第2世代Ryzenは電力効率が極めて高くサーバー用途で4コアのXeonよりも「使える」との報告
高性能なメニーコアCPUにもかかわらず低価格なことから自作PC愛好家から好評のAMDの第2世代「Ryzen 2000」シリーズは、XFR2などのAMD SenseMIテクノロジーを搭載し性能向上を果たしています。あるユーザーがIntelのXeonを搭載したサーバー機を、Ryzen 2000ベースのマシンに置き換えたところ、8コア/16スレッドのフルロード時でも85W以内に収まったそうで、「Ryzenはサーバーにも適している」と報告しています。
Unexpected benefit with Ryzen - reducing power for home server
http://lists.dragonflybsd.org/pipermail/users/2018-September/357883.html
Matthew Dillonさんは、Ryzen用に使っているマザーボード「ASRock AB350M Pro4」がBIOSアップデートでECCメモリをサポートしたことに気づきました。
ECC対応ということでサーバー用途でRyzen機を用いられないかと興味が出てきたDillonさんは、これまで使ってきたIntel Xeon E3-1270(ベースクロック3.4Ghz、4コア/8スレッド)のサーバー機を置き換える形で「Zen+」マイクロアーキテクチャ採用の「Ryzen 7 2700X」(ベースクロック3.7GHz、8コア/16スレッド)をサーバーに仕立ててみることにしました。
DillonさんはRyzenをサーバーに用いる上で、まず拡張周波数範囲2(XFR2.0)を有効にした上で、「Thermal Design Current(TDC) limit」と「Electrical Design CurrentLimit(EDC) limit」を高めにしつつ、「PPT Limit(PPT)」を使って消費電力を制限したとのこと。Dillonさんはサーバー機に「DDR 4 3000などの高クロックメモリを使ってCPUクロックを高く維持する」というような設定は不要なため、性能をキープしつつ消費電力を下げる設定を探った結果、8コア/16スレッドをフルロードした状態でもCPUは85Wという比較的、低消費電力で運用することができたそうです。
なお、クロック数ごとのPPT設定は以下の通り。「1コアを4.0GHz、残りの7コアを2.8GHzでフルロード」という「PPT 50000」の設定で消費電力は85Wまで下げられます。なお、性能と消費電力を考慮した結果、115Wの「PPT 65000」設定を採用することになったとのこと。
CPUのクロック数を低く抑えることで消費電力を大幅にカットすることに成功したのは作業負荷の大半をメモリが受け持つというサーバー用途ならではのものです。これまでのXeon機に比べてコア/スレッド数自体が2倍に増し性能アップをしている上に消費電力も劇的に下げられたことで、Dillonさんは「Ryzen 2000シリーズはサーバー用途にも向いている」と考えています。
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