AMDが「ゲーマー税の排除」を求めて謎の半導体メーカーを暗に批判、ASUSからは新ブランド「AREZ」登場
AMDが2018年4月18に「Radeon RX Graphics: A Gamer’s Choice」という専用ページを公開しました。これはAMD Radeonグラフィックスなどを利用してPCゲームを楽しむゲーマー向けにAMDの方針を宣言したものですが、「ゲーマーは不当な『ゲーマー税』を課されている」として、ライバルNVIDIAによる反競争的行為を示唆して痛烈に批判しています。
Radeon RX Graphics: A Gamer’s Choice
https://gaming.radeon.com/en/radeon-a-gamers-choice/
AMDは「Radeon RX Graphics: A Gamer’s Choice」において、PCゲームの楽しさは「自由」を基礎にしており、それはゲーマーが「グラフィックボードを選択する自由」であると述べています。自作PCはもちろんBTOなどの既製品であっても、ユーザーはより良いゲーミング体験を得るためにグラフィックボードをアップグレードすることができ、この選択の自由はゲーマーの権利だとのこと。その上で、AMDのコアバリューは「革新的技術への献身」「業界標準を用いた真の透明性の保障」「他社との真のパートナーシップ」「PCゲームエコシステムの拡大」だと述べています。
自由のない世界に創造的なものは生まれないとするムービーも公開しました。
AMD Radeon™ Graphics: Freedom of Choice - YouTube
AMDは「できるだけ多くのゲーマーの手に高性能グラフィックスを届け、そしてパートナー企業に対して『反競争的な条件なしに』必要なサポートを提供する」と宣言しました。この「反競争的な条件」がNVIDIAがパートナー企業(グラフィックボードメーカー)に対して行っているGeForce Partner Program(GPP)を指していることは明らかです。
NVIDIAによるライバルAMD製品を排除しようとする試みであるGPPについては以下の記事をみればよく分かります。
NVIDIAがゲーミングブランドからAMDを締め出そうとしている「GeForce Partner Program」問題とは? - GIGAZINE
AMDは「Radeon RX Graphics: A Gamer’s Choice」で数週間以内にパートナー企業からRadeon製品に関する新しいブランドの登場が期待できると述べました。そして、ASUSからRadeonグラフィックスを利用する新ゲーミングブランド「AREZ」が発表されました。
ASUS | ASUS announces AREZ graphics card brand
https://companies.mybroadband.co.za/asus/2018/04/17/asus-announces-arez-graphics-card-brand/
これまでASUSはゲーミングブランドとして「ROG」シリーズを展開してきました。新ブランドのAREZデザインはROGと同じ黒×赤を基調としたデザインで、さらにグラフィックボードに採用されているゲーミング性能向上のための各種技術もROGブランド製品とほぼ同様。ROGブランドとは別に新ブランドを展開するメリットは一見なさそうにも思えます。
しかし、「GPPにおいてNVIDIA以外の製品をROGブランドで販売しないようNVIDIAに要求されているのではないか?」というゲーマーたちの疑いとAMDのゲーマーによる選択の自由の保障宣言を合わせると、ASUSがAMD向けに新たにROGと実質的にほとんど変わらない新ブランドAREZをリリースしたことに合点がいきます。
ASUSは、NVIDIAの影響を受けないAMD製CPU「Ryzen 2000(Pinnacle Ridge)」シリーズ向けマザーボードではこれまで通りROGブランドを展開していることからも、グラフィックボードでのROG+AREZ併用はGPPの影響が強く反映されたものだと推測できます。
ROG CROSSHAIR VII HERO | マザーボード | ASUS 日本
https://www.asus.com/jp/Motherboards/ROG-CROSSHAIR-VII-HERO/
NVIDIAはグラフィックボードメーカーへの圧力を否定しており、GPPの内容については依然として不明なままです。NVIDIAのGPPが不当だとしてNVIDIA製品のボイコットを求める一部のゲーマーが登場するなどNVIDIAへの批判の声は根強くある一方で、「NVIDIA製品の性能における圧倒的な優位性が根本的な原因だ」と、ふがいないAMDグラフィックボードへの落胆の声があるのも事実です。ゲーマーの「真の選択の自由」を保障すべく、ライバルNVIDIA製品とがっぷり四つで対抗できるAMDグラフィクスの登場を大いに期待したいところです。
・つづき
NVIDIAが非難殺到のGeForce Partner Program(GPP)を取りやめる - GIGAZINE
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