最低賃金アップを打ち出したAmazonは悩める労働者に追加のボーナスプランを提示中
「アメリカで働く従業員の最低賃金を時給15ドル(約1700円)に引き上げる」という賃金制度の改定を発表したAmazonですが、一部の労働者からは「新プランによって実質的な収入が減る」と批判されていました。批判に応える形でAmazonはさらなる追加ボーナスを提示するなど、新プラン導入に向けて全力を傾けています。
Amazon Ponies Up More Money for Warehouse Workers After Blowback - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-10-10/amazon-ponies-up-more-money-for-warehouse-workers-after-blowback
アメリカで約35万人いる時給ベースで働くAmazon従業員の給料が安すぎるという批判を受けて、Amazonは最低賃金を15ドル(約1700円)に引き上げる新賃金制度を発表しました。表面的にはアメリカ国内の法定最低賃金以上の賃金をすべてのAmazon従業員が受けられるということで待遇改善にみえますが、最低賃金アップと引き換えに、それまで従業員に与えられていたボーナスやストックオプション制度が廃止されるため、一部の従業員からは「実態は賃金カットだ」という反発の声が挙がっていました。
「時給が上がったせいで月収が減る」とAmazonの労働者が新賃金制度を批判 - GIGAZINE
Bloombergは匿名希望のAmazon従業員から、Amazonが追加のボーナスプランを提示しているという情報を入手しました。その情報によると、Amazonが追加提示しているボーナスは、「5年・10年・15年・20年というAmazonでの一定の在籍期間ごとに1500ドル~3000ドル(約17万円~約34万円)の現金が支給される」というもの。さらに、繁忙期である12月の勤務状況が良い労働者には100ドル(約1万1000円)のボーナスも与えられるとのこと。
以上の労働者全員が対象となるボーナスに加えて、すでに時給あたりで15ドル(約1700円)以上を稼いでいた、今回の新賃金制度で実入りが減るとされる従業員については、これまで時給ベースで1ドル(約110円)分の昇給案が提示されていましたが、昇給分は1.25ドル(約140円)に増額されたそうです。
匿名希望の従業員によると、「新しい賃金制度について、Amazon従業員の間では混乱が残っている」とのこと。従業員の中には新制度によって収入が減るのではないかという心配の声は根強くあるそうです。なお、Amazonは新賃金制度を2018年11月1日から導入する予定で、従業員はより詳細な給与体系の変更についての情報が与えられるそうです。
Amazonは新賃金制度によって従業員が得られる収入は「予想可能で即時性のあるもの」になると述べています。つまり、従来、Amazonの従業員が受けていたストックオプションによる収入アップは、過去5年間で6倍になったAmazon株の異常な高騰によって支えられたものであり将来にわたる収入を予測しづらく、今後もこれまで通りの収入を得られる保証もない不確実なものであり、従業員にとって収入を確約される新賃金の方がメリットが多いとAmazonは考えています。
・おまけ
世界一の富豪になったAmazonのジェフ・ベゾスCEOの資産は約1500億ドル(約17兆円)だと試算されています。
そのため、「ベゾスCEOの資産を得るために、最低賃金15ドルで働くAmazon従業員は100億時間働かないといけない」と揶揄されています。
Bezos Worth 10 Billion Times Amazon Worker’s Hourly Wage - YouTube
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