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AppleがApp Storeの10年を振り返る記念ページ「The App Store turns 10」を公開



Appleが2008年7月10日に公開したApp Storeが10周年を迎えようとしています。約500タイトルのアプリでスタートしたApp Storeは2017年初頭時点で220万タイトルに上っています。そんなApp Storeの10年を振り返るページ「The App Store turns 10(App Storeは10歳に)」をAppleが公開しました。

The App Store turns 10 - Apple
https://www.apple.com/newsroom/2018/07/app-store-turns-10/

記念ページにはまず、フィル・シラー上級副社長らのコメントが寄せられています。シラー氏は「App Storeはその最初の10年で、私たちが抱いていた最も高い期待すらをも上回る結果を残しました」とApp Storeの成功について語っています。App Storeとそこで提供されているアプリによって、人々が夢として抱いてきた暮らしが実現するようになり、シラー氏はApp Storeが次の10年でどのようなものをもたらすのか期待を述べています。


App Storeが変化させたのは、ソフトウェア市場の形態でもあります。2008年まで、市場に出回るソフトウェアの多くは大きなベンダーの製品によって占められており、小さなデベロッパーが活躍する場は限られていたとのこと。しかしApp Storeの登場により、iPhoneやiPadなどで人々がアプリを気軽に手に入れられるようになり、安い価格で販売できるプラットフォームができたことで、それまでは末端にいた中小ソフトウェア企業でも活躍できる舞台が出現しました。

App Storeとアプリによってもたらされた変化は人々の暮らしだけではありません。ビジネスの世界でも「モバイルファースト」という明確な流れが生まれることとなりました。小さなコンピューターが手のひらにのり、従来の携帯電話では実現不可能だった高い機能を持たせられるようになったことで、人々の暮らしの中にスマートフォンが浸透し、それに伴ってさまざまな新しいビジネスが誕生しました。


FacebookやTwitter、InstagramといったSNSに街中から簡単に投稿できるようになったのはスマートフォンとアプリのおかげであり、また、配車サービスのUberなどのサービスもアプリなしには成り立ちません。さらに近年はApple Payによるモバイル決済サービスが始まり、GPSやBluetoothビーコンを利用することで個人や状況に応じたきめ細やかなサービスを提供できるようになっていることなど、新たに生まれたサービスを挙げていけばきりがないほど。アプリは、少なからず社会の姿を変化させました。

アプリは暮らしやビジネスだけでなく、ゲームの形をも大きく変えました。それまでの携帯ゲーム機と同じような端末内完結型のゲームはもちろん、スマートフォンアプリのゲームはそのモバイル性能をいかしたコンテンツが新たに登場。たとえば、ユーザーが今いる場所がゲーム内で重要な要素になる「Pokémon GO」は、GPS機能が端末に備わっているからこそ実現できた新ジャンルのゲームといえます。また、カメラを使ったAR機能でポケモンが現実世界の中に存在するかのうようになるのも、スマートフォンの各種機能を統合した結果です。


「アプリ内課金」という言葉が生まれたのも、App Storeの登場によるところが大きいといえます。それまで、アプリやその中で使う各種オプション機能の購入といえばクレジットカードを用いることがほとんどでしたが、App Storeはプラットフォームとして決済機能を実装することで、簡単かつ安全に購入手続きを行うことを可能にしました。またこれにより、アプリ開発者も容易にアプリ代金の回収を行えるようになったとのこと。2009年にアプリ内課金機能が登場し、その1年後の2010年7月までにアプリ開発者に支払われた金額はアプリ代金と課金分を合わせて実に10億ドル(当時のレートで約900億円)にも達するそうです。


また、2011年にはサブスクリプション制度がスタートし、2016年までにそのカテゴリーは「ゲーム」や「キッズ」「健康」など25種類にまで拡大。「Netflix」や「LinkedIn」「Sing! By Smule」「Dropbox」などがこの機能を利用しており、2018年6月までにアプリ開発者に対して支払われた金額は、実に1000億ドル(約1兆1000億円)にもなるとのこと。

モバイルアプリ、そして高速通信網の整備によって普及が進んだのが「動画ストリーミングサービス」です。「Hulu」や「Netflix」、Amazonの「Primeビデオ」など、ネット回線さえあればいつでも好きなテレビ番組や動画を高画質で見られるようになりましたが、これはほんの10年前まではまず考えられなかったこと。ここでもコンテンツ提供者にとってのビジネスは生まれていますが、一方では既存のテレビメディアに対して逆風が生じるように、やはりここでも大きな社会の変化が起こりつつあります。


アプリは、子どもたちの創造性を伸ばすことにも活用されています。デジタル機器ならではの機能を生かし、いくらでも書き直しができる「塗り絵アプリ」など、子どもが楽しみながらさまざまな体験ができるアプリが提供されてきました。また、iPad Proで利用できるApple Pencilの登場でその創造性はさらに高まり、本格的なプロフェッショナル用途にもアプリが使われるようになったとのこと。さらに、子どもや学生の学習支援など、教育の現場でもアプリは活用されています。


アプリが人々の暮らしを変えた実例の1つが、ヘルスケアやフィットネスといった分野での変化。iPhone本体を身に付けておくことで歩数や運動量などを測定して記録できるようになったほか、Apple Watchと組み合わせて使うことで脈拍測定やフィットネスのトラッキングを簡単にできるようになりました。さらに、Apple Watchが脈拍の異常を検知したことで命を救われた男性のように、アプリが人の健康においてクリティカルな役割を果たす事例がたびたび目にされるようになりました。


体が不自由な人の生活でもアプリは役に立っています。iPhoneの設定画面にある「アクセシビリティ」の項目にも見られるように、iPhoneやアプリは特別なケアを必要とする人たちにとって便利な機能の実現にも活用されています。音声読み上げアプリ「Voice Dream Reader」やさまざまな障害を抱える人をサポートする「CP Channel」など、多種多様な機能がiPhone1つあれば誰でも手に入れられるようになったことは、実に画期的なことといえます。


アプリの世界が大きく広がったことで、そのアプリを作る人たちのコミュニティも大きく成長しました。Appleは2013年から毎年、世界的な開発者会議「Worldwide Developers Conference(WWDC)」を開催し、その中でアプリ開発者の取り組みを支援する活動を続けています。2017年のWWDCでは「世界最高齢のアプリ開発者」と認められた82歳の日本人女性である若宮正子さんが紹介されたのも記憶に新しいところ。アプリ開発を通じた世界的なつながりが、App Storeから広がっているというわけです。


2017年、App Storeは大きく模様替えを行って「Today」という項目を登場させました。ここでは日替わりで話題のアプリや便利なアプリが紹介されるようになっており、新しいアプリとの出会いを期待できる場所になっています。App Storeには週あたり5億アクセスがあり、「Today」で取り上げられたアプリには100万ビュー程度のトラフィックが発生しているとのことです。


今後最も期待されていることの1つが「AR(拡張現実)」の分野。Appleは2017年にAR機能を実現するプラットフォーム「ARKit 1.0」をリリースし、iOS端末を使ったAR機能を誰もが利用できるようにしました。その後、2018年7月時点でApp Storeで提供されているAR関連アプリの数は3000タイトルを超えるまでに成長。AR技術は人々の生活や社会、ビジネスを変える技術として期待されている分野であり、スマートフォンのアプリがその発展に大きく寄与することはまず間違いなさそうです。

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