取材

海外サイクリングで峠越えの魅力が十分に楽しめる7つの国々


汗だくになって上るのも、風を切って下るのも、自転車で峠を越えるのって楽しくありませんか?この夏も日本各地で、たくさんのサイクリストが額に汗して峠を上っていることでしょう。同様に海外のサイクリストは、アルプス山脈やアンデス山脈の峠を上っています。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。日本一周の際には箱根にも挫けそうな自分でしたが、海外を走るならそうも言ってられません。終わらない上り坂に苦しめられ、目に見えていた範囲が片付いても、それで終わることなく次のステージへ。「ふざけんな」「無理死ぬ」と愚痴りながらも、それなりに何とかしてきたので、今回は峠が楽しい海外の国々をまとめてみました。どんなり苦しい上りでも、諦めさえしなければ、いつかはたどり着くのです。

◆スイス
アルプスの景色に興奮したヨーロッパ人が「ヨーレローレロヒホー ヨヒドゥディ ヤホホー」という感じで叫びます。そう言うのも分かるくらいの清々しい大自然で、今年の7月に旅したスイスは夏真っ盛りでした。スイス南部は交通量も少なく、かつ峠道も緩やかで、自転車で走るには最高のシチュエーション。幼い頃に見たアニメ「アルプスの少女ハイジ」のイメージが重なります。

思わず声を上げた美しい教会。


坂を上っていくと……


標高2046mのオーバーアルプ峠(Oberalp pass)に到達。


峠の近くには、湖が広がっていました。


峠の向こう側は、山に囲まれた盆地となっています。遠くには、もう一つ上らないといけない峠の九十九折。


ダウンヒルで、だいぶ標高を下げました。


次の峠は13kmで890mアップという親切な標識。


登坂中に、走ってきた道を振り返って。


谷底の川を遡って、標高を上げていきます。


最高の景色の中で。


そして、標高2430mのフルカ峠(Furka Pass)に到達。1日で2つの大きな峠を越えたこの日は、これまでの旅の集大成でした。


ダウンヒルの方向。


手前の九十九折を一気に下ります。奥に見える別の九十九折は、自分の進路ではありません。


こちらはスイス中央部を貫く国道。


後方のジグザグ道から下ってきました。


別の日は、日帰りでマッターホルンも見に行ってます。外国でも一般名称として通じると思っていたら違って、フランス語だと「モン・セルヴァン」と呼ばれているご様子。マッターホルンはドイツ語が由来です。


トレッキングルートを歩くと、麓にあるツェルマットの街が一望。


マッターホルンでバンザイ。


◆インドネシア
3カ国目となったインドネシアでも、山道に揉まれました。東ティモールから入って島伝いに、ジャカルタまで移動したのですが、どの島にも山が存在して、嫌というほど上らされます。フローレス島なんて、何本峠があったやら。バリ島やロンボク島も、大きな山が存在するので、ルート次第ではヒルクライムが可能。首都ジャカルタが存在するジャワ島でも、一つ大きな峠を越えようと挑んだ先には、インドネシア人の観光地があって驚きました。

期待はしてなかったのですが、峠を攻略中に大きな町を発見。


サランガン(Sarangan)と呼ばれる町には湖があって、インドネシア人の保養地として賑わっていました。


ボートと湖。


ラウ山と呼ばれる標高3265mの独立峰の側を横断するルートです。


富士山と同じ成層火山なので、標高が上がると周囲の景色を見渡せます。


サランガンの町から峠の頂上まで激坂で、これでもかと押して進みました。


霧の中で頂上に到着。


ラウ山への登山道もありました。


こちらはフローレス島で、東から西へ向かう一本道でしたが、本当に多くの峠を越えました。


この島にも富士山のような山があります。


◆ラオス
タイのノンカイから入ったラオスは、首都ビエンチャンからルアンパバーンまでの山道が、緑が眩しく気持ちよかったです。武装勢力によるバス強盗の話もあって、道の途中には銃を持った政府の人間がいましたが、それにも関わらずたくさんの自転車旅行者が行き交っていました。

気持ちのよい緑の中を走行。


振り返ると、一直線に上っていたことが分かります。


爽やかな大自然を満喫。


あずま屋でヤギさんが休憩中。


「サバディ、サバディ(こんにちは)」と声をかけてくる小さな子どもたちには癒やされました。


◆キルギス
中央アジアのキルギスも山がちな国で、標高1600mに位置するイシク・クル湖を一周したり、3000m級の峠を二つ越えたりと、よく上っていた気がします。欲をいうなら、隣国タジキスタンの標高5000mにもなるパミール高原を走りたかったのですが、冬も近かったので断念。この辺りはユーラシア大陸横断で、ヨーロッパから走ってきたチャリダーも集まる人気のエリアとなっています。

