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イギリスが独自の衛星測位システムの開発をスタート、EUの「ガリレオ」から完全離脱か

by Pouyana

イギリスが、独自の衛星測位システムの開発をスタートするために1億ポンド(約140億円)の予算を承認したと報じられています。この背景には2016年の国民投票によってEUからの離脱が決まったことから、EUが運用する衛星測位システム「ガリレオ」へのアクセス規制の懸念があるとみられています。

Theresa May orders space race after Brexit with sat-nav system to rival EU's Galileo
https://www.telegraph.co.uk/news/2018/08/25/theresa-may-orders-space-race-brexit-sat-nav-system-rival-eus/


衛星測位システムとは、複数の人工衛星と信号をやりとりすることで位置や進路を知ることができるという仕組みで、アメリカの「GPS」やロシアの「GLONASS」など、運用している国によってさまざまな種類が存在します。2016年から運用されているEUの「ガリレオ」は、軍用として開発がスタートしたGPSやGLONASと異なり、世界で初めて民間主体で開発された衛星航法システムです。

Telegraphは、イギリスのテレーザ・メイ首相は独自の衛星測位システムの開発を命じて、フィリップ・ハモンド財務大臣は1億ポンド(約140億円)の予算を承認したと報じていて、関係筋によると今週にも公式に発表される可能性があるとのことです。ただし、実際にイギリスが一から衛星測位システムを開発するにはおよそ30億ポンド(およそ4300億円)の費用が必要になると専門家は推測しています。

EU離脱を支持するイギリスの国民投票結果を受けてドイツがガリレオからイギリスを排除するよう提案し、イギリスはいつガリレオプロジェクトから除外されてもおかしくない状況となっていました。EUは「排除されてもイギリスはガリレオの公開信号にアクセスできる」と述べていますが、EUの規制によってイギリス軍がガリレオの制御コードにアクセスできなくなるため、国の防衛にも関わる問題となっています。


これまでイギリス政府は「EUの規制が解除されなければ、プロジェクトに投資した10億ポンド(1400億円)の返済を要求するつもりだ」とコメントしていました。独自の衛星測位システム開発への動きはガリレオプロジェクトからの完全離脱を見越したものといえます。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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