動画

「ターミネーター」「エイリアン2」などで知られるジェームズ・キャメロン監督がSFに関する質問にお答えするムービー


ターミネーター」シリーズや「エイリアン2」、「タイタニック」などの監督・脚本で知られるジェームズ・キャメロン氏が、Twitterに寄せられた「SFに関する質問」について答えるムービーがYouTubeで公開されています。

James Cameron Answers Sci-Fi Questions From Twitter | Tech Support | WIRED


「こんにちは、ジム・キャメロンです」とカメラに向かって自己紹介をするキャメロン氏。


キャメロン氏はPCを開き、「ジャック・ヘイスさんからの質問。『科学技術の発展が全体主義をもたらすわけではないのに、なぜSFは悲観的な未来を描くのか?』」と質問を読み上げます。


「確かに社会システムに関する悲観的な予測は、SFの中でたくさん見られるね」


「そもそも、この現代で悲観的にならない方が難しいよ」とキャメロン氏は答えます。


キャメロン氏によれば、「SFに悲観的な未来が描かれるのは、現代に対する悲観的な見方が影響しているから」だそうです。


続いて次の質問。「なぜSFには決まってトラクター・ビームが登場するのか?」


「実のところ、僕はトラクター・ビームが出てくる映画を作ったわけじゃないんだけど……」と苦笑するキャメロン氏。


キャメロン氏は、「トラクター・ビームのように『見えないビームで対象のものをつかんで、引っ張ってくる』という技術は、今のところ私たちが持っていない技術だ」と語ります。


「でも、第二種超伝導体と非常に強力な磁場を利用して、マイスナー効果を発生させ、対象の物を一点にピンで留めたように動かなくすることは可能だ」とのこと。


非常に短い距離に限定すれば、マイスナー効果によりトラクター・ビームのような現象を発生させることが可能であり、いずれ実現する技術かもしれない、とキャメロン氏は述べました。


次の質問は、「AIの研究者たちがターミネーターの映画を見たせいで、AIの研究が失敗することはありますか?」というもの。


「ターミネーターを見たからと言って、研究者がAIの研究を断念するわけじゃないよ」と笑いながら答えるキャメロン氏。


「軍事系のシンクタンクは、スカイネットの問題について話し合っている。しかし、それが原因でAIの研究を中止することはないよ」と、キャメロン氏は自身が監督・脚本を務めた「ターミネーター」シリーズがAI研究に与える影響を否定しました。


キャメロン氏がターミネーターを製作した1984年、「コンピューターが自我を持って人を殺す」という発想は、純粋なSFに過ぎませんでした。


「ところが、現代では真剣に『無人のドローンに人を殺させてよいのか?』という倫理的な問題について話し合っています」とキャメロン氏。


キャメロン氏は「AIの最前線で働く人々は遅くても50年以内、早ければ15年ほどで、戦争にAIロボットが投入されるだろうと予測しています」と語り、私たちは倫理的な問題について考える必要があるとしています。


続いての質問は、「なぜ全てのSFが、アンドロイドは人型なの?」というもの。


「うーん、僕は何度も繰り返し『人型ロボット』について考えてきたんだけど、人型ロボットというのは、人々が持つ『ロボットは将来的にどこへ行くのだろう?』という不安に対処するための方法だと思う」とキャメロン氏は答えます。


しかし、歴史的にみると人型ロボットの存在は人間への不信感が根底にあるとのこと。


「20世紀半ばの『21世紀には非常にリアルなロボットが登場する』という妄想を題材にした映画の流行について、どう思いますか?」という質問に……


「とても知的な質問だね」とコメントするキャメロン氏。


キャメロン氏によれば、20世紀のリアルなロボットを題材にした映画は、現代の私たちに「リアルなロボットが登場する世界」を想像させ、ロボットが現実に社会の中で役割を果たす未来についての準備をさせたとのこと。


「私たちはすでにSFの世界に住んでいるんだ」とキャメロン氏は述べました。


次の質問は「タブレット・ロケット・自律式ドローンなど、多くのSF的コンセプトが現実のものになっていますが、エイリアンのようなモンスターも現実に登場すると思いますか?」というもの。


「SFには非常に正確に未来を予測するものもあれば、全くそうではないものもある点が面白い」


エイリアンについては、「遠く宇宙を旅すれば、私たちとはまるで別の生物学的構造を持った『エイリアン』に出会うことができるかもしれないね。古い火星にはそういった生物がいたかもしれないし、木星の衛星には地球外生命体がいる可能性もある」とコメント。


「私たちの技術では宇宙をそれほど高速で移動することができないため、エイリアンとの遭遇はすぐには訪れないだろう」とキャメロン氏は考えているようです。


「なぜSFやファンタジーはオスカーを取れないの?衣裳デザイン賞やメイクアップ&ヘアスタイリング賞ばかりでうんざり」という質問には……


「本当にそうだよ!僕もそう言いたい!」と全力で同意するキャメロン氏。


キャメロン氏は、「僕が単なる映画ファンだったころ、スター・ウォーズが最高のSF映画だった。それなのに翌年のオスカーは取れなかったんだ!」と憤慨します。


「SF映画は現実的な人間を描いていないから、オスカーにはふさわしくないという姿勢が広まっている。でも、実際にはSF映画の中にもしっかりとした人間ドラマやストーリー、現代社会に対する警鐘や魅力的なキャラクターが登場するものがあるんだ。それなのにアカデミー賞はSF映画に対し、美術や衣装など、技術的な面でしか評価しない」


「出演する役者の演技に対しても、『グリーンスクリーンの前での演技など無意味』と思っているのかもしれないが、そんなことはないんだ」とキャメロン氏は力説。よほどアカデミー賞におけるSF映画の冷遇に、不満を持っていることがうかがえます。


続いての質問は、「タイムトラベルはナンセンス。ターミネーターもよくわかりません。なぜ未来からタイムトラベルして来たカイル・リースは、ジョン・コナーの父親になれたのですか?」というもの。


「SFの世界には『親殺しのパラドックス』という古典的な問題がある。あなたがタイムマシンを発明して過去に行き、あなたの祖母と出会う前にあなたの祖父を勝手に殺してしまったとすれば、あなたの両親のうちどちらかが生まれず、あなたは生まれない。すると、あなたはタイムマシンを発明することもできないが、そうなるとあなたは祖父を殺すこともできなくなる」


「この延々と続くループが、親殺しのパラドックスだね」とキャメロン氏は話します。


キャメロン氏は「どのSF作家もこの問題を解決できていないけれど、だからといって『タイムトラベルは無理』としてしまうのはつまらないよ」と述べました。


「タイムトラベルは無理」と言ってくる相手には「うるさい」と返せばいい、とキャメロン氏は冗談めかして語ります。


多くの名作を生み出してきたキャメロン氏の、思考の一端に触れることのできるムービーとなっていました。

・関連記事
「銃夢」を映画化したジェームズ・キャメロン&ロバート・ロドリゲス監督の「アリタ:バトル・エンジェル」特別映像公開 - GIGAZINE

ジェームズ・キャメロン氏が最新作の「アバター」続編やアカデミー賞、「ターミネーター」シリーズについて語る - GIGAZINE

ジェームズ・キャメロン監督がSF映画「アバター」の続編4本を計画中であることを明かす - GIGAZINE

今からでも遅くない名作「ターミネーター2」を3分半で理解できるファミコン風8ビットムービー - GIGAZINE

意外とそっくり?映画「アバター」と「エイリアン2」の似ているところを比較 - GIGAZINE

in サイエンス,   動画,   映画, Posted by log1h_ik