野宿ポイント。


大きなヘアピンカーブ。


谷間から段々と標高を上げていきます。


迫力のある景色が広がって。


だいぶ上って、最後のステージ。


ここまで上ると、自分より高い山も少なくなります。


そして頂上付近。


ここでトンネルを越えるとダウンヒル。首都ビシュケクから南部オシュ方面に抜ける道路で、標高約3100mまで上りました。


◆アルメニア
イランから入ったカフカス山脈のアルメニアは、首都エレバンまで4つの峠。そこからグルジアまで2つの峠と、たくさんの峠を越えた記憶が残っています。エレバン手前の峠では、大小二つの富士山のような山が飛び込んでき、度肝を抜かれました。ノアの方舟が辿り着いたとも言われる、成層火山のアララト山の主峰は5165m、その東南に小アララト山3914mと、二つの巨峰が並ぶ景色は圧巻。日暮れ前で急いでいたので、写真を撮りそこねたことが悔やまれます。前半は雪も降らずに良かったのですが、グルジアを目指した後半は、吹雪いたりもして大変でした。キャンプをしようと雪原に出ても、自転車は身動きできずに、街へ引き返した夜も。ともかく大変だった分、思い出深い国となっています。

頑張って峠を上りました。


谷間を上っていく道。


もう少しで頂上に。


遠くに見える町に行くには、谷を一度降りてから、また上る必要があり。これが分かった時の面倒臭さといったらもう。


F1サーキットのような上り坂。


ウニョウニョと曲がりくねった道を進んで。


そして、辿り着いた計画都市・ゴリスの町。


ゴリスから先は、更に上らないといけませんでした。ともかく峠を越えようと、日が落ちてからも漕ぎ続け、強い向かい風となれば押し続け、そうすると燃えるように赤い月が上っていき、神秘的な光景には言葉を失います。結局、峠の頂上には辿りつけず……。


真冬の滞在だったので、エレバンから脱出の際は、大量の雪が積もっていました。


峠を上るにも、何も見えない銀世界。


頂上到達。


真っ白な雪原に足を踏み入れると、ここまで靴が埋まります。


ガードレールもこの有り様。


◆モンテネグロ
バルカン半島の旧ユーゴスラビアを構成していたモンテネグロは、その国名「モンテ(山)+ネグロ(黒)」の由来通りの山岳地帯でした。高原まで上ると4月にも関わらず、雪に囲まれた街に、防寒具に身を固めた少年。道のりはしんどかったですが、上った後に広がる景色は格別でした。

谷の底に位置する川沿いの道は……


段々と標高を上げて……


こんな高い場所まで上るのです。


天気が悪くて寂しくも感じた高原地帯。


街で遊ぶ少年もしっかりと着込んでいます。


4月となっても雪が残る一帯。


晴れるとこのような景色ですから、しんどいだけじゃないんですけどね。


絶景ばかりの国でした。


◆ペルー
南米はアンデス山脈があるので、どこの国でも峠は楽しめるのですが、道路の勾配が緩やかなペルーが一番でした。逆に隣国のエクアドルは鬼の急勾配。ペルーだと幾つもの九十九折を駆使して、道も走りやすい造りとなっているので、標高差を実感しながら上りが快感にもなります。アンデス山脈ということもあって、標高4000m級の峠がゴロゴロと出てくるのも魅力的。

海岸部のナスカから、山岳部のクスコに向かう道の途中。


落ちてくる程の星空を眺めていた夜。


米粒のようなアルパカたち。


眼下に広がる街から上ってきました。


ひたすら青い空に近付くヒルクライム。


クスコからマチュピチュに向かう時も、約4300mの峠を越えないといけません。


これだけの九十九折が重なると、走行も楽しかったりして。


ファイナルステージ。ここを越えると頂上まですぐでした。


他にも世界の屋根とも呼ばれるチベット、インドのラダック、パキスタンのフンザと、チャリダーとしては憧れる場所が残っています。それは日本も同様で、日本一周の際は北海道の三国峠や、長野県の渋峠、大分県の牧ノ戸峠と越えたのですが、まだまだ行きたい場所はたくさんありますね。

サイクリストを引き寄せてやまない峠。今日も世界のどこかで、誰かが息を切らして上っていることでしょう。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
世界で最も高い場所にある峠「マーシミク峠」とそれに続く峠トップ7の写真いろいろ - GIGAZINE

暑い夏を涼しくしてくれる標高3000mの中国最大の湖「青海湖 - GIGAZINE

斜面に60ものヘアピンカーブがあるステルヴィオ峠の写真やムービー - GIGAZINE

アルパカの群れと出会ったペルー山岳地帯は標高4000m超で寒さが身に染みた - GIGAZINE

ボリビアからチリに抜ける「宝石の道」は世界の果てを感じさせる絶景の連続 - GIGAZINE

アメリカ大陸の巨大なスケールに心を奪われるカナディアンロッキーを越えてみた - GIGAZINE

エクアドル最高峰「チンボラソ」に近づくために富士山より高い標高まで自転車で走ってきた-GIGAZINE

高所恐怖症でなければ一度は行ってみたい、世界の絶景ポイントにあるダイナミックな展望台 - GIGAZINE

in 取材, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.