「デス・スター」の建造費用や運用コストなどを現実に即して考えるとどうなるのか

映画「スター・ウォーズ」に登場した「デス・スター」は、地球サイズの惑星なら一撃で粉砕するスーパーレーザー砲を装備した銀河帝国軍の究極兵器です。今のところ、どの国もデス・スターを建造するような予定はなさそうですが、実際に作るならどれぐらいのお金や資材が必要なのか、運用していくにはどれぐらいのコストがかかるのかをまとめた映像が公開されています。

How Much Would it Cost to Build a Real-Life Death Star? - YouTube

アメリカ軍はとても高額な予算を費やして装備を調達しています。たとえば、ステルス爆撃機「B-2」は1機24億ドル(約2540億円)。

バージニア級原子力潜水艦は1隻25億ドル(約2640億円)

空母ジェラルド・R・フォードは1隻で130億ドル(約1兆3740億円)

しかし、これはあくまで地球上で展開する兵器に限った話。もし宇宙に進出するなら、もっと高額な兵器が必要となります。その代表格が「デス・スター」です。

オバマ政権時のアメリカで有志がデス・スター建造を請願したことがあります。このときアメリカ政府は「惑星を吹っ飛ばすことには賛成できないし、単座の航空機による攻撃で破壊されるような大きな欠陥のある兵器に血税を注ぎ込むことはできない」と、公式に建造を却下する声明を発表しています。

This Isn't the Petition Response You're Looking For | We the People: Your Voice in Our Government
https://petitions.whitehouse.gov/petition/secure-resources-and-funding-and-begin-construction-death-star-2016

建造にかかる費用の計算はすでに試行例があり、2012年のリーハイ大学の学生らによる計算では「使用する鉄材の費用だけで85京2000兆ドル(約9010京円)」という話でした。

その後、イギリスの電力会社による計算では、デス・スターの運用経費は1日7800𥝱ドル(約82穣4500𥝱円)に上ることがわかりました。「𥝱(じょ)」は10の24乗のことで、万(10の4乗)、億(10の8乗)、兆(10の12乗)、京(10の16乗)、垓(10の20乗)の上。なんとデス・スターの1日の運用経費は地球上の年間経済活動の100兆倍に相当します。

初代デス・スターは直径が100km～140km

乗員は軍関係者が170万人、メンテナンス用ドロイドが40万体、民間人や独立した事業主が25万人。

ドロイドと民間人を無視した上で、軍人の給料を1時間10ドル(約1060円)として計算すると、1年間の人件費は32兆ドル。これはアメリカの国内総生産(GDP)の2倍です。

光熱費は1日520億ドル(約5兆5140億円)

デス・スターを究極兵器たらしめているのは、一撃で惑星を吹っ飛ばせるスーパーレーザー砲。

その費用は、1発で8000𥝱ドル(約84穣5670𥝱円)。1日の運用経費とは200𥝱ドル(約2穣1140𥝱円)の差……単位が大きすぎてついていけません。

ただし、なんとかデス・スターを建造・運用していける予算を確保したとしても、次に問題になるのは資材です。

地球全体で考えると、デス・スター建造に必要な鉄は十分に存在し、200万基建造することが可能だそうです。

ただ、そのほとんどはコアに含まれていて現代の技術では取り出すことができないため、実際には現存する資材だけで建造することはまず不可能。

仮に、現代と同水準で鉄材を作るとして、デス・スターの外殻を作るだけで80万年かかるとのこと。

さらに、地上でパーツを作って打ち上げるとなると、重量1kgにつき2万ドルの経費がかかるので、トータルで2京1000兆ドル(約22垓1990京円)が必要です。

もうちょっと費用対効果を高めるなら、建造現場により近い、地球でいうなら月や小惑星帯で資源を採掘して建材を作る方法がベターですが、残念ながら人類がこの方法を取るにはまだ高価すぎるそうです。

デス・スター建造は、最盛期で150万の直轄星と6900万の植民星を抱えていたという銀河帝国の経済規模だからこそできたものだといえます。もし今後、我々がデス・スターを建造できるところまで至った場合、歴史から学ばなければならないことは「表面のちょうどいい大きさの排熱孔を作らないようにすること」です。