生き物

羽がないクモが空高く飛んで移動する「バルーニング」を行えるのは「電場」を利用しているから


by Skitterphoto

クモはお尻から糸をだし、電場の力を借りて空高くにまで上昇し、羽がないにも関わらず「飛行して」移動ができるということが研究で示されました。

Electric Fields Elicit Ballooning in Spiders: Current Biology
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(18)30693-6

We Just Found Out Spiders Can Use Electricity to Fly Through The Air
https://www.sciencealert.com/spiders-use-electric-fields-to-fly-balloon-through-the-air-and-migrate

Spiders Use Earth's Electric Field to Fly Hundreds of Miles - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/science/archive/2018/07/the-electric-flight-of-spiders/564437/?single_page=true

クモは移動の必要がある時などにお尻から糸をだし、それをパラシュートのように利用して空を飛ぶ、「バルーニング」という行動を取ることがあります。

バルーニングの様子は以下のムービーから見ることが可能。

Spider Ballooning - YouTube


In the Sky "ballooning" or "floating" webs made by young migrating spiders. - YouTube


クモのバルーニングは以前から研究者に知られていましたが、新たに、電場がバルーニング行動のトリガーになること、そして電場によって微風すらない状況でもバルーニングが可能になることがわかりました。

この発見をしたのは、イギリスにあるブリストル大学のエリカ・モーリー氏とダニエル・ロバート氏。「空中飛行する有機体と聞いた時に、普通はクモを思い浮かべないでしょう」「しかし、羽のない節足動物は上空4kmで発見されており、何百キロもの範囲に分散するのです」と研究者は論文に記しています。

研究者によると、クモの飛行は、大気中の空間電荷の分布と地面のもつ負の電荷によって生じる空中電場を利用したものとのこと。空中電場は雷を発生させる原因にもなるものです。

クモがバルーニングを行うのは電場を利用しているからではないか?というアイデア自体は新しいものではなく、1800年代には既に登場していました。進化論を発表したチャールズ・ダーウィンは何百というくクモが海の穏やかな日にどうやって探検船・ビーグル号に入り込んだのかについて考えを巡らせていたとのこと。また2013年にも別の研究グループが「少なくとも一部のクモのバルーニング行動に電場が関係している」という仮説を発表していますが、実際に実証されたことはこれまでなかったそうです。

by bella67

そこで、2人の研究者はエリゴネと呼ばれるクモを捕まえ、人工的に作り出した「空気の動きがない場所」や「電場がない場所」といったところで実験を行いました。するとチームは電場をオンにした状態になるとクモがバルーニングを行うようになったこと、そして静電気がクモを移動させるのに十分な力を持っていることを実際に観測したそうです。これは、頭に下敷きをこすりつけると髪が浮き上がるのと同じ原理だといえます。なお、電場のスイッチをオフにすると、空中をただよっていたクモは降下したとのこと。

今回の研究は人工的に電場を発生させたものなので、実際に自然界の空中電場によって同じことが起こるのかは実験されていません。しかし、研究者は今回の実験でクモのバルーニングに電場が関係していると「十分にいえる」としています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by logq_fa