の理由は「安全」のためです。2つ目の理由は、私の問題ではないからです。私は書簡のすべての声を代弁できませんし、反Rekognitionキャンペーンの支援者にもなれません。けれど、少なくとも、同僚のためにキャンぺーンに対する意見をシェアできることを望んでいます。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Amazonが顔認識ソフトを警察に販売していることが判明、国民の監視に乱用される可能性アリとして警鐘が鳴らされる - GIGAZINE

Amazon株主がベゾスCEOに「政府への顔認識技術の供与をやめるべき」との要望書を提出 - GIGAZINE

Amazonの顔認識技術が28人の議員を「犯罪者」と誤認 - GIGAZINE

顔認識機能を使って逃亡者を6万人参加のコンサート会場から中国警察が見つける - GIGAZINE

ロンドンの警察は誤検知率98%の顔認識システムで大衆を監視している - GIGAZINE

イギリスの警察で運用される自動顔認証システムは「極めて不正確な精度で運用も不透明」と批判の声 - GIGAZINE

in メモ,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.