ハードウェア

わずか5万円台で導入可能な3Dバイオプリンターが登場


細胞などを作り出せる3Dバイオプリンターは安くても1万ドル(約110万円)、高いものだと20万ドル(約2200万円)もする上に、クローズドソースで独自仕様です。この現状をなんとかすべく、カーネギーメロン大学の研究チームがなんと500ドル(約5万5400円)で作れる3Dバイオプリンターを生み出しました。すでに3Dプリンターを所有している場合は、わずか50ドル(約5500円)のパーツ交換でOKだそうです。

Large volume syringe pump extruder for desktop 3D printers - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2468067217300822


Carnegie Mellon Designs Low-cost, High-Efficiency 3D Bioprinter | RoboticsTomorrow
https://www.roboticstomorrow.com/article/2018/05/carnegie-mellon-designs-low-cost-high-efficiency-3d-bioprinter/12016

カーネギーメロン大学が生み出したのは、正確には「卓上3Dプリンター用大容量シリンジポンプ押出機(LVE)」です。


一般に、シリンジポンプを搭載した3Dプリンターは「バイオプリンター」と「ペースト・粘土押出機」に分けられるとのこと。

「バイオプリンター」は細胞などの高精度印刷が目的。印刷する物体が小さいため、10mlの小容量シリンジと250μm未満という小径ノズルを搭載しているのが特徴です。

一方、「ペースト・粘土押出機」は大容量リザーバーと最大4mmの大口径ノズルを搭載。粘土、セラミックス、複合樹脂、セメントなどを扱えますが、基本的にできるのは「低速印刷で単純な形状のものを作る」ということ。

カーネギーメロン大学が作ったLVEはバイオポリマー、ヒドロゲル、ペースト、エポキシをはじめとした、いろいろな材料での印刷が可能。シリンジは標準的な60mlサイズのものを使うことでコストダウンを図り、バイオプリンターとしては大容量を実現。一方で、ペースト・粘土押出機としては高性能を実現しています。


また、多くのシリンジポンプ搭載プリンターは、層と層との印刷の間の「退避(後退)」で材料漏れが発生し、完成物の精度が下がってしまうという問題を抱えていましたが、LVEは材料押出が精密で、退避による材料漏れが起きず、精緻で複雑なオブジェクトを出力可能。

さらに、このLVEは一般的な卓上型3Dプリンターに対応するよう作られているので、すでに3Dプリンターを持っている人ならわずか50ドル(約5500円)で導入できます。3Dプリンターを持っていなくても、トータルの導入費用は500ドル(約5万5400円)で済むとのこと。パーツのデザインは論文に合わせて公開されているため、3Dプリンターさえあれば自力で作り出すことも可能です。

開発を行ったアダム・フェインバーグ教授は2010年に研究室を立ち上げ、10万円クラスの安価な3Dプリンターで人工心臓のパーツを自重で崩壊させずに出力する手法を編み出した人物。市販のバイオプリンターがあまりに高価であることから、MakerBotの3Dプリンターを購入して、押出機を交換することで3Dバイオプリンターとして使ってきたとのことです。

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in ハードウェア, Posted by logc_nt

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