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「神が存在する」と数学的に論理展開できるか?


「神は存在するか」という命題は、思想・学問・道徳に深く結びつき、何世紀にもわたって議論が繰り返されてきました。しかし議論に用いる言語が違ったり、論者の思想が違ったり、また議論が行われる時代が違ったりすれば、どうしてもバイアスがはさまれてしまい、論理的な結論には至ることができません。それならば、普遍的で偏りのない言語である「数学」を用いれば、神の存在、あるいは不在を証明することができるのだろうか?ということを取り上げたムービーを、Youtubeチャンネル「AsapSCIENCE」が公開しています。

Can Math Prove God's Existence?


「世界が合理的にデザインされているのは神がいる証拠だ」という主張がしばしばなされます。これほどまでに複雑で奇想天外な世界ができたのには確実に神の意志があると、信仰心のあつい人は考えます。


このような主張を「reductio ad absurdum(帰謬(きびゅう)法)」と呼びます。「地中が平らなら、端までいけば落っこちてしまう」というように、ある考えが間違っていることをそれがいかにばかばかしい結果になるかを示して証明することを言います。


「reductio ad absurdum」に「世界が合理的にデザインされているのは神がいる証拠だ」という主張を当てはめると、「神がいなければ人間が進化できるはずがなく、人間が進化している以上、神がいないとは考えづらい」という三段論法が考えられます。


考えを進めるために、神がいるかいないか、それぞれの場合で人類が存在するかしないかを考えた2×2のテーブルを想定します。


「神は存在しないが人間はいる」と考えた場合、人間はいくつもの要因に依存して生まれたことになります。それはごくわずかな確率ということは想像に難くありません。


もし神が存在すると考えた場合、神が必ず人間を創造するとは限りませんが、「いくつもの要素による偶然」と考えるよりはよっぽど高い確率で人間が誕生するといえるでしょう。


そして現に人間が存在している以上、テーブルの「人間が存在しない」部分は議論の必要がありません。このように考えた時、想定しうる四つのパターンのうち「神は存在し、神により人間は存在している」と考えるのがもっともらしいと論ずるのは一見合理的です。


この論理の欠点は、「不存在か存在か」の二項対立と仮定しているところです。これ以外にも、いくつかの可能性を想定することができます。


「神」と一口に言ってもコミュニティによりそのイメージはそれぞれ異なります。また、日本における「八百万(やおよろず)の神々」のように、複数の神々を想定するコミュニティもあります。


「単一の神を想定する場合に人間が存在する確率」が数10億分の1、数10兆分の1というわずかな確率であるのに対し、数学者のジョーダン・エレンバーグは、「複数の神々を想定する場合に人間が存在する確率」は40万分の1だと述べています。ただしここで重要なのは正確な数字ではなく、「神が複数いるならば、それだけ人間を創造する機会が増える」という論理に同意できるかどうかだといえます。


また、「神がいない」と「単一の神がいる」と「複数の神がいる」を横に比較するのではなく、それぞれ独立して考えることが重要だと述べています。並べて比較すると「複数の神がいる」がよりもっともらしく感じますが、それぞれを縦に見て、「単一の神がいる場合に人間を創造する可能性」と「複数の神がいる場合に人間を創造する可能性」を個別に考えることが必要です。


さらに可能性を考えることができます。SIMSのように、誰かによって作られたシミュレーションの中にいるという仮定です。イーロン・マスクも信じているように、シミュレーション仮説を唱えている人は多く、実際に技術が発達していくにつれて、近いうちにそういったシミュレーションは実行可能です。


テーブルに新たな可能性が追加されました。ここでも正確な数字は重要ではありませんが、未来においてこのようなシミュレーションの作成が可能であることの同意は難しくありません。


結論として、数学により「神が存在する可能性が、神が存在しない可能性よりも高い」と論理展開することは可能です。しかし、これは神がいることを結論づけるものではありません。


「神が不在と考えるよりも、神が存在すると考えた方がもっともらしい」という論理は、それ以上にもっともらしい「世界は誰かのシミュレーションによるもの」という仮定の論拠を述べていることに他ならないからです。

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