サイエンス

子どもの自制心が将来を左右するという「マシュマロ実験」が再現に失敗、自制心よりも大きな影響を与えるのは「経済的・社会的環境」

by Blaque X

子ども頃の自制心がその後の人生における長期的な成功と関連するという「マシュマロ実験」を懐疑的にみた研究者が、より大きな規模で実験の再現を行いました。子どもの人種・親の学歴・家庭の年収などを考慮した結果、子どもの長期的な成功にとって重要なのは自制心よりも「社会的・経済的環境」であることが示されています。

Revisiting the Marshmallow Test: A Conceptual Replication Investigating Links Between Early Delay of Gratification and Later Outcomes - Tyler W. Watts, Greg J. Duncan, Haonan Quan, 2018
http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/0956797618761661

The Marshmallow Test: What Does It Really Measure? - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/family/archive/2018/06/marshmallow-test/561779/

◆マシュマロ実験とは?
マシュマロ実験は1960年代後半から1970年代前半にかけてスタンフォード大学の心理学者・ウォルター・ミシェル氏が実施したもので、マシュマロを使って子どもたちの自制心と将来の社会的成果の関連性を測ることを目的としていました。

スタンフォード大学で行われたマシュマロ実験には4歳の子どもたち186人が被験者として参加し、子どもたちは一人ずつ、マシュマロ1個と机とイスだけがある部屋に通されました。実験者は「私が帰ってくるまでの15分の間、マシュマロを食べるのをがまんしたら、マシュマロをもう1つあげる」と子どもたちに告げて部屋を去り、その後の子どもたちの行動を観察。その結果、実験者が戻ってくるまでがまんをし通して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは3分の1ほどで、追跡調査の結果、マシュマロを食べなかったグループは後の人生で優秀だと評価されたことが判明しました。マシュマロを食べた子どもと最後まで食べなかった子どもでは、大学進学適性試験(SAT)の点数が、トータルスコアで210点も異なることも判明しています。

by Ruffa Jane Reyes

マシュマロ実験は大きな注目を集め、その後の別の調査では「貧しく生まれた人は努力して自制心を身につけることで成功を手にするが、それと引き替えに健康を失うという可能性がある」ということも述べられています。

自制心レベルを計る「マシュマロ・テスト」で健康を害するパターンあり - GIGAZINE


◆マシュマロ実験を再現した結果
しかし、2018年5月25日に発表された研究は、マシュマロ実験の結果を「限定的だ」とする内容となっています。

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in サイエンス,   無料メンバー, Posted by darkhorse_log

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