取材

自転車で宇都宮から日光まで行っていろは坂を上ってみた


レンタサイクルでの往復でした。栃木県の日光といえば徳川家康を祀る東照宮や輪王寺、二荒山神社といった文化遺産に、日本三大瀑布の1つである華厳の滝、中禅寺湖、男体山といった大自然も楽しめる国内屈指の観光地。加えて自転車好きの方ならいろは坂にも興味があるでしょう。

こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。旅を終えて東京の工場で働いているのですが、ゴールデンウィークに休暇を使って、日光に行ってきました。久しぶりに、チャリダーマンらしいことをやりました。

◆計画
2002年、日韓共催のFIFAワールドカップが行われた年、私は自転車で日本一周をしていました。その時も、自転車でいろは坂を上りました。日光市内のユースホステルに宿泊して空荷でいろは坂を往復し、日本百名山の男体山にも登頂。東照宮も見学しました。栃木県の思い出といえば日光でした。だから、今年のゴールデンウィークの目的地になりました。

2002年の三猿。


男体山。


日光に行くのはいいとして、旅の中身をどうするか。普通に電車や路線バスで周っても良かったのですが、「再びいろは坂を自転車で上る」という誘惑に駆られました。でも、東京には自分の自転車がありません。こっちでは黙々と歩き回る生活をしています。ただ、手元に自転車があったとしても宇都宮は遠すぎます。

だとしたら、レンタサイクルしかありません。そう思って探してみると、日光市内のサイクルショップがレンタサイクルをやっているのを見つけました。しっかりした自転車も借りられそうだったのですが、事前予約が必須とのこと。前日次第で当日の予定が変わりそうだったので、予約なしで使えるレンタサイクルが理想でした。そこでさらに探して見つけたのが、宇都宮の「宮サイクルステーション」でした。

自転車利用者の為の施設 宮サイクルステーション
http://miya-cyclestation.jp/

日光、いろは坂まで距離はありますが、いけそうな感じだったのでとりあえずここに決定。

◆レンタルする
2018年5月1日(火)、朝7時前に宮サイクルステーションに到着。JR宇都宮駅の西口、市営駐輪場の隣でした。営業開始は7時からですが、すでにお客さんが来店していてロードバイクを借りていってました。予約なしだったので心配でしたが、クロスバイクを借りることができました。この日はカレンダー上では平日、通常勤務の方もいたでしょうし、ロードバイクこそ予約で満杯でしたが、当日レンタルでも大丈夫でした。はじめての方は登録証を作る必要があるので、公的な身分証明書をお忘れなく。

JR宇都宮駅西口。


心配だったので「ちょっと日光まで、できればいろは坂を上りたいのですが大丈夫でしょうか」とお店の人に確認をしてみました。「一応、国内各地をサイクリングした経験はありまして」と全くの素人でないこともアピール。そうすると「ちらほらとですが、いろは坂まで行っちゃう人もいらっしゃいますね。くれぐれも、無理はしないで下さい」といった感じでした。過去には大洗まで行かれた方もいたそうです。

……だからといって安易に真似する方が出てきてはいけないので先に書いておきますが、今回のいろは坂アタックはサイクリング経験があまりない人にはおすすめしません。パンクしにくいタイヤを使っていましたが、釘でも踏んでしまったら一発アウトで、パンク修理が必要になります。あと、ブレーキ周りの調整もできないと駄目でしょう。下り坂でブレーキが効かなくなると死にます。ただ、偉そうに書いている私も工具や予備パーツは持っておらず、結果オーライではありましたが、反省しています。

自転車は1日レンタルで1020円。安全のためにヘルメットも借りることを推奨します。自転車は午前7時~午後8時の営業時間内に返却しないといけません。ロッカーも借りることができたので、要らない荷物を置いていきました。

宮サイクルステーションにて。


◆いざ日光へ
出稼ぎで東京に来てから全く乗っていなかったので、約8ヶ月ぶりの自転車でした。ペダルを回して風に乗ったように道路を進んでいきます。心地よい自転車のスピード、旅をしていたころを思い出しました。グイグイと力強い走りをするのは、ロードバイクにも使われる700×25Cというタイヤを履いていたため。過去の旅で私が使っていたものより径が大きく、かつ幅の細いタイヤの走行力に魅せられます。

