ネットサービス

ウォール・ストリート・ジャーナルの電子版は有料コンテンツを購読しそうな読者を機械学習で見極めている


世界を代表する経済紙の1つである「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)は、有料電子版に積極的に取り組んだことでも知られていて、購読者数は100万人を超えています。その「購読者数を増やす」取り組みにおいて、WSJが機械学習を利用して、個々のユーザーの判断を予想し対応を変えているということを、NiemanLabが報じています。

After years of testing, The Wall Street Journal has built a paywall that bends to the individual reader » Nieman Journalism Lab
http://www.niemanlab.org/2018/02/after-years-of-testing-the-wall-street-journal-has-built-a-paywall-that-bends-to-the-individual-reader/


ダウ・ジョーンズの発行するウォール・ストリート・ジャーナルはビジネスに特化した新聞で、1996年には経済紙として最も早く電子版の「wsj.com」を立ち上げました。記事の大部分は有料購読者のみ全文が読めるように設定されており、プランによりますが、全てを読む場合の購読料は年間222ドル(約2万4千円)、学生なら年間49ドル(約5200円)です。

By dennis crowley

しかし、有料購読者向けの「閉じたサービス」になるとWSJ電子版の記事が拡散しなくなってしまいます。そこで、メールアドレスを登録することで購読者以外でも有料記事を24時間読めるようになるゲストパスが発行される仕組みを採っています。ただし、ゲストパスは誰にでも発行されるわけではなく、過去数年にわたり、WSJ電子版を訪れる非購読者の居住地・使用しているOS・デバイス・読んでいる記事の内容など60以上にわたる項目を調査し、非購読者を査定しているとのこと。ただし、ウォール・ストリート・ジャーナルが把握しているのはあくまでも調査内容だけで、その査定結果は匿名化されているとのことです。

ウォール・ストリート・ジャーナルのゼネラルマネージャーを務めるカール・ウェルズ氏によると、査定結果を分析することで、非購読者をおおまかにいくつかのグループを分類することができ、将来的にWSJ電子版を購読するかどうかが機械学習を用いて予想できるようになったとのこと。講読する可能性の高い人に対しては有料と無料の区分を厳しく設定し、一方で有料コンテンツを講読する可能性が低いと思われる人に対しては無料で記事を一度見せてから有料コンテンツへ誘導したり、ゲストパスを発行して有料コンテンツに興味を持たせるといった対応を行っています。

By krosinsky

「こうしたゲストパスの発行は、今後有料コンテンツを購読する訪問者の傾向をより高い精度で予想するためのものです。WSJ電子版は有料サイトと分かってもなお、ゲストパスを使う訪問者は私たちのコンテンツに価値を置いてくれているのです。だからWSJ電子版は24時間限定のゲストパスを使う訪問者を歓迎しています」とウェルズ氏は語ります。

他にもウォール・ストリート・ジャーナルの記者が自分の書いた記事を無料でSNSを通じて公開する仕組みを設けるなど、有料サイトながら非購読者層にも共有してもらえるような方法をWSJ電子版は今も模索しています。なお、WSJ電子版の購読者数は2018年2月の段階で約140万人となっていて、2017年の108万人から大きく増加したとのことです。

・関連記事
AIを用いてゲームプレイヤーからいかにお金を搾り取るかを考案する悪夢の企画書が流出 - GIGAZINE

Amazonの1兆円超えのWhole Foods買収に見るAmazon帝国構築に向けた取り組みとは? - GIGAZINE

研究論文を無料で読める「Sci-Hub」が論文ビジネスに与える影響とは? - GIGAZINE

Apple Musicは夏にはSpotifyを越える、という予測 - GIGAZINE

無料でネイチャーの論文すべてが閲覧&共有可能に - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by log1i_yk