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スタートアップに「参加すべき理由」と「参加するべきでない理由」をTwitch創業者が語る


世の中になかった新しいサービスを実現させ、ビジネスとして立ち上げるスタートアップは「ハイリスク・ハイリターン」ともいえる世界であり、必ずしも「安定」や「成功」が保証されたものではありません。そんなスタートアップの世界に飛び込むかどうかの判断基準を、ライブ配信プラットフォーム「Justin.tv」や「Twitch.tv」を立ち上げたジャスティン・カン氏が挙げています。

Why You Should (And Shouldn’t) Join a Startup - atrium
https://www.atrium.co/blog/work-at-a-startup/

カン氏はスタートアップの世界に身を投じるか否かについての考え方を「スタートアップに加わるべきでない理由」と「スタートアップに加わるべき理由」に分けてそれぞれ解説しています。

◆スタートアップに加わるべきでない理由その1:マネジメントの不備
カン氏は「スタートアップにおけるマネジメントは最低です」とバッサリ切り捨てています。カン氏はかつて「スタートアップには2つのタイプがある。『マネジメントがダメなロケット船』と『マネジメントがダメなそれ以外の企業』だ」というジョークをよく使っていたそうですが、それはまさにスタートアップがどのようなものであるかを表しているものであるとのこと。

また、特に初期段階のスタートアップにおいてはその傾向が顕著であるとのこと。まだ環境が整っていないスタートアップの中では、しっかりとしたディレクションや従業員に対するメンタリングなどは望むべくもないといいます。マネジメントが徹底されていないことについては「プラスの側面」が存在することも確かですが、自らをディレクションすることができない人はスタートアップには不向きといえます。

◆スタートアップに加わるべきでない理由その2:富を得られるとは限らない
スタートアップに加わったからといって、大金持ちになるという夢のようなサクセスストーリーが待ち構えているというわけではありません。むしろ現実はその逆で、統計学的には富を得られるケースの方が少ないとのこと。

スタートアップには、いわゆる「9時~5時」の仕事にはない多くのメリットは存在します。しかし、その世界に飛び込もうとする時には「リスクをとろうとする意欲」と「安定性と健康的な仕事を諦めるという機会費用」について自分で評価することが重要であるとカン氏は指摘しています。


◆スタートアップに加わるべきでない理由その3:安定性の欠如
シリコンバレーで生き残ってきた企業の多くは成功を遂げ、安定したビジネスを展開している企業も少なくありません。そんな企業に集まる人たちはより良いキャリアパスの実現と高い給料を求めてやって来ています。しかし、そのようなメリットを得たいのであればスタートアップは不向きです。

カン氏のもとを訪れる入社希望者の中には「ここで描けるキャリアパスはどのようなものですか」「今後5年の計画はどのようなものでしょうか」と尋ねてくる人も多いそうですが、実際に返せる答えは「この先5年分のお金はありません」というものだとのこと。5年後のプランも大事ですが、多くのスタートアップにとっては今ある事業をどのように成功させて10年以上継続できる企業にするかという計画がより重要です。つまり、スタートアップにとっては「今の安定」よりも「将来の安定のために今やること」が重要視されることが多いため、安定を求めて会社を選ぶのであればGoogleに入社すべき、というのがカン氏の答えです。


ここまでは「スタートアップに加わるべきでない理由」が述べられてきましたが、反対に「スタートアップに加わる理由」がこれ以降で述べられています。

◆スタートアップに加わるべき理由その1:普通ならできない仕事ができる
多くのスタートアップの場合、従業員はありとあらゆる仕事を担当する必要が生じるものです。動画配信プラットフォームの「Justin.tv」を立ち上げた時、カン氏はフランス出身のギヨームという名前のプログラマーを雇い入れました。ギヨーム氏は数年の業務経験しか持っていませんでしたが、入社から1年も経たないうちにRailsアプリケーションのバックエンドを担当するにまでなっていたとのこと。

その経験は、ギヨーム氏がスタートアップに加わったからこそ得られたものであり、もっと大きな企業に入っていたとしたら到底得られないものだったとのこと。ギヨーム氏はその後、Justin.tvからスピンオフした「Socialcam」の共同設立者になったそうです。

◆スタートアップに加わるべき理由その2:自分が起業するための足掛かりを得られる
スタートアップに加わることで、その後に自分でもスタートアップを立ち上げるための経験や人脈を作ることが期待できます。カン氏は2012年に別のスタートアップ「Exec」を立ち上げ、その際にフィンバー氏という優秀なエンジニアを雇い入れました。当時はグルーポンでエンジニアとして勤務していたフィンバー氏でしたが、独立志向が強く、いつか会社を立ち上げることに挑戦したい気持ちを持っていたそうです。

よく、「親しい5人の友人の平均があなたそのものです」といわれるように、人の存在は身の回りの環境によって影響を受けるものです。スタートアップ志向を持つ人は、周囲に同じようなスタートアップ思考を持つ人を持つことで、次第に自分の進むべき道が見えるようになってきます。フィンバー氏は、Execで得た人脈をいかして自身のスタートアップを設立したとのこと。残念ながらその企業は成功しませんでしたが、さらにその後は別のスタートアップ「Shogun」を立ち上げ、Yコンビナートの出資を受けて成功しているそうです。


◆スタートアップに加わるべき理由その3:学習率の最適化
これは「加わるべき理由その1」と似たものですが、日々の業務の中で学習の最大化が可能なことも、ダイナミックに物事が動くスタートアップの特色であるとのこと。カン氏が立ち上げたJustin.tvには、マサチューセッツ工科大学(MIT)からリクルートされたカイル・ボッグ氏というエンジニアがいました。ハードウェア畑のエンジニアだったボッグ氏は同社でハードウェア関連の業務にあたり、後に同社の副社長にまで上り詰めます。

当時のJustin.tvは頻繁にシステムがダウンする状況にあり、カン氏はボッグ氏に2日おきの頻度で電話をかけて復旧を指示していたとのこと。一度、ボッグ氏がバケーションに出ている時に障害が発生した際には、電話で連絡が取れなかったのでボッグ氏が泊まっているホテルの部屋に宅配ピザを届けるように注文し、配達員にメッセージを託したこともあったそうです。

ボッグ氏はこの経験を積むことでネットワークのスケーリングを学習し、後にTwitchの巨大なプラットフォームを構築するに至ります。Twitchは後に毎月90ペタバイトの転送量で全米第4の規模を持つプラットフォームへと成長し、2014年にAmazonに買収されました

ボッグ氏は後に自律運転技術開発企業の「Cruise」の立ち上げに参加して自動運転カーの技術開発に携わりました。Cruiseはその後、自動車大手のGMに買収されてグループに加わっています。

◆まとめ
スタートアップに関わることになると、必ず何らかの学びを得ることができます。企業が成功しても失敗しても、そこからは必ず何らかの教訓が得られることになります。成長のスピードを最大限に高めて学習する方法は、YコンビネータのパートナーでGmailの生みの親でもあるポール・ブックハイトの言葉「重要なのはあなたのY切片の勾配ではなく、あなた自身の勾配です」という言葉に集約されるとのこと。この言葉からカン氏はいつも、自分自身の成長率と学習率を最大にする立場に自分自身を置く方法を見つけ出すことを考えているそうです。

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in メモ, Posted by logx_tm