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さまざまなグラフから見えてくる「世界のがんの傾向」とは?


2016年の日本における死因の第1位は「がん」であり、死因全体のうち、約3割ががんによるものという結果が報告されています。また、世界的に見てもがんは死因の第2位となっており、日本だけでなく多くの国でも死因の上位に位置することが明らかとなっています。Our World in Dataは「がんの動向」を調査しており、世界的に見たときに、がんにどのような傾向があるのか説明しています。

Cancer - Our World in Data
https://ourworldindata.org/cancer

以下の図は、各国の人口に対して、がんに罹患している人が何%いるかを示したものです。白に近ければがんに侵されている人の割合が低く、逆に紅色に近づくほど割合が高く、もっとも濃い紅色で1.75%以上の罹患率を示しています。図を見ると、所得の高い国になるほど、がんに罹患する人の割合が高くなっていることがわかります。


以下のグラフは、がんに罹患している人の数をがんの種類別にランク付けしたものです。世界的にみると1位が「乳がん」の約815万人、2位が「大腸がん」の約632万人、3位が「前立腺がん」の約570万人と続いています。なお、日本では1位が「大腸がん」の約59万人、2位が「乳がん」の約33万人、3位が「前立腺がん」の約30万人となっていました。


次のグラフは、1990年~2016年までの間でがんに罹患している人の数の推移を年齢別に示したものです。赤が70歳以上、グレーが50歳~70歳未満、青が15歳~50歳未満、黄が5歳~14歳未満、黄緑が5歳未満を表しています。グラフを見ると、がんに罹患している人の数は右肩上がりで上昇し、その8割以上が50歳以上となっています。


以下のグラフは、2016年のがんの死者数を種類別にランク付けしたものです。このグラフによると1位は「気管、気管支、肺がん」の約171万人、2位、3位、4位の「胃がん」「大腸がん」「肝臓がん」がほぼ同数の約83万人となっています。なお、日本でもこの順位は同じとなっており、「気管、気管支、肺がん」の死者は約7万2000人、「胃がん」は約5万5000人、「大腸がん」が約5万人、「肝臓がん」が約3万6000人となっていました。Our World in Dataによると、所得の比較的高い国では「気管、気管支、肺がん」の死者が多く、所得の低い国では「大腸がん」「肝臓がん」「子宮頸がん」の死者が多い傾向にあるそうです。


このグラフはがんで亡くなった人の数を年齢別で示しています。グラフでは70歳以上の死者数が全体の44%、50歳~70歳未満の死者数が全体の43%となっています。このグラフでは14歳未満の死者数は全体の1%未満となっていますが、それでも年間8万人の命が失われているとのことです。


次に「がんの5年生存率」という観点で見てみます。以下の図はアメリカでがんに罹患した人の5年生存率の変化を示したもので、1970年代(1970年~1977年)と比較して、2007年以降(2007年~2013年)がどのように変わったかを表しています。多くの種類のがんで5年生存率が高くなったことを示す右向きの矢印が記されています。がん全体(All cancers)で見ると、5年生存率が50.3%から67%に高くなっており、赤枠の「前立腺がん」「甲状腺がん」に至っては98%以上になっていることがわかります。Our World in Dataによると、多くの種類のがんで5年生存率が高くなった理由として、「がんの早期発見の増加」と「医療技術の進歩」が要因になっているとのことです。


以下の図は、各国の「肺がん」の5年生存率がどのくらいあるかを示したものです。1位が日本の30.1%、2位がエクアドルで28.7%、3位がイスラエルの23.8%となっています。


乳がんの5年生存率を見てみると、1位がアメリカの88.6%、2位がブラジルの87.4%、3位がフランスの86.9%となっており、北米やヨーロッパの生存率が高い傾向にあることがわかります。なお、日本の5年生存率は84.7%で上位にランクインしていました。


肝臓がんの5年生存率は、1位が日本の27%、2位がアルゼンチンの24.2%、3位が台湾の22.2%となっています。この3つのグラフを見ると、日本のがん治療技術が優れていることがわかります。


以下のグラフは収入とがんの罹患率の関係を調査したものです。縦軸ががんの罹患率、横軸が収入を表していて、高い収入を得るほどがんの罹患率が上がることが確認できます。Our World in Dataは、収入が高くなればなるほど喫煙やアルコール摂取、食生活などの生活習慣に起因したがんになりやすい傾向が見られると述べています。


続いて、収入と乳がんの5年生存率の関係を見てみると、高い収入を得るほど生存率が高い傾向がありますが……


肺がんの生存率には大きなばらつきがあり、収入と全てのがんの5年生存率に関係性が見られることはないようです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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