Googleの次期Android OS「Android P」の開発者向けプレビュー版がリリース、まさかの切り欠き対応などが明らかに
Googleが提供するモバイル向けOS「Android」の次期バージョンとなる「Android P」の開発者向けプレビュー1(DP1)が公開されました。DP1はGoogleが開発者からフィードバックを得るためにリリースした、Android Pのたたき台のようなものなのですが、製品版にも残るであろうさまざまな新機能が用意されています。
Android Developers Blog: Previewing Android P
https://android-developers.googleblog.com/2018/03/previewing-android-p.html
◆Wi-Fi RTTによる屋内測位
正確な屋内測位は、ナビゲーションアプリやロケーションサービスにとって長期にわたって課題となってきました。Android Pは、Wi-Fi RTT(Wi-Fi Round-Trip-Time)としても知られるIEEE 802.11mc WiFiプロトコルのプラットフォームサポートを追加することで、アプリで屋内測位が可能になります。
屋内測位に必要な仕様を備えたハードウェアで、位置情報の利用権限などが有効となっている場合、端末がインストールしたアプリがRTT APIを使い近くに存在するWi-Fiのアクセスポイントまでの距離を測定することが可能となります。Wi-Fi RTTにおいて端末がアクセスポイントに実際に接続する必要はないので、プライバシーを維持することも十分に可能。
端末が3つ以上のアクセスポイントとの距離を知ることで、1~2メートルの精度で屋内測位が実現します。これを用いることで屋内でのナビゲーションなど新しい体験をユーザーに提供可能になるとのこと。
◆表示切り取りをサポート
2018年はAndroid端末でiPhone X風のデザインをしたものが急増しており、ディスプレイ上部にある切り欠き(ノッチ)部分を持つスマートフォンが増えることは確実です。これに合わせてか、Android Pではディスプレイ上の切り欠き部分を認識してコンテンツの表示方法を管理するAPIを導入します。
また、アプリ上で切り欠きのサポートをテストするためのシミュレート機能も開発者向けオプションに追加したとのこと。
◆改善されたメッセージ通知
Android Pでは通知の可視性と機能を向上させることに重点を置いているとのことで、新しい「MessagingStyle」という通知スタイルでは、通知上にメッセージがタイルで表示されます。表示されるのはテキストだけでなく、写真やステッカーを表示することも可能。通知部分から返信内容を選択するだけでOKなスマートリプライにも対応しています。
◆マルチカメラAPI
Android PのマルチカメラAPI対応により、2台以上のカメラから同時にストリームにアクセスできるようになります。これはデュアルカメラなどを搭載している端末で効果を発揮するAPIで、シームレスズーム・ボケなど単一のカメラでは実現不可能な革新的な機能を、デュアルカメラ搭載端末でより簡単に実現可能にするためのAPIです。
カメラのその他の改良点には、初期キャプチャ時の遅延を減らすための新しいセッションパラメータや、カメラストリーミングを停止して開始することなくカメラクライアントがさまざまなユースケースを処理できるSurface共有などがあります。また、ディスプレイベースのフラッシュサポート用APIと、アプリケーションレベルの画像安定化と特殊効果のためのOISタイムスタンプへのアクセスも追加されています。
◆ビットマップとドロウアブルのためのImageDecoder
Android Pでは、イメージをビットマップまたはドロウアブルに簡単にデコードするための「ImageDecoder」が利用可能。ImageDecoderを使用することで、バイトバッファ、ファイル、またはURIからビットマップまたはドロウアブルを作成できます。また、非推奨ではあるものの、正確なスケーリング、ハードウェアメモリへのシングルステップデコード、デコード時の後処理サポート、アニメーションイメージのデコードなどの利点を持つ「BitmapFactory」も利用できます。
ターゲットの寸法でsetResize()を呼び出すだけで、デコードして正確なサイズにスケールすることができます。また、getSampledSize()を呼び出して特定のサンプルレートで画像の寸法を取得し、次にそれらの寸法に拡大縮小することもできます。円マスクや、より複雑なエフェクトに丸みを帯びたコーナーを適用するなどの後処理を画像に追加する場合は、ImageDecoderにandroid.graphics.PostProcessorを渡すことも可能。ImageDecoder.decodeDrawable()を使用してDrawableを直接作成することもできます。エンコードされたイメージがアニメーションGIFまたはWebPの場合、Drawableは新しいAnimatedImageDrawableのインスタンスになります。
◆HDR VP9ビデオ、HEIFイメージ圧縮、メディアAPI
Android PにはHDR VP9プロファイル2のサポートが組み込まれているため、YouTube、Playムービー、HDR対応デバイスのその他のソースからHDR対応のムービーを再生できるようになります。
◆JobSchedulerにおけるデータコストの感度
JobSchedulerは、スケジュールされたタスクを管理したり、Doze、アプリスタンバイ、バックグラウンド実行制限の変更を処理するのに役立つAndroidの中央サービスです。Android Pでは、JobSchedulerがネットワーク関連のジョブをユーザー側でより適切に処理し、キャリアが別途提供するネットワークステータス信号を調整してくれます。
◆ニューラルネットワークAPI 1.1
Android 8.1で導入されたNeural Networks APIは、Androidでのオンデバイスの機械学習を加速させました。Android PではこのAPIを拡張・改良し、パッド、BatchToSpaceND、SpaceToBatchND、Transpose、Strided Slice、Mean、Div、Sub、Squeezeの9つの新しい操作をサポートします。Pixel 2の場合、DP1ビルドにQualcomm Hexagon HVXドライバが含まれています。
◆自動入力の改善
Android Pでは、ユーザーと開発者からのフィードバックに基づいて、自動入力フレームワークの改善を継続しています。主要なバグ修正に加え、新しいAPIも含まれています。これによりパスワードマネージャーはデータセットのフィルタリング、入力サニタイズ、互換モードなど、自動入力におけるユーザーエクスペリエンスを向上させることが可能となります。特に、互換モードはエンドユーザーに大きな影響を与えるとGoogleは述べています。
◆NFC支払いと安全な取引用のオープンモバイルAPI
Android Pで、GlobalPlatform Open Mobile APIが実装されます。サポートされているデバイスでは、アプリケーションはOMAPI APIを使用してセキュアエレメント(SE)にアクセスし、カード支払いやその他のセキュアなサービスを有効にできます。ハードウェア抽象化レイヤー(HAL)は、利用可能なさまざまなセキュアエレメント(eSE、UICCなど)を列挙するための基礎となるAPIを提供します。
その他、新しい指紋認証用の「FingerprintDialog」APIを用いたアプリのセキュリティ向上や、アイドル状態のアプリからマイク・カメラおよびすべてのSensorManagerセンサーへのアクセスを制限することでユーザーのプライバシーを保護するなど、さまざまな施策が取られています。
ただし、同時にGoogle純正のスマートフォンであるNexus 5X/6PおよびPixel Cが、Android Pをサポートしないことも明らかになっています。
なお、Android PについてはGoogleが2018年5月に開催予定のGoogle I/O 2018でより詳細な情報が公開される予定です。
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