折りたたんでどこにでも持ち運べる4Kドローン「Parrot ANAFI」速攻レビュー

折りたたむことでキャリングケースに収納でき、どこにでも持ち運べるポータブルドローン「ANAFI」をParrotが2018年8月3日に発売します。コンシューマードローンで世界最大シェアを誇るDJIの人気ポーターブルドローン「Mavic Air」対抗機となるANAFIを、さっそく飛ばしてその実力を測ってみました。
ANAFI | Parrot Store Official
https://www.parrot.com/jp/doron/anafi#anafi
◆開封・外観チェック
ANAFIは白い箱に入っています。

箱をあけると、ケースとコントローラー(プロポ)が現れました。

細長いファブリック素材のキャリングケースの中には……

ANAFIがしっかりと収まっていました。

なお、ドローン本体の下にType-CのUSBケーブルとmicroSDアダプターを収納することができます。

箱の中身は、ケース、ドローン本体、プロポ、USBケーブル、交換用のプロペラ、SDカードアダプター、Super Quickガイド、説明書。充電器は付属していないので、別途用意する必要があります。

交換用のプロペラは8枚入っており、取り外しするための専用レンチも付属していました。

Super Quickガイドはすべてイラストで使い方を説明するシンプルなもの。「充電」→「アプリダウンロード」→「スマートフォンを取り付け」→「ドローンの電源ON」→「プロポのテイクオフボタンを押す」と、なんとなく操作の流れが分かります。

説明書は多言語化されており、もちろん日本語表記もあり。ただし、これはドローンの飛行に関する一般的な安全ガイドで、ドローンのセッティングや飛行方法などに関する説明は一切ありませんでした。

・ANAFI本体
ケースから取り出したANAFI。アームを折りたたんで細長い状態です。

ANAFIを折りたたんだ状態は長さ244mm×幅67mm。iPhone Xと比べるとこんな感じ。

重さは公称値(320g)を下回る、315gでした。

折りたたまれたアームを広げると……

クワッドコプターらしい外観になりました。前の2本のアームに比べて後ろの2本のアームの方が長くなっています。

手に載せるとこんな感じ。

ローターの下のスタンドは、肉抜きにより軽量化されています。

スタンド自体はゴム製。

白いカメラユニットには黒い保護キャップが取り付けられています。

キャップを外すと、4K対応の2100万画素カメラのレンズが現れました。1/2.4CMOSセンサーを搭載しており、ロスレス2.8倍ズームやHDR撮影にも対応します。

裏返したところ。3軸ジンバルは、カメラが上下に180度回転するため、上空から下方向だけでなく上方向を撮影することも可能です。

各アームのペラは2枚とも自由に動く状態。

裏返すと、本体下にはLEDライト、本体冷却用のファン、カメラ、超音波センサーとなっています。

本体後部には、電源ボタンとインジケーターのついたバッテリーが搭載されています。

側面に「ANAFI」のロゴ。

後尾に充電用のSB Type-Cポート。

本体のボタンを押しながら後方へスライドさせるとバッテリーを取り外せます。

バッテリーを取り外すと、本体中央にmicroSDカードスロットが現れました。

金属パーツはフタのようになっていて、閉じて上にスライドさせるとロック、下にスライドさせて開けるとロック解除。このスライド方向が一般的な向きと逆のため、慣れるまで使いづらさを感じてしまいます。

なお、容量16GBのSanDiskのmicroSDはANAFI本体に装着されていました。

バッテリー容量は2700mAh。

バッテリーの取り外しは非常に簡単なので、予備バッテリーとの交換作業も迅速に行えそうです。

・プロポ
ANAFIのプロポは2本のスティックタイプ。

スティックの先はゴム製で、滑りにくい形状になっています。

本体中央左にインジケーター

プロポの上面にボタン類と、Type-C、Type-Aの二つのUSBポートを搭載。Type-Cが充電用、Type-Aがスマートフォンとの接続用です。

天面のボタン。右手で操作する方にはカメラの録画/停止ボタンとズームレバー。

左手側にフォーカスボタンとカメラのチルトレバー。

背面のくぼみに手を入れて……

スマートフォンホルダーを立てられます。なお、このホルダーがプロポの電源のON/OFFを兼ねています。

ホルダーを立てると、中央に緊急時にANAFIを呼び寄せる「ホームボタン」と「離着陸ボタン」となっています。

◆セットアップ
まずはANAFIを充電。なお、ドローン本体にバッテリーを装着したままでも充電は可能です。

続いて、プロポも充電。

ANAFIを操縦するにはスマートフォンに以下のアプリ「FreeFlight 6」をインストールする必要があります。FreeFlight 6はAndroidとiOSの両対応です。
FreeFlight 6 - Apps on Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.parrot.freeflight6
FreeFlight 6 on the App Store
https://itunes.apple.com/us/app/freeflight-6/id1386165299
今回はアプリをiPhoneにインストールして使ってみました。アプリの初回起動時に位置情報の確認が出るので「許可」をタップ。

