サイエンス

「現代っ子は我慢ができない」は間違いだとマシュマロテストで判明


「現代っ子はほんの少しのことが我慢できない」と、かつての子どもとの比較で現代の子どもの忍耐力のなさを嘆く声があります。しかし、かの有名なマシュマロテストのデータからは、この批判は完全なる間違いで、むしろ「現代っ子の方が忍耐強い」ことが判明しています。

Cohort Effects in Children’s Delay of Gratification
(PDFファイル)https://www.apa.org/pubs/journals/releases/dev-dev0000533.pdf

Can the Kids Wait? Today's Youngsters May Be Able to Delay Gratification Longer Than Those of the 1960's
http://www.apa.org/news/press/releases/2018/06/delay-gratification.aspx

マシュマロテストの内容は以下の記事を見ればわかります。

自制心レベルを計る「マシュマロ・テスト」で健康を害するパターンあり - GIGAZINE


ミネソタ大学のステファニー・カールソン博士らの研究グループは、これまでに行われてきたマシュマロテストの実験結果を集めて、年代ごとに比較しました。「忍耐強さと将来の成功度」の関係を示すと考えられるマシュマロテストのうち、忍耐強さに関してフォーカスすることで、子どもの忍耐力が時代によって変化しているのかどうかを調べています。

「10分間」という待機時間が明示されたマシュマロテストの結果からは、2000年代に実験に参加した子どもは、1960年代の子どもよりも平均して2分間長く我慢することができ、1980年代の子どもよりも1分間長く我慢することができていたことが分かりました。つまり、現代の子どもの方が忍耐強く、「現代っ子はほんの少しのことが我慢できない」という批判は的外れだとわかりました。

研究者たちは2000年代の子どもが、なぜ過去の子どもたちよりも長く待機することができたのかという原因について、いくつかの仮説を出しています。一つは、現代の子どもの方が「賢い」というもの。急速に発達する技術進歩や急速に進むグローバリゼーションなどの環境変化が原因で、IQスコアが統計的有意に高まったことが注目されていますが、デジタル技術に触れ抽象的な思考を身につける現代の子どもの方が、満足感を先送りするスキルが高い可能性があるというわけです。


もう一つの可能性として、早期教育の充実を挙げています。現代では幼少期の教育の重要性が再確認されており、アメリカでは1968年に15.7%だった3~4歳という就学前に教育を受ける割合が2000年までに50%を超えるようになっているとのこと。就学前教育では基礎として自制心を養うことが重視されていることから、現代の子どもは幼少期から忍耐力を身につけているのではないかと考えています。

なお、「現代っ子はほんの少しのことが我慢できない」と考える大人が増えているのは日本だけでなくアメリカも同様で、358人の成人に対するオンライン調査では、72%が「現代の子どもは待てる時間が短い」と考え、75%が「現代の子どもは自制能力が低い」と考えていたとのこと。本論文の共同執筆者であるワシントン大学の正田佑一教授は、「私たちの発見は、直感がいかに間違っているのかということや、研究を行うことがいかに大切なのかを示す例です。もしも系統立ててデータを収集したり分析したりしなければ、これらの変化が見つかることはなかったでしょう。これらのデータは、未来の研究への興味深くそして重要な疑問を提起するでしょう」と述べています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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