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「世界最高齢のアプリ開発者」と認められた82歳の日本人女性はなぜアプリ開発の道へと進んだのか?


2017年7月に開催されたAppleの世界開発者会議「WWDC 2017」の中で、一人の日本人女性・若宮正子さんが注目を集めました。若宮さんは82歳という高齢でありながら、Appleの開発言語「Swift」を使ったiOS向けゲーム「hinadan(ひなだん)」を開発したことで知られています。Appleのティム・クックCEOからは「世界最高齢のアプリ開発者」と称され、「あなたは、私たちにとって、とても勇気づけられる存在です」と言葉をかけられるなど高い喝采を浴びる若宮さんがどのようにしてアプリ開発の道へと進んだのかが、明かされています。

82-Year-Old Japanese Woman Finds Success in Coding
https://www.aarp.org/work/working-at-50-plus/info-2018/worlds-oldest-app-developer-fd.html

1935年生まれの若宮さんは18歳で三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行し、それ以来60歳で定年退職するまで勤め上げてきました。定年退職後は、当時90歳という高齢だった母親の介護を行いながら、コンピューターの世界に夢中になりました。コンピューターを手に入れたきっかけは「外の世界とつながるため」であるとのこと。パソコン通信やインターネットを通じて多くの人との交流を重ね、現在はメロウ倶楽部と呼ばれるようになったコミュニティに参加するなど、それまでよりも広い世界とのつながりを深めていったそうです。


そして2016年秋、若宮さんはiPhoneアプリの開発を始めました。「若者向けだけでなく、高齢者が楽しめるゲームを」ということで開発したのが、古くから日本に伝わる伝統文化である「ひな壇」をiPhoneの画面の中で組み立てるゲーム「hinadan」です。このゲームは、高齢者向けに文字の大きさを最適化し、スワイプ操作が苦手な人でも戸惑うことがないように、操作は全てタップのみで行うUI設計になっているとのこと。また、耳が遠い人にもゲームの進行がよくわかるように、効果音に合わせて画面にも表示を出すなど、数々の工夫が盛り込まれています。

「hinadan」をApp Storeで
https://itunes.apple.com/jp/app/hinadan/id1199778491


若宮さん自ら「80過ぎのオババが作ったハイシニアが楽しめる雛壇飾りアプリです」と語るhinadanは2017年2月にリリースされ、大きな注目を集めることになりました。2017年12月にはそれまでの日本語版に加えて英語版がリリースされ、翌2018年3月には簡体字中国語版もリリース。全世界から5万回以上のダウンロードが行われ、評価は5点満点中で4.7点をマークしています。


英語版hinadanの評価に至っては「5点」という異例の満点をたたき出しているほど。今後はフランス語版のリリースを目指しているとのことです。


若宮さんにとって、アプリ開発は「加齢」に負けない気持ちの表れであるとのこと。「年寄りは歳を取るにつれて気持ちが沈んでいきます」「そんな年寄りに新しいことを始めさせることで、新しい楽しみが生まれ、やる気が起こります。私はその感覚が本当に好きで、みんなと分かち合いたいと思っています」と語る若宮さんは、「新しいこと」の一つとしてアプリ開発を始めました。

「若い人と一緒にゲームをやると必ず負けるのでは面白くない」と考えた若宮さんは、株式会社テセラクト代表取締役社長の小泉勝志郎さんに「年寄りが若者に勝てるゲーム作ってほしい」と相談。すると小泉さんから「私が作っても話題にならないけど若宮さんが作ったら超話題になりますよ」と言われたことがきっかけで、自らプログラミングを習得してアプリを開発することになったそうです。小泉さんは若宮さんの意向を受けてサポートを行い、高齢者を交えたアイデアワークショップなどを開催。その中から、「hinadan」のアイデアが導き出されました。

「若者に勝てるゲームが欲しい」、82歳アプリ開発者が世界に注目される理由 | 日経 xTECH(クロステック)
http://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/column/17/110800498/110900001/?ST=spleaf

若宮さんはまず、プログラミングの参考書を5~6冊買いこんで勉強をスタート。わからないところが出てきたら、小泉さんにSkypeやビデオ通話越しで質問して教えてもらいながら半年ほどかけてhinadanを作り上げました。このようにして完成したhinadanは、まず日本のApp Storeでリリースされ、それが世界的にも話題になりました。世界でもまれに見る高齢の開発者ということで、AppleはWWDC 2017の基調講演の中で「世界最高齢アプリ開発者」として若宮さんを紹介。また、通常は1500ドル(約17万円)というWWDCの参加費を免除する「スカラシッププログラム」で若宮さんは会場に招かれており、ティム・クック氏と対面を果たしたことから一気に世界的に知られる人となりました。

WWDC 2017: 82歳のアプリ開発者、若宮正子さんが、ティム・クックCEOと語ったこと - YouTube


また、若宮さんはアプリを開発する前からコンピューターを使った創作活動を活発に行っていました。Excelを使った「Excelアート」のそんな作品の一つで、2014年に登壇したTEDでのプレゼンでは、その作品の一部、そしてコンピューターの世界にのめり込むことになったきっかけなどが語られています。英語やジョークを交えながら楽しいプレゼンを行う様子は、年下の世代が思わず焦りを覚えてしまうほど見事なもの。

Now it is time to get your own wings: 若宮 正子 at TEDxTokyo 2014 - YouTube


さらに2018年2月、若宮さんは国連本部で開かれた高齢者とデジタル技術をテーマにした国連での会議で基調講演を行ったこともニュースになっています。

「老後豊かに」82歳のアプリ開発者、国連で演説  :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26506150T00C18A2000000/

若宮正子さんが国連本部で演説した意義 - orangeitems’s diary
http://www.orangeitems.com/entry/2018/02/03/195732

hinadanがこんなにも大きな反響を得ることになるとは思わなかったという若宮さんは、今後もまだまだアプリ開発に意欲的。「まだまだ他にやりたいことがたくさんあります」と語っています。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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