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映画「犬ヶ島」で900体近くの人形が手作業でどのように作られていったのかという圧巻のムービーが公開中


ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞したウェス・アンダーソン監督の新作「犬ヶ島」は日本では2018年5月25日(金)に公開される予定です。ストップモーションアニメの犬ヶ島では、1つ1つ人形が手作業で作られており、YouTubeで公開されているメイキング映像から映画がとてつもない作業の上に成り立っていることがうかがえます。

ISLE OF DOGS | Making of: Puppets | FOX Searchlight - YouTube


「全ての人形はあらゆる側面においてオプションと選択の連続です」「何が映画の世界全体を正しい形にできるのか、ストーリーにおいて適切か、話し声と合うか、それによって見ている人はどういう楽しみを得られるのかなどを、考えなければいけません」と語るウェス・アンダーソン監督。


このメガネをかけた男性、アンディ・ジェントさんが犬ヶ島における人形に関する全てを統括しています。


「AMS ARCH MODEL STUDIO」と書かれた青い扉。


倉庫のような建物から犬ヶ島の人形制作チームがぞろぞろと出てきました。かなりの数です。


ジェントさんによると、映画の製作にあたり、900体近くに人形を作ったとのこと。


また、人形の顔をつけかえることで感情を表現していったので、顔だけでも数千パーツも作られたそうです。


人形は、最初に原型が作られ……


型をとっていきます。


さらに型を取ったものを着色。


細部の調整など、大部分が手作業で行われました。近年は造形の場で3Dプリントが使われることも多いのですが、犬ヶ島では3Dプリンティングを使っていません。


これがスタジオの様子。職人たちが所狭しと作業を行っています。


キャラクターは、デザインが決定したら……


まずはシリコン型を取るための原型を作っていきます。針金からのスタート。


粘土のようなものを針金にペタペタと巻き付けていきます。


だんだん人間っぽい感じになってきました。


ある程度肉付きがよくなったら細部を作り込んでいきます。


映画の主人公である少年アタリを作っているようです。


もちろん人間のキャラクターだけでなく、犬のキャラクターも1つ1つ手作業で原型が作られていきます。


そして、これらの原型を使って、次にシリコン型を作っていきます。


シリコン型パートを統括するコーマック・マッキーさん。いかに原型の細部までを再現したシリコン型を作れるかが重要になってくると語ります。


パーツごとに型を取って……


最終的に以下のようなシリコンのパーツを作れるようにします。


今度はアーマチュアを作るパート。


アーマチュアとはボールジョイントなどを用いた動かせる骨組みのこと。


アニメによってこの骨組みを固くするものもあれば、なめらかな動きがでるように緩くするものもあるそうです。


写真の女性がアーマチュアパートを統括するジェシー・コーベンさん。


このアーマチュアを覆うようにしてシリコンを流し込んでいきます。


以下のような感じに。


型に着色を施すケースもある様子。


着色した型に、手に持ったアーマチュアを……


イン。


溶けた状態のシリコンをカップに注ぐマグダ・ビザックさん。


型に液体シリコンを注ぎ込めば、アーマチュアの回りが柔らかいシリコンで覆われ、可動式の人形が作られるわけです。


人形の着色が行われていきます。


たとえばトレイシーの顔の着色では……


計2万2000個のそばかすが手作業で描かれてきました。


同じ部分にそばかすがないといけないので、複数の顔を並べて作業を進めています。


そして、髪の毛も1つ1つ頭に埋め込んでいく必要があります。


1シーンの中で入れ変えが行われる「顔」にヒゲなどがある場合、同じように毛を埋め込んでいかなければならないと髪パートを統括するアレックス・ウィリアムズさんは語りました。


犬たちの毛も同様に手作業で埋め込まれていっています。犬の毛は、実際に動物から刈った毛を使っているとのこと。


顔の半分はシリコンですが……


もう一方は毛皮に包まれているという状態。


動物の毛皮パートは人間の毛のパートとは違った部門として存在し、1本ずつ埋め込むのではなく毛皮を貼っていく作業も行われていたようです。


また、コスチュームだけを担当するパートもあります。


コスチューム製作は生地の収集から始まります。撮影の時、コスチュームは静止した状態でなければならないため、「コントロールがきくコスチューム」を作ることが重要になってくるそうです。


複数のシーンが同時に撮影されるため、どの人形を撮影に出すのか、という配分も重要になってきます。


壁の表にびっしりと貼り付けられているのは……


どの人形がどのスタジオにかり出されているのかを示す一覧表のようです。この表を見るだけでもいかに大量に人形が管理されているのかがわかります。

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in 生き物,   動画,   映画, Posted by darkhorse_log

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