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ロボットやAIによって仕事を奪われないために人間はどう適応すればいいのか?

by Ripley Engineering

かつて労働用のロボットといえば、あらかじめプログラムされた作業をこつこつと繰り返すだけの機械でした。しかし、技術の進歩によって、画像認識を使って的確にハンバーガーのパティを焼くロボットが登場し、ドアノブをつかんでドアを開けるロボットも開発されました。ロボットやAIの技術が発達することで、雇用はロボットに取って代わられ、人間は職を失うのではないかと危惧されていますが、「ロボットに仕事を奪われないために人間はどう適応すればよいのか」についての考察記事が、BBCで紹介されています。

Adapt or die: How to cope when the bots take your job - BBC News
http://www.bbc.com/news/business-43259906


イギリス・リバプールに40年以上住んでいたSnewingさん一家は、19世紀末から20世紀初期にかけて馬具製造業を営んでいたそうです。荷物の運搬や農業に馬は欠かせない労働力だった時代、Snewingさんたちは仕事に困ることがなかったとのこと。しかし、自動車の登場によって、馬が労働力として用いられることはなくなりました。他の馬具工が皮革加工業などに移行しても、Snewingさん一家は馬具製造業にこだわりつづけ、その結果に廃業を余儀なくされました。Snewingさんは新しい技術が登場しても、それに適応することができなかったというわけです。

by Smart Polygon

近年では、金融市場において何兆ドルもの資産が、アルゴリズムによって自動で取引されているといわれています。また、コールセンターで働く人間が、人工知能のチャットボットに取って代わられつつあり、飛行機や車の自動運転はドライバーやパイロットの専門職に就く人たちの生活を脅かしています。International Federation of Robotics(国際ロボット工学連盟)によると、製造業では従業員1万人当たり74体のロボットが使われていて、この数は年々増加の傾向にあるとのこと。アジア、特に中国ではこの増加率は顕著だといいます。

コールセンター用の音声チャットボットを開発するニュアンスのゼネラルマネージャーBernard Louvat氏は「高い技術を必要としない労働に従事する人にとっては、AIは脅威であることは疑いようがありません」と語り、「10年以内にほとんどのコールセンターのスタッフは音声チャットボットに置き換わるでしょう」と予想しています。

実際に、1億以上の顧客に対応するためにコールセンターのスタッフを何万人も雇うことを考えると、チャットボットの起用によるコスト削減は経営者にとって無視できないほど大きいものとなります。また、何百万という顧客の会話から人工知能が学習することで、チャットボットの精度がさらにあがり、顧客満足度はさらに向上することも期待できます。

by The Open University

AIを導入するメリットは実際に企業からは強く認識されているようで、コンサルティング会社のアクセンチュアが企業幹部にインタビューしたところ、8割以上が「2年以内に職場の人間にアドバイザーとして人工知能が活躍するだろう」と考えていることが分かりました。

また、マッキンゼー・グローバル・インスティチュートによる最新の報告では、「2030年までに約8億人分の仕事がAIやロボットに取って代わられるだろう」と結論づけているとのこと。しかし同時に「人間の仕事を自動化する技術が、現代に存在しない新しい仕事を作り出すだろう」ということも認めています。

自動車が生まれたことで馬具製造業は消えてしまいましたが、その代わりに自動車整備士という仕事が生まれました。現代にみられるスマートフォンのアプリ開発者やドローン操縦技師などの職業は、技術革新が起こる前には有り得なかった職業です。「人間から仕事が奪われてしまう」と悲観的に捉えて技術革新を拒むだけの姿勢に、BBCは疑問を投げかけています。

だからといって楽観視して手をこまぬいてると、本当に人間は職を失うばかりといえます。Symphony Venturesの共同設立者であるIan Barkin氏は「高い技術を必要としない雇用がロボットに置き換わっていくというのであれば、人びとはデザイン思考・創造性・分析・プログラミングなど、ロボットには模倣できない部分を伸ばしたり、高い技術を身に付けたりする必要があります。そのためには教育改革が急務です」と述べています。

by Claire Thompson

Barkin氏は「テクノロジーによって雇用枠が削減される可能性はありますが、必ず雇用が減ると決まったわけではありません。これは私たちにとっていい知らせでもあります」と結論づけています。

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in メモ,   ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

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