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「銃の3Dデータ」をオンラインで配布する計画を裁判官が中止させる

by Kevin Reese

「銃の3Dデータをオンラインで配布し、誰でも3Dプリンターで樹脂製の銃を作成できるようにする」という計画を実行しようとした人物に対し、アメリカの裁判官が「一時的に計画を中止するように」という命令を下したと報じられています。

A judge has stopped the plan to post 3D-printed gun blueprints online - The Verge
https://www.theverge.com/2018/7/31/17637342/defense-distributed-gun-blueprints-restraining-order

暗号無政府主義」や「自由市場無政府主義」を掲げるコーディ・ウィルソン氏は、「ネット上で最も危険な5人の人物」にも選ばれた銃所持を推進する人物です。ウィルソン氏は3Dプリント銃のデータをオンライン配布することで、「誰でも家庭用の3Dプリンターを用いて銃を製造できるようにするべきだ」という目標を掲げて活動しています。

ウィルソン氏が設立した非営利団体のDefense Distributedは、「オンラインで銃の3Dデータを配布することは禁止されるべきだ」という訴えを受けており、長年にわたって裁判を続けていました。裁判は2018年7月に和解が成立し、2018年8月1日からオンラインでの3D銃データが公開される見込みとなっていたとのこと。

銃の3Dデータ配布を巡る訴訟で司法省が和解に同意、データ配布を認める


ところが、2018年7月下旬になるとマサチューセッツ州を始めとするアメリカの各州において、「やはり3D銃のデータをオンラインで配布するのは危険だ」という意見が噴出。連邦裁判所に対して差し止め命令を要求する動きが起こっていました。

「銃の3Dデータ配布はやっぱり危険」とアメリカの20州が公開中止を求める


2018年7月30日には9人の弁護士が「和解判決は違憲である」と主張して、連邦裁判所の判決に介入してきたそうです。そして、シアトルの連邦裁判官は2018年7月31日、判決が違憲かどうかを決定する裁判が終結するまでの間、3D銃データ配布の計画を停止する命令を下しました。

これにより、3Dプリンターで作れる銃データの配布はさらなる延期を余儀なくされ、法廷闘争もさらに長期化する見込みとなっています。ニューヨーク州の司法長官であるバーバラ・アンダーウッド氏は、「ボタンを押すだけで犯罪者が簡単に、それも捜査機関による追跡がほぼ不可能な銃を製造できるツールを公開するべきではない」と主張しています。

通常、アメリカで銃を購入する時には年齢や犯罪歴についても調べられるとのことですが、家庭用の3Dプリンターで製造される銃はそういった制約がありません。また、樹脂製のため金属探知機に引っかからず、手軽に持ち運べるという点も危険視されています。ウィルソン氏は過去にも銃の3Dデータを配布しており、すでに10万人を超える人物が銃の3Dデータを手にしているとのこと。しかし、アメリカの各州は今後も断固として、銃の3Dデータ配布に反対していく姿勢を示しました。

by Electric-Eye

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in ネットサービス,   ハードウェア, Posted by log1h_ik

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