利用規約が表示されるので、下方向にスクロールして……

「同意します」をタップ。

「いいえ」にチェックを入れて、「続行」をタップ。

画面通り、「コントローラーの電源をON」→「スマートフォンとコントローラーを接続」→「ドローンの電源をオン」の順に作業します。


作業は基本的に画面通りに行っていけばOK。スマートフォンとANAFIとのペアリングは、Wi-FiでSSIDを選択してパスワードを入力して行います。

SSIDとパスワードは、専用ケースにシールで貼り付けられています。

途中でファームウェアップデートが現れたので、アップデートを行います。「続行」をタップ。

あとは、アップデートが進むのを待つだけ。

ファームウェアをドローンに送信中。基本的には待っておくだけでOK。

ファームウェアアップデートが完了。

ファームウェアアップデートが完了したら、ドローンの初期設定。「キャリブレーションを行う」をタップ。

画面の指示通り、3軸方向に手でドローンを回転させてキャリブレーションを行います。

完了後、「OK」をタップ。

これがFreeFlight 6のトップ画面。画面上部に緑色で「接続済み」と表示され、「ドローン」「SDカード」「プロポ」の各アイコンが緑色になっていれば、飛行可能状態です。

◆飛ばしてみた
・スマートフォン設定
ドローンを飛行させる前に、軽く設定項目をチェックします。画面右上の「歯車」アイコンをタップ。

最初は「インターフェース」。プロポの操縦説明を兼ねた設定画面。もちろんスティック操作はカスタマイズ可能です。

左のタブの「パイロット」をタップ。安定性重視の「FILM」モードと、飛行性能重視の「SPORT」モードを選択できます。なお、各モードともに、飛行設定を細かくカスタマイズ可能です。

左のタブの「セキュリティ」をタップ。「最大高度」や「最大距離」などを設定して、飛行範囲を制限可能。セキュリティはデフォルトではOFFになっています。

左のタブの「カメラ」をタップすれば、カメラを設定可能。

左のタブの「Wi-Fi」アイコンをタップすると、接続されているバンドが表示されます。

・FILMモードで飛ばしてみた
ということで、さっそく飛ばしてみます。トップ画面で「飛行」をタップ。

カメラ映像が表示されれば準備完了。プロポの「離着陸ボタン」を押せば、ドローンが離陸して、その場でホバリングします。

カバンから取り出して、たった1分でANAFIを飛び立たせる様子は以下のムービーで確認できます。
ポータブルドローン「Parrot ANAFI」を取りだして1分で飛行させる - YouTube

ANAFIは小型・軽量のドローンにもかかわらず、かなりの安定っぷり。とくに風が強い状態でも安定したホバリングを見せるので、ドローン初心者でもすぐに空撮可能という手軽さです。なお、操縦に慣れれば「FILM」モードから「SPORT」モードへ。設定次第で最大55km/hという速度で、爽快な飛行が可能です。

・カメラの操縦
ANAFIはカメラを上下に90度ずつ計180度回転させて、真下だけなく真上も撮影可能。プロポのスライダーでカメラを上向きにする様子は以下のムービーで確認できます。
ポータブルドローン「Parrot ANAFI」のカメラを真上に向ける様子 - YouTube

真下を撮影できるのは非常に便利です……が、真上を撮影する場面には出くわさず。真上を撮影できる利点が活かせる場合はそれほど多くはなさそうです。
・FPVで飛ばしてみた
ANAFIはスマートフォン画面を頼りに飛行するFPVモードに対応。

さっそく展望台からANAFIを大空に放って空中散歩してみました。展望台からの離陸シーンは以下のムービーから。
ポータブルドローン「Parrot ANAFI」をFPVモードで展望台から離陸させる様子 - YouTube

ANAFIをFPVモードで撮影した4Kムービーはこんな感じ。
ポータブルドローン「Parrot ANAFI」でFPVで4K空撮してみた - YouTube

◆感想
バッテリー4本分を飛行させてみて感じたことは以下の通り。
まず、「バッテリーはかなりもつ」というのが最も印象的な点。「25分の飛行時間」といううたい文句通りのバッテリーのもちを見せてくれます。Mavic Airよりも公称値で長い飛行時間ですが、その通りの優位性をANAFIは持っていそう。実測315gという軽量化の威力は抜群です。
軽量ゆえに飛行性能も良く、SPORTモードだとキビキビ動きます。また、ホバリング時の安定性が抜群で、意外にも軽量にもかかわらず風に強く、安定した飛行ができる点は初心者でも扱いやすいはずです。FPVモードではANAFIの機体が目視できないレベルまで離れると、電波が届かずスマートフォンの映像が乱れる場面がありましたが、完全に映像が途切れることはなかったので、落ち着いて帰路を探すことができました。
ただ、カメラの映りに関してはかなり特徴的な色合い。これはHDRモードでも変わらずで、純粋なカメラ性能ではMavic Airに軍配が上がるという感じ。しかし、真下&真上にも撮影でき、2.8倍(4K時は1.4倍)のロスレスズームを備える点は、非常に便利で重宝しそうです。
アプリ「FreeFlight 6」の動作はまだまだ洗練されておらず、ANAFIとの連携がうまくいかないという場面もしばしば見られたので、今後の最適化に期待したいところです。
北米価格ではMavic Airが799ドルに対してANAFIが699ドルと100ドル(約1万1000円)の差。Mavic Airの衝突回避機能は100ドル分に十分見合う内容なので、大いに悩む余地がありそうです。ただし、日本価格ではANAFIが税込8万1628円なのに対してMavic Airは税込10万4000円と2万円以上の差。この価格差であれば、ANAFIを選ぶという選択肢は大いにアリと言えそうです。

ANAFIは2018年8月3日に発売予定で、Amazon.co.jpで税込8万1628円(送料無料)で予約受付中です。
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