メモ

ビッグデータ解析・機械学習・人工知能の発展に伴って「パレートの法則(80:20の法則)」が進化している


経済において全体の数値の大部分は一部の要素が生み出しているという経験則「パレートの法則」は、さまざまな分野で成り立つことが知られています。コンピューター・ソフトウェアが進化する中で、パレートの法則は変容し進化しています。

AI Is Going to Change the 80/20 Rule
https://hbr.org/2017/02/ai-is-going-to-change-the-8020-rule

パレートの法則は、イタリアの経済学者でエンジニアでもあるウィルフレッド・パレート氏が発見した概念で、実例を元に「80:20の法則」と呼ばれることがあるべき乗則です。例えば、売上全体の80%は全体の20%の顧客が生み出しているという事例や、売上の80%は全体の2割の銘柄によって生み出されているというような事例が当てはまり、後者の事例は「ロングテール」モデルとして、ウェブ2.0時代に登場した概念としても知られています。

しかし、大量のデータを分析するビッグデータや機械学習、人工知能技術が発達する中で、既存のパレートの法則を進化させる試みが始まっていると、MITのマイケル・シュレージ氏は述べています。これらは「ネオ・パレート則」とでもいうべき考え方で、コンピューティングを活用して、より緻密で効率的にビジネスをはじめとするさまざまな分野での利用が期待されています。

◆スマート・パレート則
大量のデータを扱えるようになり、機械学習が進むことで、パレートの法則は迅速かつ効率的に法則をあてはめることができるようになります。例えば、職場での人事評価において、「ユーザー体験を向上させる80%の価値に貢献する従業員20%は誰なのか」を算出したり、改善の80%に影響を与え得る20%のアップグレード(変更)は何かを見抜いたり、顧客の80%が嫌悪感を抱くが20%は喜びを感じるものは何かなど、あらゆる場面で80:20の法則が成立していることをあぶり出すことが可能になるとのこと。


◆スーパー・パレート則
「80:20の法則」はパレートの法則のひとつですが、適用範囲が広いため、「パレートの法則=80:20の法則」と考えられるほど一般的な存在です。しかし、分野によって80:20があてはまるものもあれば、15:85があてはまるものなど比率はさまざまです。80:20の法則からかけ離れた比率でパレート則が成り立つ分野もあり、例えばスマートフォンゲーム業界では1%に満たないユーザーが収益の大半を占めていることが知られています。

スマホゲームの収益の半分は全ユーザーのたった0.19%が支えていることが判明 - GIGAZINE


シュレージ氏は、データを解析することで、その分野に応じた最適のパレートの法則が成立する比率を見いだすことは、ビジネスの成長に大きく役立ち、新しい製品やサービスを生み出す可能性があると考えています。ヨーロッパのある産業機器メーカーでは4%未満の製品が売上の3分の1を占め、収益の半分に貢献していると判断していました。しかし、メンテナンスなどの付加サービスまで考慮に入れると、5%の製品が収益の3分の2以上を占めていることが判明したとそうです。製品単体だけでなく、属性や機能を中心としたより細かいパレート分析が有効だというわけです。

このため、新時代のパレートの法則をビジネスで活用するためにデータサイエンス部門は、パレートの法則の適用範囲を広げることも視野に入れて傾向を特定し、また極端な比率で法則が成り立つ可能性を考慮に入れることが求められます。

◆複合的なパレート則
パレートの法則がより緻密さを増す中で、パレートの法則の成立を単体で考えるのではなく、成立する複数のパレートの法則がリンクし合って、新たなパレートの法則が成り立つこともあり得ます。特定の命題単独ではなく、企業価値全体を高める複合的なパレートの法則を探すことも求められているとシュレージ氏は考えています。

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in メモ,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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