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AIを用いてゲームプレイヤーからいかにお金を搾り取るかを考案する悪夢の企画書が流出

by Jordan Bauer

人工知能(AI)を用い、意図的にオンラインゲームのプレイ体験を改ざんし、ゲーム内アイテムを大量にユーザーに購入させるための企画書が流出しています。企画書にはAIをどのように用いてプレイヤーたちから金銭を搾取するかについて、かなり細かく記されており、海外のテクノロジー系メディアやゲームフォーラムからは「悪夢のようだ」という声が挙がっています。

Leaked AI-powered Game Revenue Model Paper Foretells a Dystopian Nightmare | TechPowerUp
https://www.techpowerup.com/240655/leaked-ai-powered-game-revenue-model-paper-foretells-a-dystopian-nightmare

AIを用いてオンラインゲームでより多くのお金を稼ぐための方法を記した企画書のスライド、およびその論拠となる論文の写真がまとまったデータが、画像アップロードサイトのImgur上で公開されています。画像をアップロードしたのが誰かは不明で、元のスライドや論文に書かれた個人名やブランド・商品名だけが消された状態でアップされています。


このスライドでは、AIを用いてゲームプレイヤーひとりひとりの社会経済的地位を分析し、ゲームが個々のプレイヤーに対して「最高の収益戦略」を取れるようになる方法が提案されています。その方法というのは、一貫してプレイヤーのゲーム体験を「プレイヤーの望む結果から遠ざかるように」改ざんし、不平等な結果を起こすことでゲーム内での浪費を加速させるような仕組みとのこと。

そのためのアイデアとして挙げられているのが、以下の3つ。


・AIを活用し、「ゲーム外もしくは『現実世界』の情報」と「AIが生成するゲーム中のプレミアムアクティビティ」とを組み合わせることで、ゲームの収入源を増加させることが可能になる。

・すべての顧客に提供される予定の新しい収入作成戦略では、Bait-and-switch(おとり商法)を用いることで、ゲーム内に「インセンティブ広告」と「プレミアム広告」をAIが生成します。

・最も重要なのは、AIがプレイヤーのゲーム体験全体をソーシャル・エンジニアリングを用いて改ざんしたり、個々のプレイヤーのゲームプレイ体験を心理操作等を用いて変更したり、劇的に収入を増やすことができたりするということを証明することです。


特に2種類の広告を用いた「新しい収入作成戦略」は事例を交えて説明されているので、どのようなものになるのかイメージしやすくなっています。

以下の画像はゲーム画面に表示する広告として適さない例。インターネット上でよく見かける「ここをクリック」などと書かれた広告が並んでいます。


スライドがイメージしているのは以下のような広告。ゲーム画面の中に溶け込むように配置されたオレンジや水色のアイコンが広告で、よく見ると「Free(無料)」と書かれたものと、数字が書かれたものが混在しています。これらをクリックするとゲームが有利に進められるようになるアイテムがゲットできるわけですが、無料のものを混ぜて表示することで、プレイヤーが有料アイテムを課金しやすくなるように誘導しているわけです。


また、プレイヤーの実際の家をマッピングし、プレイヤーの社会経済的イメージを分析することも収益化につながるものとして提案されています。スライドによると、PCやモバイル端末は電磁波を放射したり受信したりすることで、1次元の点を認識することが可能とのこと。この点を参考に、電磁波を放射するものの周辺の2次元的なマップを作成することが可能となる模様。これは簡単に言うと、「放射線の散乱および反射レベルを測定することで再現された屋内マップを水平にスライスしたもの」だそうです。部屋のマッピングはマルコフ確率場やHammersley-Cliffordの定理を組み合わせることで実現するそうで、PCやモバイル端末によるWi-Fi通信などが、電磁波の点となり、ユーザーの部屋をマッピングする際の基準点となり、例えばプレイヤーが自分のスマートフォンを持って移動することで、部屋のサイズや移動先にどのようなものが存在するのかが推測されていきます。

以下のスライドはスマートフォンから放たれる電磁波がどのように拡散するかを分析することから作成した、プレイヤーの部屋のマップ。


これが最終的に以下のような3Dマップにまで変身することとなります。


他にも、ゲームをプレイしている際にプレイヤーが挫折したりフラストレーションを感じたりする、「敵のレベルが高くて負ける」「敵がクリティカル攻撃を連発したりと、プレイヤーより幸運だった」「投資した時間に見合わない成果」「損失に対する嫌悪感」などに着目し、これらとAIを結び付けることで、収益を増加させる戦略もあります。事例とした挙げたようなプレイヤーのフラストレーションになるような出来事が起きた際、AIが解決策として「レベルアップアイテム」だとか「クリティカル攻撃発生率アップアイテム」などを表示するわけです。


もし、これらの戦略を採用したMMORPGなどが近い将来登場したとすれば、それは「悲惨な悪夢に乗ってフライトするようなものだ」とTechPowerUpは記しています。

ゲーム系フォーラムでもこのスライドが話題になっており、ユーザーからは「ホラー映画を見るよりこのスライドを全部読んでみろよ」や「未来のゲームやゲーミングPCを購入することは基本的に死を意味するようだ」、「何年も前からGoogleやApple、Microsoftにその他は同じことやってないか?俺が狂ってるのか?」、「皆がこのスライドを読んで、それでゲームをプレイしたいか自分自身に尋ねるべきだ」、「ゲーム会社は本当にゲームを売りたくないみたいだな」など、さまざまな意見が噴出しています。

[TPU] Leaked AI-powered Game Revenue Model Paper Foretells a Dystopian Nightmare - Overclock.net


なお、関係者がリークしたと思われる40枚のプレゼンスライド&プレゼン時に配られたと思しき紙の資料は、以下のページにまとめられています。

Imgur: The magic of the Internet

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in ゲーム, Posted by logu_ii

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