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Googleが中国向けに検閲機能付きの検索エンジンを開発していたことが判明

by bfishadow

2010年に中国本土から撤退していたGoogleが、中国の検閲を容認する形で、中国国内向けに検索サービスの提供を検討していると、海外メディアのInterceptが、Googleの内部文書と関係者の証言から報じています。

Google Plans to Launch Censored Search Engine in China, Leaked Documents Reveal
https://theintercept.com/2018/08/01/google-china-search-engine-censorship/


中国政府は「金盾」と呼ばれる検閲システムを採用していて、ネット上の情報の大部分を検閲し、遮断しています。Twitter・Instagram・FacebookなどのSNSもほとんど利用することができません。それでも中国国内で多くの人がインターネットを利用しており、中国でインターネットにアクセスする人の95%以上がスマートフォンなどの携帯端末を使用していることが判明しています。また、中国のスマートフォンユーザーの約80%がAndroidユーザーです。

by 尾川史典

Googleの関係者によると、2017年の春からスタートしたコードネーム「Dragonfly」というプロジェクトは、Googleのサンダー・ピチャイCEOと中国共産党の最高幹部・王滬寧氏の間で2017年12月に会議が行われてから加速し、中国の検閲システムを取り入れたAndroid向け検索アプリが開発されたとのことです。Googleが開発した「Maotai」「Longfei」と呼ばれるAndroid用検索アプリは、中国政府へ既に提出されているとのことで、向こう6~9カ月で中国当局からの承認を得ることができれば、これら検索アプリが公開されるとInterceptは報じています。

Interceptが入手した内部文書では、Googleの中国向けの検索アプリで検索を行うと、「人権」「民主主義」「宗教」「平和的抗議」に関するウェブサイトが、中国のインターネット検閲・フィルタリング機能である「グレート・ファイアウォール」によって検索結果から全て削除され、「法的要件のために一部の結果が削除された可能性があります」と免責事項が表示されて残りの検索結果を表示する仕様になっているとのこと。

人権団体「アムネスティ・インターナショナル」香港支部のパトリック・プーン氏は「検閲を順守するというGoogleの決定は情報化時代の大きな災難です。これは中国だけではなく、インターネットの自由そのものに深刻な影響を及ぼします」と語っています。

Googleが中国と提携したのはこれが初めてではありません。Googleは、2006年から2010年にかけて検閲機能付きの検索エンジンを中国に提供していました。しかし、Googleは2010年にGoogle検索・Googleニュース・Google画像検索で中国政府の検閲を回避するために香港へ移行し、無検閲の検索結果を提供するようになりました。そのため、中国はGoogleをブロックし、関係は悪化。2018年時点で、中国のほとんどのインターネットユーザーは、グレート・ファイアウォールに阻まれてしまうためにGoogleの検索サービスにアクセスすることができません。

Googleと中国政府との検索結果検閲問題、一体何がどうなって香港へ移動することになったのかまとめ - GIGAZINE


しかし、2015年10月にGoogleのCEOに就任したピチャイ氏は、2016年6月に開催されたCode Conferenceで「Googleは全ての人のためにあって、中国人ユーザーに向けて中国でもサービスを提供したいと考えています。正しくよく考えられた方法で再参入できるのであれば、Googleはいつでもオープンです」と語っていました。Googleは中国との関係を改善する方向に動いているようです。中国国内ではBaiduが最大のシェアを占めている中、再参入するGoogleがどこまで切り込めるのかが注目されます。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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