日光まで国道119号線を利用。江戸時代に日光街道として整備された杉並木がところどころ残っています。日中でさえ木陰になってしまう杉並木の合間を貫く道路は神秘的。


「じゃじゃまる、ぴっころ、ぽろり」に思い出ポロリ。


「海老王子」を発見。これは大事と自転車を止めました。「えびうち」という地名だそうです。


思わぬ所に思わぬ発見。この予期せぬ出会いこそ、自転車旅の醍醐味だったり。

そして、すんなりと日光市に突入。


「あれ、前は今市市(いまいちし)という街があったはず」と首を傾げたのですが、合併して日光市になっていました。市名こそ日光に譲りましたが、市役所があるのは旧今市市街。「日光市街」という標識の距離表示も旧今市市街のことを指していました。これは、2006年の合併時点で、旧今市市の人口が旧日光市の約4倍もあったためです。今市市、(旧)日光市、足尾町、藤原町、栗山村の合併によって誕生した(新)日光市の面積は、岐阜県高山市、静岡県浜松市に次ぐ全国3位となっています。

そんな旧今市市のスーパーで食料を買い出し。コカ・コーラはチャリダーのエネルギー源。


日本一周のときにもよく見ていた謎のキリスト看板。ネットで「ネコと和解せよ」といじられているシリーズの看板です。


JR、東武の日光駅がある一帯が合併前の日光市街。ここまではちょいちょいと細やかなアップがありますが、わりとスムーズに走れました。宇都宮の標高が約100m、東武日光駅の標高が543mなのですでに400m以上も上っています。

この日光駅から先がきつい上り坂でした。まだ、市街は周りに建物があるので「うひょひょ、今、坂を上っている」という実感のある楽しい走行。でも、東照宮を過ぎて街を抜けると、ほとんど余裕がなかったです。中禅寺湖が水源の大谷(だいや)川に沿った道路、遡上する鮭のように坂を上っていくのですが、あまり景色に変化がありません。地味な区間ですが、確実に上っているので耐えるべし。

日光駅から東照宮の間にはこのような案内標識あります。現在地の標高を確認しながら上っていました。


東照宮近くのオシャレなローソン。


ここでも休憩していきました。


標高838mの馬返し(うまかえし)という場所からいろは坂が始まります。かつての道に48ヶ所のヘアピンカーブがあったことから、「いろはにほへと~」と謳われるいろは歌にちなんでいろは坂という名称になりました。現在は改良が加えられ、上りと下りで道路が2本通っています。どちらも一方通行。上りの第二いろは坂に「い」から「ね」まで20カーブ、下りの第一いろは坂に「な」から「ん」まで28カーブと、計48カーブという数字は昔と変わらず。遡ってきた大谷川から離れて峠(最高所)へ向けて山腹を駆け上がります。

いろは坂サイクリングの魅力はつづら折りというジグザグが積み重なった道。階段を上るようにヘアピンカーブを1つ1つこなしていきます。ヘアピンカーブの内回りは経が小さくなって勾配が鬼と化すので注意。つづら折りの道は標高差がはっきり分かるのでテンションが上ります。大好きな道です。しかし、今回は全然だめでした。いろは坂の前から21段変速の1番軽いギアを使っていました。通勤で歩いているし、工場でも足腰を使っているはずなのですが、自転車で使う筋肉は別のようで、全く坂を上れません。0.1kmずつ刻む道路脇の距離表示が遠い遠い。何度も地面に足をつけながら、ちょっとずつ進みました。

馬返しにて。


こんな感じで各々のカーブに、このようなひらがなと数字の看板が立っています。


標高1173m、黒髪平の展望台。


このようなヘアピンカーブが幾層にも連なっているつづら折りの道。


標高約1270mの明智平まで来たら、上りのいろは坂はほぼ攻略。ここにはロープウェイがありました。上の展望台からは中禅寺湖や華厳の滝が一望できるとあって、ちょっと観光してきました。自転車から降りると両脚がプルプルと鉛のように重かったのにはびっくり。

ロープウェイ乗り場。


だいたいこっちの方から上ってきたはず。


中禅寺湖と華厳の滝。幻想的な世界が広がっていました。


まるで人工ダムのよう。常時放水だと中禅寺湖が空っぽになりそうですが、そうならないように華厳の滝の水量は人工的に管理されているとのこと。


富士山のような山裾をもった男体山。日本百名山の1つです。


せっかくなので記念写真。


年季が入ったロープウェイのゴンドラ。


ロープウェイと駐車場。


明智平を出てすぐにあるトンネルをくぐれば中禅寺湖に到達。明智平以降はほとんどアップダウンはありません。

中禅寺湖入口にある大鳥居で、今回のいろは坂アタックは完了。


中禅寺湖は日本で一番高い場所に位置する湖です。


「宇都宮からチャリで来た」


中禅寺湖の入口を散策したのち、帰路へ。下りのいろは坂は安全第一でスピードを抑えていました。どう頑張っても自転車は自動車に敵わず、ドライバーの交通マナーの意識云々とは無関係に、ぶつかったら怪我をします。ブレーキレバーをぐっと握りしめヘアピンカーブをゆっくり下りていきました。

帰路は中禅寺湖の標高1269mから宇都宮の約100mまで一気に標高が下がります。3時間ちょっとでJR宇都宮駅の宮サイクルステーションに帰還。

◆自転車紹介
今回、借りたのはミヤタの「アルフレックスクロス」という自転車でした。定価4万5524円(税抜)という、クロスバイクのエントリーモデル。パーツ構成は値段が値段だけにそこまでいい部品は付いていませんが、だからといってノーブランドというわけでもなく、シマノの低価格向けコンポーネントが使われていたりしました。最低限だけどクロスバイクの役割を果たしてくれる自転車ではないでしょうか。

ALFREX CROSS、誕生 - MIYATA自転車
http://www.miyatabike.com/miyata/feature/alfrex_cross.html#&panel1-2

メンテナンスもしっかりしていて、上り坂でカチャカチャとレバーを切り替えれば、なめらかにギアが切り替わります。旅中は自分も調整をしていましたが、いつも苦労していたので、しっかりと整備された自転車に感激しながらペダルを回していました。ブレーキの効きも硬すぎず緩すぎず最高。タイヤとチューブは純正ではなく、別メーカーのものに履き替えていました。ほぼ文句なしの自転車だったのですが、ただ1つサドルのポジションが自分に合っていなくて失敗しました。初めに調整するべきでした。

鮮やかな赤が目立つフレーム。


ドライブトレイン。


SR SUNTOURというメーカーのクランク。


変速機はシマノのターニー(Tourney)TX。


ブレーキ+シフト一体型のレバー。前3枚×後7枚の21段変速でした。


700×25C、というサイズのタイヤ。海外サイクリスト愛用のシュワルベというブランドのタイヤを履いていました。


チューブはフレンチバルブ。


スタンド付きの自転車でした。やっぱりあると便利。


宮サイクルステーションでは他のクロスバイクやロードバイクもレンタルできるので、気になる方は公式サイトで確認して下さい。

結局、今回の日光は「いろは坂アタック」で終わってしまいました。修復によって三猿の顔が変わったと騒がれる東照宮には行けずじまい。宇都宮も気になる場所があったのですが訪問できず。餃子も食べていません。また足を運ばないと……。

かなりのへなちょこチャリダーでしたが、それでもいろは坂アタックは格別でした。旅を終えて、なかなか走る機会がなかったのですが、やはり自転車旅は最高ですね。また、時間を見つけてどこか走っていきたいです。

◆チャリダーマンからのお知らせ
改めてイベントの告知です。2018年5月26日(土)、北九州市門司区にあるINFO SHOP大都会門司港でトークライブを行います。料金はカンパ制・1ドリンク別で、16時から18時です。お時間のある方はぜひ足を運んで下さい。


(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)

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in 取材,   乗り物, Posted by logc_nt